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第25話 幼馴染の勇者パーティー視点6

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「そうですね。何かクライアントから依頼されてるわけじゃないし……」
「今は緊急の用事もありませんわ」
「そういうわけだから僕たちに不都合はないけど?」

脳みそが無いと思われるほどのピーマン頭のアルスが仲間に尋ねると、ほとんど毎日寝所を共にする愛人の女性メンバーのエミリーとジェシカが、今のところは急ぎの予定はないと澄ました顔で答える。アルスの言う通り過密スケジュールというわけではなかった。

「そうですか!それなら泊まっていってください。ご迷惑でなければ大丈夫です」

勇者パーティーの彼らは、自分の申し出に気を悪くしたかもしれないと、不安そうに視線を投げていた男は次の瞬間、表情がぱあっと明るくなっていつまででも宿泊してくれと言う。

「でも一つだけ条件がある!」
「な、何でしょうか?」

ひどく神妙な顔つきになったアルスは改まった口調で切り出した。いきなり表情を変えるアルスに、男は不安な気持ちにおそわれる。

「さっきは皆で食事に行く途中でね。そしたらあなたの助けを呼ぶ悲鳴が聞こえて、僕たちは全力で走って駆けつけたんだ」

アルスは一同で食事に行こうとしていたところ、助けを呼ぶ男の悲鳴を聞きつけて真っ先に向かったと話した。実際には男を襲撃する寸前で、悲鳴が聞こえて頭は混乱気味で呆然と立ちつくしていた。

そうして男が強盗犯たちに襲われているのを勇者パーティーみんなで、しばらく放心したように空虚な眼差しで見ていた。見つめていたら、はっと我に返りを思いめぐらせて登場したのだ。

「そうだったのですか。それはお腹がすいていますよね。でしたら食事を用意しますので、ささやかですが召し上がってください」

一体なんだろうと思っていたら、食事という言葉を聞いて安心した顔になった。さらに自分を助けるために、食事も出来なくて申し訳ないという思いである。

今夜泊まっていただける事は決まっているので、それなら食事を提供し手厚くもてなしたいと話した。すると勇者パーティーは、みんな揃って空腹に苦しめられていると口々に喋り出す。

「そう言ってくれると嬉しいよ。実は僕たち腹ペコで死にそうだったんだ」
「お腹が減って倒れそうです……」
「さっきから空腹過ぎて軽いめまいを感じていました」
「早く美味い飯を食わせてくれ!酒も欲しいぞ」
「実は私たち朝から何も食べてないんです」

猛烈もうれつな空腹であることに気がついて、それぞれ情けない声で言う。みんな頭が異常ですぐに入院が必要なほどのギャンブル中毒者なので、食事をするのも忘れて病的なほどの欲望に支配された顔でキャンブルにのぼせ上がっていたのが真相だった。
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