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2話

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「国王のおっしゃることはよくわかります。ですがロバートがここまで平気で裏切れる人だと分かったので、もう一度結婚を考える事はできません。ロバートの何を信頼していいのか分からないからです」
「アンジェラ、私が悪かった。ミランダが怒るのも当然だな。辛いことを言わせてしまって許してくれ」

アンジェラは複雑な思いがこみ上げてきて胸を痛めながら言う。アンドレアは苦しそうな顔して素直に謝っていた。出来の悪い息子を受け入れられないと言われたら返す言葉もなく無念そうな表情をした。

アンジェラとアンドレアとミランダは妙にしんみりした思いになっていた。婚約を祝いに来た招待客たちも気まずい雰囲気が漂っている。その感じのまま婚約パーティーは閉会するという異例の事態になった。ロバート王子が婚約破棄を宣言したことによって婚約パーティーは早々にお開きになった――

アンジェラとロバートとアンドレア国王とミランダ王妃は顔をしかめて黙りこんでいた。部屋の中に重苦しい沈黙が流れていた。

「ロバートこれが最後だ。一度しか聞かんぞ。先ほどの言葉は本気で言ったのか?」

長い沈黙の後、ようやくアンドレアは口を開いた。心して答えろという意味を込めた視線を送って改めて確認し直した。今は落ち着いて冷静になっているのでアンドレアは慎重な姿勢を見せた。

「お父様、祝いの席で僕がどんな気持ちで婚約破棄を宣言したと思ってるんですか?」
「お前の気持ちなんてどうでもよいわ!そんなことより婚約破棄を告げられ客の前で恥をかかされたアンジェラの気持ちがお前にわかるか!」

アンドレアは息子に向かって最後通告をしたが反省の色が薄く裏切られたような気がしてならなかった。誰もが見ている前で突然相手から一方的に婚約破棄が言い渡された。ロバートのせいでアンジェラがどんなに恥ずかしく辛い思いをしたことか。

「僕はニーナが好きなんです!」
「ニーナは妹みたいだと言っていただろう?」

国王と王妃ともにニーナという女性のことはよく知っている。ニーナは男爵家の長女として生まれて一人っ子で兄弟姉妹はいない。ロバートとニーナが初めて会ったのは幼い頃で、二人の関係は血のつながりはありませんが遠い親戚だと説明された。初対面のはずなのに不思議と気が合って子供らしく活発に遊んで過ごした。

ニーナはそれからも時々訪ねて来てくれた。親しくなるにつれてお互いに相手に好感を抱き始めていた。だんだんと成長するに従っていっそう心の惹かれるのを覚えた。二人は好きになっていることに気がついて生まれて初めて恋という切ない感情を覚えて胸がいっぱいになり、何をしていてもお互いの顔が頭の中でずっと浮かんで離れなかった。
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