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15話
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ロバートは幼馴染のニーナと破局していたことが明らかになる。その事実がアンジェラには信じられなかった。話し合いの時も二人きりの世界に浸っていた。お互いに運命の相手だと認め合い愛情が重いと感じるほどの熱々のバカップルぶりを披露した。見ている方が恥ずかしく思うほどで始末に負えなかった。
「別れた理由は?」
「理由?うーん……」
アンジェラは全く動じてない顔をしてなんでもないような態度で尋ねた。あんなに愛し合っていたのに、どうして絶交してしまったのか気にかかる。ロバートはぽかんと口を開けた顔のまま少し考え込んでから言い始める。
「突然ニーナが別れようって言うから……いや違った別れる振りをしようと言ってきたんだ」
「へぇー、そうなの」
「国外追放を避けるためにね。でも僕はニーナとどうしても離れたくないから別れる振りでも嫌だと言ったら喧嘩になったんだ」
ロバートは馬鹿正直に情報を全部教えてくれた。そういう素直過ぎるところが哀れな男だとしみじみと感じる。逆にニーナのことをずる賢くて巧みな女性だと感想を持つ。アンジェラは軽い調子で相槌を打っていたが結構驚いていた。
(ロバートが知能低すぎてニーナはうんざりして見捨てたのね)
考えが一辺倒で融通の利かないロバートに、ニーナは愛想を尽かしたのだと思った。アンジェラは容易に想像できて実際のところ当たっている。ロバートは見事に堕ちて行ったけど自業自得でアンジェラは同情する気にもなりませんでした。
「アンジェラ僕は元の関係に戻りたい。ニーナとは一時の出来心だったんだ」
「昔から一緒に過ごしてきた幼馴染の関係なのに適当なことを言わないでください」
ロバートは復縁を迫るがアンジェラは断固拒否する強い意志を持っている。アンジェラといるよりニーナといる方が幸せになれるとか、ニーナを好きな気持ちは止められないとかロバートから言われた心ない意見を思い出していた。
(それにしても必死すぎる。何でしつこく復縁を迫ってくるの?)
あれほど面と向かって悪口を言っておきながら、まだ未練があるのかと思って呆れた。復縁をすることは現状ではとても無理な相談であるのにロバートの諦めの悪さも心に引っかかる。
アンジェラは一方的に婚約破棄を言い渡された時のことが脳裏にしっかり残っている。自尊心を傷つけられ言い知れぬ敗北感に打ちのめされ悔しい思いをした。
「アンジェラお願いだ!お父様にアンジェラに許してもらえたら勘当も国外追放も取り消すと言われたんだ」
「ふーん、そういうことね」
ロバートは半泣きで関係を修復しようと捨て身になっている理由が判明する。その瞬間アンジェラはロバートをひと泡ふかせてやりたい気持ちが芽ばえた。思わず口元に悪そうな笑みを浮かべたアンジェラの目がキラリと光っていた。
「別れた理由は?」
「理由?うーん……」
アンジェラは全く動じてない顔をしてなんでもないような態度で尋ねた。あんなに愛し合っていたのに、どうして絶交してしまったのか気にかかる。ロバートはぽかんと口を開けた顔のまま少し考え込んでから言い始める。
「突然ニーナが別れようって言うから……いや違った別れる振りをしようと言ってきたんだ」
「へぇー、そうなの」
「国外追放を避けるためにね。でも僕はニーナとどうしても離れたくないから別れる振りでも嫌だと言ったら喧嘩になったんだ」
ロバートは馬鹿正直に情報を全部教えてくれた。そういう素直過ぎるところが哀れな男だとしみじみと感じる。逆にニーナのことをずる賢くて巧みな女性だと感想を持つ。アンジェラは軽い調子で相槌を打っていたが結構驚いていた。
(ロバートが知能低すぎてニーナはうんざりして見捨てたのね)
考えが一辺倒で融通の利かないロバートに、ニーナは愛想を尽かしたのだと思った。アンジェラは容易に想像できて実際のところ当たっている。ロバートは見事に堕ちて行ったけど自業自得でアンジェラは同情する気にもなりませんでした。
「アンジェラ僕は元の関係に戻りたい。ニーナとは一時の出来心だったんだ」
「昔から一緒に過ごしてきた幼馴染の関係なのに適当なことを言わないでください」
ロバートは復縁を迫るがアンジェラは断固拒否する強い意志を持っている。アンジェラといるよりニーナといる方が幸せになれるとか、ニーナを好きな気持ちは止められないとかロバートから言われた心ない意見を思い出していた。
(それにしても必死すぎる。何でしつこく復縁を迫ってくるの?)
あれほど面と向かって悪口を言っておきながら、まだ未練があるのかと思って呆れた。復縁をすることは現状ではとても無理な相談であるのにロバートの諦めの悪さも心に引っかかる。
アンジェラは一方的に婚約破棄を言い渡された時のことが脳裏にしっかり残っている。自尊心を傷つけられ言い知れぬ敗北感に打ちのめされ悔しい思いをした。
「アンジェラお願いだ!お父様にアンジェラに許してもらえたら勘当も国外追放も取り消すと言われたんだ」
「ふーん、そういうことね」
ロバートは半泣きで関係を修復しようと捨て身になっている理由が判明する。その瞬間アンジェラはロバートをひと泡ふかせてやりたい気持ちが芽ばえた。思わず口元に悪そうな笑みを浮かべたアンジェラの目がキラリと光っていた。
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