6 / 14
第6話
しおりを挟む
「このまま部屋で帰りを待つ」
間違いなく浮気はしてることが分かりましたが、カミュの中でアリーナと幼馴染のシルビアのどちらが本命なのか、さっぱり見当が付きません。それをはっきり問い詰めたい。
アリーナは二人が帰ってくるのをダンジョンのボスのように待ち構えると言う。自分が部屋の中にいたらカミュはなにを感じるだろうかと、頭にちょっとしたいたずら心を起こしたのである。
「まずは部屋のどこかに隠れない?」
どんよりと沈んだ雰囲気に包まれていたが、ユリウスはその空気を吹き飛ばすように突拍子もないことを言い出した。
「どこに隠れるの?」
「僕の部屋しかないかな」
アリーナは隠れるような場所はどこにもないと思い質問すると、ユリウスは二人が隠れることのできるところと言えば自分の部屋しかないと答える。
「じゃあそこに潜みましょう」
「アリーナはカミュと話しても熱くならないでね」
「わかってる」
決断してしまうと、事態はびっくりするほどの速さで進んだ。話すときも落ち着いた気持ちでカミュを追い詰めようとユリウスは心配そうに促す。
渋い顔をしていましたがアリーナは同意する。だが一抹の不安な感情があったことは否めません。話し合いになれば感情を爆発させてカミュに怒声を放ち、部屋中に響き渡るほど叫んでしまうかもしれない。
「証拠の物は部屋にたくさん置いてあるから、僕達は冷静さを保って動けばいい」
「なんか急にユリウス頼もしくなったね」
「そう見える?高鳴る心臓をなだめるのに必死だよ」
部屋の中で待機して驚かせた時の相手の反応を見れば、こちらが詳しく問いたださなくても争いに決着をつけられるという結論になった。
アリーナとユリウスはカミュが帰ってくる時間になるまでは、向かい合って話し合いお互いに今後のことを相談して、ぼんやりとした会話を果てることなくしていた。
この場に来るまでは弱腰な態度を取って、いても役に立ちそうにないと不安に感じていましたが、途端にユリウスのことを実は頼り甲斐がいのある男性だと思い始める。
ところがユリウスのほうも内心ひやひやしているのが実情で、胸の中が締めつけられて緊張すると告白し、声には気持ちのゆとりがなくった響きが含まれていた。
「帰って来た……」
すでに部屋の明かりを消して、カミュの帰宅時間が迫ってきて二人は顔を引き締める。その瞬間ドアを開ける音が響いた。どうやらカミュが帰ってきたようで、アリーナは抑えた声を出す。
様々な複雑な思いが入り乱れる中、部屋中は息を飲んだかのように静まりかえった。
間違いなく浮気はしてることが分かりましたが、カミュの中でアリーナと幼馴染のシルビアのどちらが本命なのか、さっぱり見当が付きません。それをはっきり問い詰めたい。
アリーナは二人が帰ってくるのをダンジョンのボスのように待ち構えると言う。自分が部屋の中にいたらカミュはなにを感じるだろうかと、頭にちょっとしたいたずら心を起こしたのである。
「まずは部屋のどこかに隠れない?」
どんよりと沈んだ雰囲気に包まれていたが、ユリウスはその空気を吹き飛ばすように突拍子もないことを言い出した。
「どこに隠れるの?」
「僕の部屋しかないかな」
アリーナは隠れるような場所はどこにもないと思い質問すると、ユリウスは二人が隠れることのできるところと言えば自分の部屋しかないと答える。
「じゃあそこに潜みましょう」
「アリーナはカミュと話しても熱くならないでね」
「わかってる」
決断してしまうと、事態はびっくりするほどの速さで進んだ。話すときも落ち着いた気持ちでカミュを追い詰めようとユリウスは心配そうに促す。
渋い顔をしていましたがアリーナは同意する。だが一抹の不安な感情があったことは否めません。話し合いになれば感情を爆発させてカミュに怒声を放ち、部屋中に響き渡るほど叫んでしまうかもしれない。
「証拠の物は部屋にたくさん置いてあるから、僕達は冷静さを保って動けばいい」
「なんか急にユリウス頼もしくなったね」
「そう見える?高鳴る心臓をなだめるのに必死だよ」
部屋の中で待機して驚かせた時の相手の反応を見れば、こちらが詳しく問いたださなくても争いに決着をつけられるという結論になった。
アリーナとユリウスはカミュが帰ってくる時間になるまでは、向かい合って話し合いお互いに今後のことを相談して、ぼんやりとした会話を果てることなくしていた。
この場に来るまでは弱腰な態度を取って、いても役に立ちそうにないと不安に感じていましたが、途端にユリウスのことを実は頼り甲斐がいのある男性だと思い始める。
ところがユリウスのほうも内心ひやひやしているのが実情で、胸の中が締めつけられて緊張すると告白し、声には気持ちのゆとりがなくった響きが含まれていた。
「帰って来た……」
すでに部屋の明かりを消して、カミュの帰宅時間が迫ってきて二人は顔を引き締める。その瞬間ドアを開ける音が響いた。どうやらカミュが帰ってきたようで、アリーナは抑えた声を出す。
様々な複雑な思いが入り乱れる中、部屋中は息を飲んだかのように静まりかえった。
0
お気に入りに追加
773
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の苦悩
夕鈴
恋愛
伯爵令嬢ライラの婚約者の趣味は婚約破棄だった。
婚約破棄してほしいと願う婚約者を宥めることが面倒になった。10回目の申し出のときに了承することにした。ただ二人の中で婚約破棄の認識の違いがあった・・・。
[完結]離婚したいって泣くくらいなら、結婚する前に言ってくれ!
日向はび
恋愛
「離婚させてくれぇ」「泣くな!」結婚してすぐにビルドは「離婚して」とフィーナに泣きついてきた。2人が生まれる前の母親同士の約束により結婚したけれど、好きな人ができたから別れたいって、それなら結婚する前に言え! あまりに情けなく自分勝手なビルドの姿に、とうとう堪忍袋の尾が切れた。「慰謝料を要求します」「それは困る!」「困るじゃねー!」
どうも、未来の時間軸からやってまいりました。なので愛人だらけのあなたとは婚約破棄をいたします。
亜綺羅もも
恋愛
モニカ・フォンシーヌは夫のジュリアン・フォンシーヌにいつも不満だらけであった。
あちらこちらに愛人を作り浮気三昧。
辟易するモニカであったが、すでに両親が他界しており行く場所もなく仕方なく彼と離婚せずに辛い日々を送っていた。
しかしある日のこと、目を覚ますとジュリアンと結婚していない頃、モニカ・ダグラスに戻っていた。
戸惑うモニカであったが、ジュリアンとは結婚しないことを決め、彼との婚約を破棄することに。
そして幼馴染であるヴィクトール・ハイラントと真の愛を育んでいくのである。
私を捨てたのは貴方達
僕
恋愛
この国には、国を支える四つの公爵家があった。
一つが、自然の恵みを持つ公爵家。
二つが、闇と光を纏う公爵家。
三つが、魔力の源の公爵家。
そして、四つ目が、神に愛された公爵家である。
昔、精霊に与えられた四つの力。それらの当主は1世代に一人生まれる異能持ちの子。
この中のどれかの公爵家がなくなれば、国に平穏は二度と訪れない。
そして、私こと四つ目の公爵家、クローズロール家の、
エンリル・クローズロール。
私には姉アネリーがいる。家族や使用人などにも暴言を吐かれ、私は家の中に居場所がなかった。
なぜかというと、私は両親に似てなかったからだ。どちらかが不倫してできた子、の討論に発展し、姉の一言でその話は終わったそうだ
「なら、この子捨てちゃえばー?」
私は、酷く残酷な扱いを受けながらも、ここにいた。
息をしていた。
でも、ある日十八歳になった私は異能が使えることに気づいた。だから、私は殺された。あの、腐った親子達に。
暗い、何も見えない、何もわからない、暗いのは嫌。怖い、助けてよ。
「ごめんなさい、酷なことをさせてしまって……大丈夫、次は上手くできますよ、好きに生きてくださいね。ずっと、私達はいますから」
光が見えた、銀色の髪が見えた。
神に愛された公爵家、あぁ、なるほど。助けてくれたんだね。
次はうまくやるよ、抜け出してやる。
そして、私は五歳にもどった。
他の公爵家に引き取られ、当主の証異能が出てきた頃、エンリルは一度家に帰ることに。
神の血筋を受けた当主のエンリル、堂々とした立ち振る舞いに家族はとうとうこんな発言をしてしまう。
「出ていけ…!!異能などなくても姉がいるんだぞ!」
「わかりました」
「さぁ、どうなりますかね」
残ったのは、破滅だけでしょうが。
第一夫人が何もしないので、第二夫人候補の私は逃げ出したい
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のリドリー・アップルは、ソドム・ゴーリキー公爵と婚約することになった。彼との結婚が成立すれば、第二夫人という立場になる。
しかし、第一夫人であるミリアーヌは子作りもしなければ、夫人としての仕事はメイド達に押し付けていた。あまりにも何もせず、我が儘だけは通し、リドリーにも被害が及んでしまう。
ソドムもミリアーヌを叱責することはしなかった為に、リドリーは婚約破棄をしてほしいと申し出る。だが、そんなことは許されるはずもなく……リドリーの婚約破棄に向けた活動は続いていく。
そんな時、リドリーの前には救世主とも呼べる相手が現れることになり……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる