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3話

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ニーナの生活に転機が訪れる出来事があった。両親が馬車で移動中に事故で命を落とし、ニーナは幼くして天涯孤独てんがいこどくの身の上になった。運が良かったのかニーナはその場にいなかった。

家族を失った身寄りのないニーナにアンドレア国王とミランダ王妃も心を痛めて同情した。ロバートの強い希望でニーナを養女にする手続きはしてないが、養女格といったで結ばれあれこれ面倒を見てあげたりしている。

ロバートは年下の幼馴染のニーナのことを本当の妹のように可愛がっていたので、十歳を過ぎたばかりの頃のニーナに慰めの言葉をかけ励まし元気づけた。ニーナは正直なところ両親の死を聞かされても悲しむことはなかったが、周りにいるみんなが同情して特別扱いしてくれるので、事あるごとに悲しそうな顔をして悲痛な声をしぼりあげて泣く振りをしていた。

「僕とニーナは真剣に愛し合っています。ニーナと結婚したい!」
自惚うぬぼれるな!お前ごとき未熟者が真剣に愛し合ってるなどと口に出してはならぬ。この結婚がどれほど重要なものであるかわからんのか!」

ロバートは表情を引き締め真剣な顔を作って言い始める。ニーナのことは初めて本気で愛した女性で結婚したいと語った。アンドレアは額に青筋を張って吐き捨てるように言う。甘ったれた考えを持っている息子に血相を変えて怒りをぶちまけた。

「もう大人なんだから結婚する相手を親からとやかく言われたくない!」
「ロバート言ってることとやってることがおかしいですよ?あなたのやってることは大人がやることじゃないと思う」

ロバートの言葉にアンドレアは呆れて反論する気も起きなかったが苦痛に歪んだ顔をしている。その時、黙って聞いていたアンジェラが口を開いた。ロバートの言うことは筋が通っていないと冷静に言葉を返す。

もう大人だと言うなら相応の礼を尽くす義務がある。それをおこたって婚約破棄を一方的に宣言した。アンジェラは動揺していないように振る舞っていたが、内面ではロバートの無責任さに腹を立てていた。

「アンジェラ自分だけが被害者みたいな言い方をするな!」

アンジェラの意見は正論ではありますが、ロバートには倫理や常識など通用しなかった。アンジェラにも原因があるようなことを言う。ロバートは自分が悪いと頭ではわかっていても言い負かされるのが悔しくて、アンジェラに暴言にも近い言葉を投げ返してきた。
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