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17話

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「武装した過激派グループは僕とニーナを公衆の面前で火あぶりにしろと言っているのですか?」
「そうだ」
「ひぇーっ」

ロバートは心配そうに眉間にしわを寄せて確認するように尋ねた。その顔には恐怖心があってロバートは真っ青になり手が震える。アンドレアがその通りだと認めると、深刻な事態に追いつめられたことを悟ったロバートは寂しげな声が口からこぼれ出た。

「だが助かる道がある」
「お父様教えてください!」
「アンジェラに許されれば何とかなるだろうな」

助かる見込みがないように思われてロバートは絶望のどん底に落ち込んでしまった。その時アンドレアが苦境から抜け出せる手段があると言葉をかけた。愚かな自分に特別に教えてほしいとロバートは余裕の感じられない様子で聞いた。

ロバートは差し迫った雰囲気を漂わせている。アンドレアは救済の唯一の希望はアンジェラに許しを得ることだと言う。

「その手がありましたか!」
「アンジェラが許してくれるとは限らないがな……」

ロバートはなるほどと納得する。目の前の霧が晴れ視界が明るくなった気分だった。決して容易なものではないとアンドレアは自分だけに聞こえる声でつぶやいた。誠意を尽くして謝ればアンジェラなら許してくれると考えて、すでにロバートは救われた心地になっていた。

「すぐにアンジェラに詫び状を送ろう。直接渡した方が良いかな?」

謝罪の手紙くらいでアンジェラの心は少しも動かないだろう。ロバートは腕組みをして難しい顔になってぶつぶつ独りごとを言っている。

「ロバートくれぐれも言っておくが一切協力はできぬぞ」
「分かっております!僕が一人でアンジェラの気持ちを取り戻します」

アンドレアは力を貸すことはできないと念を押しておいた。ロバートからの口からは勇ましい言葉が飛び出している。絶対に復縁してみせると真剣な顔で決意表明にも聞こえた。

(あまりに単純すぎる奴だ)

アンドレアは前向きな姿勢を見せるロバートに呆れて黙っていた。思考が短絡的すぎるだろうと複雑な心境で我が息子の無知さに驚いていた。かしこまった態度で退出したロバートは、早速アンジェラへの詫び状を書くようにと数少ない配下の者達に命じた。

その後ロバートはアンジェラに会いに行くのだが、従者として同行する者はいなかった。アンドレアから手助けはしないと事前に注意されたので、数人の近衛兵らによる護衛が付くこともなくロバートは単独で行動する。

ロバートはアンジェラの元にたどり着く前に何度も災難に巻き込まれる。アンジェラに深い感謝と敬意を表している人に何度も見つかり他人の悪意をもろに食らう。血相を変えて詰め寄られ怒りをこめて睨みつけられ情け容赦なしに批判を受けた。

「人が怖くて仕方がない……」

あらゆる人々からの明確な殺意を感じて、ロバートは何かに取りつかれたように全速力で走った。袋叩きにされてボロボロの格好のまま命からがら逃げ出したこともあった。ロバートは底知れない恐怖に怯えながら歩を進める。

ロバートは堂々と胸を張って歩いていると声をかけられすぐに見つかってしまうので、指名手配中の逃走犯人みたいに人込みを避けて裏道を歩くようにした。それでも通行人とすれ違う時に緊張して、びくびくした顔で背筋を凍らせた。
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