彼が結婚している親友と関係を持っていて婚約破棄。相手が妊娠してなかったからやり直そうと手紙が届く。

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第3話

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その頃アイリ夫人は危機的状況に陥っていた。なんと夫である伯爵家当主のルイスにピエール殿下との関係が知られるところとなり早くも制裁されて着の身着のままで叩き出されてしまった。

直後は頭の中が真っ白になり取り返しのつかない気持ちに襲われたが、幸いなことにルイスとアイリの間にまだ子供はいない。だがアイリは現在妊娠していて間違いなくピエール殿下との子供だと確信していたアイリはピエールを頼りどうにか連絡を取り合う。

「旦那に知られました…それと子供ができたかもしれません」
「何だって!冗談だろう?」

ひどく動揺しておかしいくらいに目が泳ぐピエール殿下。それもそのはず不倫がアイリの夫に勘付かれるのは想像すらしなかった想定外の出来事だったし、再来月には心に決めた純粋な愛情があふれるマリア令嬢との挙式がある。ちなみにアイリはマリアとピエールが交際していることは知らない。

アイリ夫人には申し訳ないがピエール殿下の胸の中では都合のいい遊び相手で、アイリは結婚もしているし真面目に付き合う思いはなく当然ながらアイリとの結婚も全く頭にない。マリアと結婚するので別れを切り出そうと常々考えていた。

そろそろ引き際かなと思ってたタイミングだったのだ。主人のルイスにバレてしまい追い出されたことは納得できたけど、妊娠はアイリが自分の気を引くために根も葉もない話をしているのだと思い一切の連絡を絶つことを固く決心する。

「分かった。住む場所とお金なら直ぐに用意しよう」
「ありがとうございます」
「じゃあ、いつもの場所で待っていてくれ。準備したら早急に行く」

ピエール殿下は調子のいいことを口にしてアイリと別れた。アイリも感謝の言葉を述べて笑顔で返す。アイリも夫に家を追い出されて火傷じゃ済まない恋だったと理解しているし愚かだったと十分に反省はしている。だがもう後戻りはできないのでピエールに頼らざるを得ない。

しかしピエール殿下は家もお金も用立てる気も更々なく今後はアイリとの接触を完全に避けて逃走するという最低な選択をこの男はしてしまう。これが後々大変な目にあい自分の首を絞めることになる。
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