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6話

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アンジェラが部屋に戻るとロバートの年下の幼馴染のニーナが加わっていた。一見する限りでは幼さが残る可愛らしい顔だが、意思の強さを感じさせる目をしている。ニーナと目が合うと悪意を含んだ目に涙をいっぱいにじませて睨みつけてきた。アンジェラは突き刺さるような視線を向けられて戸惑いながら話し合いの席についた。最初にアンドレア国王が話を切り出した。

「お前たちは一体どうなりたいんだ?」
「私はロバートと結婚したいです。いつかはこうなると思ってました。けどロバートと一緒なら私はどんなことにでも耐えられる自信と覚悟があります」
「ニーナよく言ってくれた。僕も同じ気持ちだよ。アンジェラにも言ってやってくれないか。まだ僕に未練があるみたいなんだ」

ニーナは自分の頭を整理しながら話し始めた。ロバートと結婚したいと言って二人なら、どんな苦境に立たされても乗り越えられるとかしこまった態度で言う。

ロバートはニーナの話を聞いてにんまりと嬉しそうな顔で話し出す。自分もニーナと同じ思いだと言ってから、アンジェラを冷酷極まりない眼差しで眺めると、意地悪そうな顔で耳を疑うような言葉を発した。アンジェラがロバートに未練たらたらで諦めが悪く、最後まで抵抗して自分たちの愛の邪魔をしていると言ったのだ。

(はぁ?ロバートなに言ってるの?)

アンジェラはロバートが冗談を言っているのではないかと疑うような顔をした。ロバートを見ると見下すような冷笑をしていた。アンジェラは黙っていましたが、ひどい侮辱を受けたような感じがして腹の虫がおさまらなかった。

「ロバートの気持ちはあなたから離れてる。もっと言えばロバートは最初から私だけを愛してたから、あなたのことを好きじゃなかったの。お願いだからもうロバートをあなたの呪縛じゅばくから解放して自由にしてあげて!」
「アンジェラわかったか?君がどんなに僕のことを好きで愛してくれても僕の心はニーナのものだから諦めてくれ。僕はニーナと結婚したいんだ!」

許されない愛を貫こうとする自分たちには、大きな試練が待ち受けている。それでも愛の保証を求め合い結ばれる運命を持っているとでも思っているのか?アンジェラは二人に堕ちるところまで堕ちてほしいという気分になった。

(私もロバートの事が全然好きじゃなかったよ……私と幼馴染の態度の落差がありすぎて、今までどれだけ惨めな思いをさせられたか)

アンジェラは勝手なことを喋りまくっているロバートとニーナに腹立たしく思いました。そもそもアンジェラとロバートの婚約が国の平和と安定のために王家から頼まれた政略結婚で愛などない。最初の顔合わせで外見がちょっと格好いいなと思ったくらいで、その部分しか好きなところはなかった。

アンジェラは日記をつけていた。ある日、ロバートと付き合い当初から書いたことを見返したことがあった時ふと気が付いた。彼の性格は思いやりがなく偉そうで気難しくて気分屋でわがままを言い放題と悪口ばかりを書いていた。

それでも仲良くなろうとアンジェラは愛想よく話しかけるが、ロバートからはそっけない返事しか返ってこなく冷たい態度なのに、ニーナという年下の幼馴染には気持ち悪いほど満面の笑みを浮かべて可愛がってばかりだった。

小さい頃に家族を失ったと聞かされてニーナの不幸な境遇に同情したが、いつもニーナが隣にいてデートにまで連れてきたりして、どっちが恋人なのかわからないとロバートへの文句と不満が丁寧にびっしり書きこんであった。
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