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第9話 貴重な女性は悩みを告白

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「美味しい!」

スープを一口飲んだ愛が目を輝かせて言う。愛はアルシオンと朝食を食べていた。メニューは卵焼き、ソーセージと共に温かいキノコのクリームスープに柔らかいパンでした。パンにはバターやジャムにチーズをのせて食べた。日本と変わらない美味しい食事に愛は満足した顔をしていました。

「俺たちの料理をアイ様が美味しいと言ってくださった」
「今アイ様がこっちを向いたぞ」
「アイ様の食べる姿は素敵だ」

食事をする愛を見ながら声を弾ませるのはコックを務めている男たちでした。自分たちの作った料理を愛に美味しそうに食べてもらい嬉しそうな顔しています。

その声を聞いた愛はコックたちの方に顔を向けるとまた騒がしい声をあげていました。愛は顔を赤らめて恥ずかしそうな感じになる。

「アイすまない。久しぶりに女性に会って彼らは興奮してるみたいだ」

正面に座っているアルシオンが申し訳なさそうに口を開いた。彼らに悪気はないと言い愛に頭を下げました。

「大丈夫ですよ」

特に気にしていませんよ愛はそのように言う。数年ぶりに女性を見れば彼らの反応も自然なものでしょう。その上愛は異世界から来た女性で、この世界では珍しい黒髪の女性です。愛はとして広まりつつあった。

「そう言ってくれると私もありがたい」

アルシオンは愛の優しさを感じて微笑み返しながら言う。この時彼は愛という女性に自分でも気付かないうちに惹かれていた。

「実は朝起きたら部屋に担当に選ばれたという人が三人来ました。聞いたら私の妊娠を手伝う人たちだと言って……」
「なんだって!?アイそれは本当なのか!」

ふいに明るかった愛の顔が曇り言い始めるとアルシオンは怒ったように声を荒げました。

「はい。突然のことで驚きました」
「何かされなかったのか」
「キスされました」

朝起きたら部屋に入ってきて挨拶をされた。 客人に対しての風習でありそのことには特に驚きませんでしたが、妊娠をする役目だと言われてキスされた時は心臓が飛び跳ねて気持ちが休まらなかった。心配そうに尋ねていたアルシオンでしたが怒りが爆発しました。

「お父様の仕業だな。愛の大切な処女を何だと思ってるんだ!」

愛が処女だということをアルシオンは聞いていました。昨日、愛とカルロスと話し合った後にアルシオンは愛の部屋に行った時に少し照れくさそうに打ち明けてくれた。そんな彼女を自分が守ってあげたい。アルシオンはそのような思いを持っていた。

異世界に来て愛は不安だろうから愛が落ち着くまで様子を見ようと言う話だったのに、愛の気持ちを考えない強引な手段をとるカルロスにいきどおりを覚えた。

女性がいなくなり世界が大変なことになって早く愛を妊娠させたい気持ちはアルシオンも分かる。それでも愛が嫌がってるのに無理やりそのような行為をすることは許さない。愛の心を傷つけた父にアルシオンの瞳は怒りの炎に燃えていました。
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