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第47話
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公爵家の主人たちの朝食中に、ハリーは突然新たな任務を言い渡される。今日のイリスのお見合いに、公爵家の忠実な下僕である元王子の彼が、随行員の一人としてイリスについて行くことになった。
――少し前
「私のような卑しく浅ましい男が、イリスお嬢様の付き人兼ボディーガードに抜擢されて本当によろしいのですか?」
最初イリスに不意に付いてくるように言われた時は、虚をつかれた思いなのであった。まさか自分みたいな品位に欠ける男がイリスお嬢様の付き人に選ばれるなんて……大変な名誉であるが不安げな面持ちになる。
ハリーと一緒に並んで立っている給仕係の女性たちも心配そうな視線をハリーに向けている。ハリーはスープのおかわりを奥様から命じられている時だった。
「ハリーなら問題ないんじゃないか。イリスどう思う?」
公爵家の当主が、ハリーの事を申しぶんなく信頼しているという風に話しはじめました。
「お父様、改めて言いますがハリーなら安心できますわ」
ハリーの推薦を認めるのは当然のことだという父に、イリスもとても嬉しそうな表情をした。
「それではハリー頼むぞ」
「旦那様、承知いたしました!どこへなりと喜んでイリスお嬢様にお供いたします!」
当主からエールを送られたハリーは身体をピンと伸ばして、この上なく真剣な顔をして俄然やる気を出したようだった。再び付き合い始めたイリスを守るために、全力を尽くさねばならないと気合が入ります。
「ハリー、娘のことを頼みましたよ」
「奥様、お任せください!」
奥様も激励してくださいました。ハリーは美しく優しい奥様の目を見つめて、イリスお嬢様のことは私にお任せくださいと実に堂々と答えた。
「お見合い相手の男は、かなりの遊び人で女の尻を追いかけているような男みたいですから、娘には指一本触れさせないように注意しなさい」
「わかりました。必ずやご期待に応えられるように頑張ります!」
イリスのお見合い相手は、相当なプレイボーイで実は今も数人の令嬢と交際しているのだ。そのようなだらしない男に、大切な娘を会わせたくないのが母の本心ですが、お見合いは決まってしまったので仕方ないという思いである。
奥様の気持ちを理解したハリーは、使命を全うする意思を高らかに表明するのだった。
――少し前
「私のような卑しく浅ましい男が、イリスお嬢様の付き人兼ボディーガードに抜擢されて本当によろしいのですか?」
最初イリスに不意に付いてくるように言われた時は、虚をつかれた思いなのであった。まさか自分みたいな品位に欠ける男がイリスお嬢様の付き人に選ばれるなんて……大変な名誉であるが不安げな面持ちになる。
ハリーと一緒に並んで立っている給仕係の女性たちも心配そうな視線をハリーに向けている。ハリーはスープのおかわりを奥様から命じられている時だった。
「ハリーなら問題ないんじゃないか。イリスどう思う?」
公爵家の当主が、ハリーの事を申しぶんなく信頼しているという風に話しはじめました。
「お父様、改めて言いますがハリーなら安心できますわ」
ハリーの推薦を認めるのは当然のことだという父に、イリスもとても嬉しそうな表情をした。
「それではハリー頼むぞ」
「旦那様、承知いたしました!どこへなりと喜んでイリスお嬢様にお供いたします!」
当主からエールを送られたハリーは身体をピンと伸ばして、この上なく真剣な顔をして俄然やる気を出したようだった。再び付き合い始めたイリスを守るために、全力を尽くさねばならないと気合が入ります。
「ハリー、娘のことを頼みましたよ」
「奥様、お任せください!」
奥様も激励してくださいました。ハリーは美しく優しい奥様の目を見つめて、イリスお嬢様のことは私にお任せくださいと実に堂々と答えた。
「お見合い相手の男は、かなりの遊び人で女の尻を追いかけているような男みたいですから、娘には指一本触れさせないように注意しなさい」
「わかりました。必ずやご期待に応えられるように頑張ります!」
イリスのお見合い相手は、相当なプレイボーイで実は今も数人の令嬢と交際しているのだ。そのようなだらしない男に、大切な娘を会わせたくないのが母の本心ですが、お見合いは決まってしまったので仕方ないという思いである。
奥様の気持ちを理解したハリーは、使命を全うする意思を高らかに表明するのだった。
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