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19話
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「アンジェラ大変よ!」
ロバートの復縁を断った二日後のことだった。ダリアが落ち着きを失った様子でアンジェラに声をかける。
「お母様いかがなさいましたか?」
基本的に冷静沈着で感情を露わにしないダリアの過剰な慌てぶりに、アンジェラは何が起こったのかと不安な思いが頭をよぎる。
「ちょっとこれ見て」
「――っ!」
ダリアは片手に新聞を持っていた。注目してほしい記事があると言って新聞の一面を広げた。見た瞬間アンジェラは言葉を失った。驚きのあまりしばらく時が止まったように動けなかった。
アンジェラが口をぽかんと開けたまま絶句するのも無理もない。新聞の一面はロバートとニーナの裸姿の写真を掲載していた。
「アンジェラしっかりして!」
「あ、はい……お母様すみません。もう大丈夫です」
「私も最初に見た時は驚いてコーヒーを吹き出してしまったわ」
ダリアは固まっている愛娘の体を左右に揺らして、正気を取り戻すように声をかけていた。意識を回復させたアンジェラは心配するダリアに支障がないことを伝えた。アンジェラは見てはいけないものを見てしまったような気がした。
ダリアも最初に見た時は我が目を疑った。ちょうどその時、飲み物を口に入れてしまって思わず盛大に吹き出して、お行儀が悪いことをしてしまい反省していた。
「お母様それは仕方ありません」
「そうよね。アンジェラありがとう!」
ロバートとニーナの全裸写真は不可抗力な天災で、人の力では動揺したり驚くのを防ぐことは不可能だと言ってダリアをフォローする。とても礼儀正しくてマナーに厳しいダリアが、口に含んだ飲み物を吹き出すという恥ずべき行為をして泣き出しそう顔で落ち込んでいた。
溺愛している愛娘アンジェラに、こんな破廉恥な写真を見たら誰でも飲み物を吹き出すのは必然だと思うと共感してくれた。ダリアは涙が出るほど嬉しくて果てしない喜びを感じていた。
「私の可愛いアンジェラ!」
「お母様くすぐったいわ……そこだけはお許し願いたいのですが……」
ダリアは大満足した顔ですっかり感激して、今度はアンジェラの体をいきなり抱きしめた。それくらいではダリアの高ぶっている感情はおさまらなくて、愛娘の肌をコチョコチョとくすぐり始める。
アンジェラは純真に笑顔を浮かべて頑張って耐えている様子だが、ダリアの手は加減することなく小刻みに動いている。アンジェラが身をよじってもダリアはなかなか解放してくれなかった。
ロバートの復縁を断った二日後のことだった。ダリアが落ち着きを失った様子でアンジェラに声をかける。
「お母様いかがなさいましたか?」
基本的に冷静沈着で感情を露わにしないダリアの過剰な慌てぶりに、アンジェラは何が起こったのかと不安な思いが頭をよぎる。
「ちょっとこれ見て」
「――っ!」
ダリアは片手に新聞を持っていた。注目してほしい記事があると言って新聞の一面を広げた。見た瞬間アンジェラは言葉を失った。驚きのあまりしばらく時が止まったように動けなかった。
アンジェラが口をぽかんと開けたまま絶句するのも無理もない。新聞の一面はロバートとニーナの裸姿の写真を掲載していた。
「アンジェラしっかりして!」
「あ、はい……お母様すみません。もう大丈夫です」
「私も最初に見た時は驚いてコーヒーを吹き出してしまったわ」
ダリアは固まっている愛娘の体を左右に揺らして、正気を取り戻すように声をかけていた。意識を回復させたアンジェラは心配するダリアに支障がないことを伝えた。アンジェラは見てはいけないものを見てしまったような気がした。
ダリアも最初に見た時は我が目を疑った。ちょうどその時、飲み物を口に入れてしまって思わず盛大に吹き出して、お行儀が悪いことをしてしまい反省していた。
「お母様それは仕方ありません」
「そうよね。アンジェラありがとう!」
ロバートとニーナの全裸写真は不可抗力な天災で、人の力では動揺したり驚くのを防ぐことは不可能だと言ってダリアをフォローする。とても礼儀正しくてマナーに厳しいダリアが、口に含んだ飲み物を吹き出すという恥ずべき行為をして泣き出しそう顔で落ち込んでいた。
溺愛している愛娘アンジェラに、こんな破廉恥な写真を見たら誰でも飲み物を吹き出すのは必然だと思うと共感してくれた。ダリアは涙が出るほど嬉しくて果てしない喜びを感じていた。
「私の可愛いアンジェラ!」
「お母様くすぐったいわ……そこだけはお許し願いたいのですが……」
ダリアは大満足した顔ですっかり感激して、今度はアンジェラの体をいきなり抱きしめた。それくらいではダリアの高ぶっている感情はおさまらなくて、愛娘の肌をコチョコチョとくすぐり始める。
アンジェラは純真に笑顔を浮かべて頑張って耐えている様子だが、ダリアの手は加減することなく小刻みに動いている。アンジェラが身をよじってもダリアはなかなか解放してくれなかった。
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