婚約者の家に行ったら幼馴染がいた。彼と親密すぎて婚約破棄したい。

第32話

「私もう駄目かも……」
「そんなことはないよ」

実はエリザベスは不妊で苦しんでいた時期がありました。そんな時もジャックは明るく振舞って笑顔にさせてくれた。

子供好きなジャックの為にエリザベスは一生懸命に取り組む。何度目かで妊娠してジャックは嬉し過ぎて落ち着いていられなくなり飛び回る。

あんなに嬉しがってくれて良かった……。しかし、悲しいことに結果は流産。正直なところエリザベスは当初は子供があまり好きではなかったので、夫ほど妊娠を希望していませんでした。

ところが病院から帰って来ると、なんだが悲しくなり涙が止めどなく流れてきていつまでも尽きない。しばらく肩を震わせて泣きじゃくる。


「赤ちゃん駄目だった。ごめんなさい」
「そっか……」

知らせを聞いたジャックは仕事を切り上げて帰って来る。部屋で屈み込みしょんぼりした顔をしているエリザベスを見つけて、骨が砕けそうになるほど抱きしめます。

「僕は君さえいれば何もいらない！」

夫の胸の中で号泣する妻はその言葉を一生忘れない。日々生活していて唐突に思い出すと、にんまりと顔をほころばせている。

ジャックは赤ちゃん誕生計画を考えてくれて、その内容にエリザベスも少しずつ悩みが薄れ、やる気を取り戻し楽しく妊娠活動ができたことを感謝している。

その甲斐があって新たな命を授かることに。将来何があっても家族は守ると、普段は清らかな瞳を燃え上がらせて誓いを立てた表情をするエリザベスでした。


「ありがとうジャック」
「突然どうしたんだよ」

これから先の人生で、受難の日々や問題が発生した時もこの人となら乗り越えられるとエリザベスは強く思う。夫がいつもそばで支えて自分を見守ってくれる。

ジャックも同じ気持ちです。妻のおかげで夫婦の絆が深まっていることを常々実感していた。最近ではエリザベスは簡単な物だが趣味で料理をするようになり、ジャックも美味しいと喜びいっぱいの顔。

「ジャックと出会えて、今私は本当に生きていて幸せ！ジャックは最高の旦那様！」
「僕もだ。あどけない笑顔にいつも癒されているよ」

二人はベッドで横になっている子供の顔を眺めている。そうすると優しく妻の体を撫でるジャック。いつまでも和気あいあいとした家族で、恵まれた日々を過ごそうと穏やかな口調で言う。

エリザベスも家族以外で自分のことをこんなに愛してくれる人に出会えて、心底幸せだと感じ嬉しくて知らず知らずのうちに涙をこぼす。