11 / 14
第11話
しおりを挟む
「クロエ一体全体どうしたって言うんだ?マクシムを殴るなんて……」
二人の穏やかでない様子を傍観していられず慌てふためいて声をかけて来たのはレオン伯爵令息でした。
彼はマクシム殿下と幼い頃から馴れ親しんだ関係でクロエ令嬢とも仲の良い友人です。
「レオン誤解しないでくれ…僕が悪いんだから……どうかクロエを責めないでほしい」
「そう言われても僕には何がなんだか分からない」
「マクシムこれだけは答えて! イリスの言った事は真実なの?」
美少年は這い上がることができない谷に落ちた気持ちでしたが、反省するのは自分のほうだと恋人を擁護して懺悔の心がどこまでも尽きない。
ほとほと困り果てるレオン令息に美しい顔はマクシム殿下を睨みつけるほど真剣な目つきで問いただす。
「その通りだ……クロエ落ち着いた場所で話すから今はもう勘弁してくれ……」
クロエ令嬢は、イリス令嬢の言った事は嘘であってくれと最後に一縷の望みを抱いて噛み付くように質問するが恋人の口からは悲しい答えが返って来ました。
この出来事の張本人と言っていいマクシム殿下が事実と認めた。これは情報を裏付ける確実な証拠です。
クロエ令嬢は胸が切なさで硬直し意識が頭からこぼれ落ちていくようにその場に崩れ落ちる。
「二人ともしっかりしてくれ! こんな所でみんながこっちを見てるぞ!」
レオンが部屋全体に響き渡るような大声で子供を叱りつけるように言う。
ここは学園の食堂。クロエ令嬢は顔を上げて周りを見た。レオン令息の声で気持ちが鎮静すると人の目が気になり始める。
この場にいる生徒達は食事をしながら騒がしく話していました。
ところがクロエ令嬢とマクシム殿下の緊迫感が漂う雰囲気に、部屋の中が閉ざされて全員が凍りついたように静まり返っていたのです。
クロエ令嬢の顔は恥ずかしそうに赤く染まる。それ以上にマクシム殿下は穴があったら入りたい気持ちでした。
「クロエごめん……」
そう告げるとマクシム殿下は顔を両手で覆って肩を細かく震わせて捨てられたペットみたいに悲しい瞳で逃げるように立ち去る。
顔を手で隠したのは見苦しい印象の泣き顔を他の生徒達に見られたくなかった以外のなにものでもない。
マクシム殿下は恥ずかしいほど涙と鼻水がとまらずに流れ続けていましたから。
自分が泣いていることを誰にも気取られたくないという様子でしたが、あっけないほど簡単に透けて見えるほどでした。
二人の穏やかでない様子を傍観していられず慌てふためいて声をかけて来たのはレオン伯爵令息でした。
彼はマクシム殿下と幼い頃から馴れ親しんだ関係でクロエ令嬢とも仲の良い友人です。
「レオン誤解しないでくれ…僕が悪いんだから……どうかクロエを責めないでほしい」
「そう言われても僕には何がなんだか分からない」
「マクシムこれだけは答えて! イリスの言った事は真実なの?」
美少年は這い上がることができない谷に落ちた気持ちでしたが、反省するのは自分のほうだと恋人を擁護して懺悔の心がどこまでも尽きない。
ほとほと困り果てるレオン令息に美しい顔はマクシム殿下を睨みつけるほど真剣な目つきで問いただす。
「その通りだ……クロエ落ち着いた場所で話すから今はもう勘弁してくれ……」
クロエ令嬢は、イリス令嬢の言った事は嘘であってくれと最後に一縷の望みを抱いて噛み付くように質問するが恋人の口からは悲しい答えが返って来ました。
この出来事の張本人と言っていいマクシム殿下が事実と認めた。これは情報を裏付ける確実な証拠です。
クロエ令嬢は胸が切なさで硬直し意識が頭からこぼれ落ちていくようにその場に崩れ落ちる。
「二人ともしっかりしてくれ! こんな所でみんながこっちを見てるぞ!」
レオンが部屋全体に響き渡るような大声で子供を叱りつけるように言う。
ここは学園の食堂。クロエ令嬢は顔を上げて周りを見た。レオン令息の声で気持ちが鎮静すると人の目が気になり始める。
この場にいる生徒達は食事をしながら騒がしく話していました。
ところがクロエ令嬢とマクシム殿下の緊迫感が漂う雰囲気に、部屋の中が閉ざされて全員が凍りついたように静まり返っていたのです。
クロエ令嬢の顔は恥ずかしそうに赤く染まる。それ以上にマクシム殿下は穴があったら入りたい気持ちでした。
「クロエごめん……」
そう告げるとマクシム殿下は顔を両手で覆って肩を細かく震わせて捨てられたペットみたいに悲しい瞳で逃げるように立ち去る。
顔を手で隠したのは見苦しい印象の泣き顔を他の生徒達に見られたくなかった以外のなにものでもない。
マクシム殿下は恥ずかしいほど涙と鼻水がとまらずに流れ続けていましたから。
自分が泣いていることを誰にも気取られたくないという様子でしたが、あっけないほど簡単に透けて見えるほどでした。
0
お気に入りに追加
948
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。
藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。
学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。
そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。
それなら、婚約を解消いたしましょう。
そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です
くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」
身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。
期間は卒業まで。
彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる