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第1話

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公爵令嬢アイシャの母モニカ夫人が深刻な病気にかかりました。

夫のジェラールは国中から名医を呼び寄せて診察させ薬を飲ませて治療しましたが、モニカ夫人は一向によくならず日を追うごとに痩せ細りやつれていきました。

モニカはもう自分の命は風前の灯のように長くないと悟りアイシャをベットに呼び寄せて言いました。

「アイシャいつも相手を敬い崇める心を持って生きるのですよ。そうすることで神様はあなたが苦しい時には救いの手を差し伸べて助けてくださるわ。私がいなくなってもいつもあなたのことを見守っていますからね」

そう言い終わると母はまぶたを閉じて息を引きとりました。

アイシャは週に一度は必ず母の墓に行き、掃除をし花を植えて今日の出来事を話していました。アイシャはモニカの教えを大切にし、礼儀正しく愛情深い性格に育ち母を心から尊敬していた。

モニカが亡くなってから三年が経った頃、ジェラールは二度目の結婚式を挙げました。

父の再婚相手のバーバラは娘を連れてきました。娘はルージュでアイシャよりも年上でした。バーバラは顔は美しく綺麗でルージュのほうも愛くるしげな顔だちをしていましたが、心は汚れていて邪悪な性格をしていました。

その日からアイシャの肉体的にも精神的にも耐えがたい苦しい生活が始まる。

「この世を去った前妻の娘のくせに私達と一緒の部屋にいるなんて許せない」
「その煌びやかなドレスもお前には釣り合いが取れていないわ」

バーバラが中心となってアイシャをいじめるようになった。バーバラはアイシャの彩りも鮮やかなドレスを全て奪いくすんだ色の仕事着を着るように命令しました。

「まあ、あの子の姿を見てごらんなさい。なんてみすぼらしい格好をしてるんでしょう」
「そうですわねお母様。アイシャにはお似合いですね」

バーバラがそう言うとルージュは大声を上げて笑い罵声を浴びせました。そしてアイシャを物置に連れて行きました。

「ここが今日からお前の部屋だ。わかったね。それとジェラールに助けを求めても無駄だよ。あの人は私の言いなりさ。分かったらとメイドと一緒にさっさと雑用をしてきなさい」

なんて恐ろしいことを言う継母なんでしょう。アイシャはブルブルと身を震わせました。

次の日からアイシャは朝から夜遅くまで辛い仕事を押しつけられました。朝はまだ暗い日の出前に起きて水を汲んできて運び薪を燃やし火をおこします。

そしてメイドと一緒に料理をして洗濯をしろと無理強いさせられました。更に継母と義姉はアイシャにありとあらゆる手段の心の痛みを与えて皮肉りせせら笑いました。

夜になると身体の疲労が極限に達するまで仕事をさせられ、その果てにベットで寝ることは厳禁でいつも物置の隅で横たわって寝ていた。
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