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第3話

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しばらくクロエ令嬢は紅茶を飲みながらその思わず笑ってしまうような下品な食事風景を観察しながら待っていて、彼女が一息ついたところで改めて話しかけます。

「それで話と言うのは? 殿下についてのようですが?」
「ちょっと待って…この後デザートも頼んでいますから……」

前から顔は知ってはいましたが、たった数十分前に初めて話して初顔合わせと言っていい相手。

それもイリス令嬢から話があると言われてここまでついてきてあげたのに、なんて礼儀知らずな態度の子だと絶句する。

「あの、クロエ様もなにか召しあがりませんか?」
「結構です!」
「そんなこと言わずにここのデザートはとても評判なんですよ。女性にも人気で……」
「私は話を聞きにここまで来たのだけれど?」

ここの店のお菓子が人気? そんなことは甘いものに目がないスイーツ大好物のクロエ令嬢はずっと以前に知っている。

乙女は太るのを気にして多くは食べられないけど、それでも使用人に頼んで買いに行ってもらい毎週満足そうに顔をほころばせて食べていました。

正直に言うと今ここの店のデザートを食べたい気持ちもありました。

しかし本能的な不快感を感じるイリス令嬢と自分が大好きな美味しいお菓子を食べたいとは微塵も思わなかった。

イリス令嬢は好き放題に甘いお菓子を食べて自分は心で涙を流しながら我慢するなんて。こんな悪事は見逃すわけには行かない。

これでどうでもいい話ならただでは済まさない。クロエ令嬢になんともいえない怒りがこみ上げてくる。

数分後、そのままでも美味しそうな色んな果実が乗ったケーキとこんがり焼き色の濃厚なクリームがたっぷり詰めこまれている甘ったるいデザートを食べ終わったようです。
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