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第5話
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「アイシャ綺麗よ」
「結婚おめでとう」
パーティの時に意地の悪いバーバラとルージュがやってきて、アイシャの幸運に乗っかろうと調子のよいことばかりを並べたて目を血走らせて媚びへつらいました。
アイシャはどこ吹く風という雰囲気で聞き流していた。それに気分を害した二人はよからぬ企てを抱いていた。
「ナルセス様が逢い引きされてます」
メイドから初めて聞かされた時は驚いた。
「ナルセスが浮気をしている?そんなことあるはずがないでしょ」
結婚してから数ヶ月後、アイシャはゆったりと腰掛けて読書をしていたら、思わず椅子からずり落ちそうになる。
でもその理由は直ぐに思いつく事ができた。このところナルセスは職務が忙しいと言い、あまり会話もない。普通の夫婦なら話し合い二人で決めるような事も全てにおいて他人任せ。
「忙しいのは分かるけどもう少し話さない?」
「すまないけど疲れてるんだ。後にしてくれ」
今考えるとアイシャは何度もナルセスに対して、夫婦としての絆を深めようと働きかけてきたが駄目でした。お互いの愛情を確かめ合うために笑顔を絶やさぬようにと気を配った。
ですが、話し合いをしようと言ってもナルセスは素っ気ない返事ばかりで、冷たくアイシャを突き放してきた。
そのようなことを続き、アイシャはナルセスへの愛情は既に心の中で失っていたものと思っていた。でも今は、ナルセスの家庭を裏切る恋が発覚するまで何もできなかった自分が悔しいとさえ感じる。
「どうして?相手は誰なの……」
夫婦なんてそんなもの、と言ってしまえば簡単だが、やりきれない気持ちで暗くざわめき疑問を吐き出さずにはいられなかった。
「最初はちょっとした変化からでした。ナルセス様からしきりに香水の匂いがするようになったからです」
「私の香水じゃないの?」
「アイシャ様の香水の匂いは全て把握していますので……」
メイドがナルセスを疑いだしたのは匂い。香水をつけていないと言っているナルセスから甘い匂いが漂う。その日に限ってナルセスは少し落ち着きのない態度で、焦った表情をしていたと話す。
告げられてから、アイシャはナルセスのことを怪しまれない程度に観察するようになり、メイドの言う通り彼が変わったかな?と脳裏をよぎる。
「絶対に気付かれないように相手が誰なのか証拠を掴んでね」
「アイシャ様お任せください」
そこでナルセスが出かける時には、アイシャは陰で監視するように指示をした。妻の心配をよそに、隣で気持ち良さそうに寝息を立てているナルセスを見ながら、就寝前に頭を抱える日々が続く。
「結婚おめでとう」
パーティの時に意地の悪いバーバラとルージュがやってきて、アイシャの幸運に乗っかろうと調子のよいことばかりを並べたて目を血走らせて媚びへつらいました。
アイシャはどこ吹く風という雰囲気で聞き流していた。それに気分を害した二人はよからぬ企てを抱いていた。
「ナルセス様が逢い引きされてます」
メイドから初めて聞かされた時は驚いた。
「ナルセスが浮気をしている?そんなことあるはずがないでしょ」
結婚してから数ヶ月後、アイシャはゆったりと腰掛けて読書をしていたら、思わず椅子からずり落ちそうになる。
でもその理由は直ぐに思いつく事ができた。このところナルセスは職務が忙しいと言い、あまり会話もない。普通の夫婦なら話し合い二人で決めるような事も全てにおいて他人任せ。
「忙しいのは分かるけどもう少し話さない?」
「すまないけど疲れてるんだ。後にしてくれ」
今考えるとアイシャは何度もナルセスに対して、夫婦としての絆を深めようと働きかけてきたが駄目でした。お互いの愛情を確かめ合うために笑顔を絶やさぬようにと気を配った。
ですが、話し合いをしようと言ってもナルセスは素っ気ない返事ばかりで、冷たくアイシャを突き放してきた。
そのようなことを続き、アイシャはナルセスへの愛情は既に心の中で失っていたものと思っていた。でも今は、ナルセスの家庭を裏切る恋が発覚するまで何もできなかった自分が悔しいとさえ感じる。
「どうして?相手は誰なの……」
夫婦なんてそんなもの、と言ってしまえば簡単だが、やりきれない気持ちで暗くざわめき疑問を吐き出さずにはいられなかった。
「最初はちょっとした変化からでした。ナルセス様からしきりに香水の匂いがするようになったからです」
「私の香水じゃないの?」
「アイシャ様の香水の匂いは全て把握していますので……」
メイドがナルセスを疑いだしたのは匂い。香水をつけていないと言っているナルセスから甘い匂いが漂う。その日に限ってナルセスは少し落ち着きのない態度で、焦った表情をしていたと話す。
告げられてから、アイシャはナルセスのことを怪しまれない程度に観察するようになり、メイドの言う通り彼が変わったかな?と脳裏をよぎる。
「絶対に気付かれないように相手が誰なのか証拠を掴んでね」
「アイシャ様お任せください」
そこでナルセスが出かける時には、アイシャは陰で監視するように指示をした。妻の心配をよそに、隣で気持ち良さそうに寝息を立てているナルセスを見ながら、就寝前に頭を抱える日々が続く。
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