彼が結婚している親友と関係を持っていて婚約破棄。相手が妊娠してなかったからやり直そうと手紙が届く。

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第2話

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「ピエールは結婚している女性と付き合っている」
「え…!?そんな……ありえません!」
「嘘じゃない!相手はマリアと仲が良い親友のアイリだ」
「何を言うかと思えば…アイリはまだ結婚したばかりで…」
「驚くのも無理もないが真実なんだよ」

突然、永遠の愛を誓い合った心から信頼している婚約者のピエール殿下の人目をはばかる恋を聞かされ驚いて目を丸くするマリア令嬢にロベルト令息は続ける。その相手は予想をはるかに上回る人物で心臓が破裂しそうなほどだった。

「ではそれを裏付ける確実な証拠を見せてください。いくらロベルトお兄様のおっしゃることでも信用できません!」
「わかったよ。これが証拠だ」
「え…嘘…どうしてアイリ……なんで…」
「マリアしっかりしろ!」

ロベルトは信用に値する人だけど親友のアイリのことも深く信じているマリアは胸に疑心の渦が広がる。結婚して間もないアイリは学園に通っていた頃からの血の繋がりよりも大切な結び付きがある掛け替えのない親友。自分が悩みを抱えている時も救ってくれ励まし合い共に助け合った仲。そんな裏切りなどあろう筈がない。

悪ふざけが過ぎるという思いで確信が持てる証拠を望むと口にするマリアにロベルトは懐から一枚の写真を取り出して見せてくれた。二人が密会している確実な証拠をこの目でしっかりと確認したマリアはしばらく声が出ない。人の道を外れる親友の行為に理解が追いつかなくて不測の事態に脳が乱れる。

次の瞬間、宝石のように青く輝く美しい瞳の中に絶望が見えがっかりして立っていられないショックを受けたマリア。腰が抜けて身も心もぐったりと崩れ落ち地面が目の前にある寸前のところでロベルトに体を支えられると胸にすがって大粒の涙を流す。

「二人はバレてないと思ってるからマリアも何食わぬ顔で接してくれ。あいつもあれで察しがいいから絶対にピエールに悟られないようにな」
「はい…」

これからのことをロベルトから助言されて注意を促すように瞳を見つめながら念を押されると弱々しい声で返事をする。マリア令嬢はピエール殿下との結婚生活を夢見ていたさっきまでの自分に身ぶるいするほど失望して物悲しげに冷たく微笑む。
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