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第4話

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イリス令嬢はこちらに顔を向けてあり得ないことを言いました。

「マクシムと別れて」
「は?」

間抜けな言葉を無意識に発するクロエ令嬢が気を取り直して口を開く。

「あなたは突然何を言ってるの?」
「別れてほしい。それでマクシムとは私が結婚します」

もうマクシム殿下を呼び捨てで呼ぶことは今は問題ではない。このタヌキ顔で少しタレ目の美少女はそれ以上のことを言い放っているのだから。

「そんな勝手なこと言われても……殿下の気持ちはどうなるの?」

このイリス令嬢が厚かましい性格で口から出まかせを言ってるだけでマクシム殿下はどう考えているのかと思う。

考えるほど頭が混乱してきて推測すればする程心が乱れてくる。

「殿下とは別れないし婚約破棄なんてしません!」

こんな意味不明な馬鹿ばかしいことを言われれば激怒して食ってかかるのは言うまでもない。

「マクシムはクロエ様と別れたいとおっしゃっていましたよ?」
「ありえません! 私達は婚約もして愛し合っています」
「知らなかったのはクロエ様だけです。私とマクシムは交際してもうすぐ1年なんです」
「そ、そうなの?」
「はい」

1年前から付き合っていると言われて一瞬動揺してしまったクロエ令嬢ですが持ちなおす。

イリス令嬢が勝手にでたらめを言っているだけだ。第一何も裏付けがない。

「あなたの一方的な言葉には騙されませんからね」
「殿下の様子がおかしいとか気づいてませんでしたか?」

しかしクロエ令嬢には心当たりがない。マクシム殿下もここ最近も何も変わらず、付き合い始めた時のように変わらずに優しく接してくれてる。
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