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第9話

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現在ジェシカは恋人はいないがノアと付き合うのは考えられない。ノアは暗に復縁を迫るような呆れ返ることを平然と口にするがもう関わりたくなかった。

最初に振られた直後はなんだかんだ入れ込むほど好きだったから、しばらく苦痛そのものでノアの顔を思い出す度にどうしようもなく叫び出したいほど苛立たしくなったり不意に気落ちした。

「ジェシカの子供が欲しい」
「なに言っての?ふざけないで!」

実のところノアは反省の色も薄くあれから3回ほど彼女ができたが直ぐに別れてどれも長続きしなかったそう。

予告もなしに子供が欲しいと言われた時は背筋に冷たいものが走った。それにお互い干渉しないでおくと言う約束を破ったのであちらの両親に報告しようと思う。

「今日ノアに突然話しかけられて子供が作りたいとか言われた」
「お姉様もですか」
「どういうこと…まさかクロエも?」
「はい…今日の昼食後の休みに降ってわいたように現れてまたお付き合いしようと…」
「ふざけてるね」
「クズすぎます」

なんと妹のクロエにもモーションをかけてきた。君のことが忘れられないクロエとは前世で出会ったような気がすると思いを告げてきたと言う。

目の前から消えてくださいと伝えても全く意に介さない態度でしつこく口説いてきて肩を抱いてきたと話す。さすがにその時はとがめるような冷たい口調で抵抗した。

そのことを両親に伝えて抗議するとノアと両親が3日後に来訪する。

「不肖の息子が申し訳ない」

ひたすら平身低頭の姿勢で謝罪してノアの両親にはこちらが何となく後ろめたい気持ちになるほどでノアは両親に烈火のごとく怒鳴られ床に額をこすり付けて泣きながら詫びていました。

だけどその様子をじっと見ていても同情することもなく涙を誘われることもなかった。彼のすがりつくような視線と情けない泣き顔にひどくやるせない心持ちになるだけでした。

次の日、学園が終わりジェシカが帰ろうとしていたら性懲りもなくノアが姿を見せる。なんとも諦めが悪い男だとジェシカは無意識に表情を固くします。

昨日は土下座をして泣き叫びながら謝り両親から金輪際関わらないと何度も念を押され激しい説教されていたのにもう忘れてしまったのか?それとも私達が両親に報告したことに憎悪が湧き上がって報復しようとするつもりなのか?

「ジェシカちょっと止まって!」
「それ以上近づかないで。昨日のことをもう忘れてしまったの?」

ジェシカが視界に入ったノアは顔一杯に笑顔を浮かべていたが逃げようとしたので慌てて引き止めると、ふらふらと寄ってきて距離を詰めてくるが何となく不安な気持ちが片付かないジェシカは警戒するように瞳を細めて問いただした。

**********

新作『妹の婚約者が子供の時に好きだった人で誘惑すると、彼は妹に婚約破棄を告げた』の連載を始めました。
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