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あれだけ無神経に誰に気兼ねすることもなくお菓子を食べていながら、両親に部屋で一人で食べたいとお願いした。

「皆がいるリビングでは気持ちが窮屈になって食べられない」

この家の主人であるリディアの両親は、エマにべた惚れなので顔を輝かせて喜んで許す。

溺愛するあまり『メイドが目に入り、緊張して落ち着かないなら部屋で食べればいい。自分の家だと思ってくつろぎなさい』と包み込むような口調でエマの傍若無人な行動を許容。

お菓子を大量に運び込むようにメイドに指図して、エマは自室にこもって貪欲に食べていた。

何を隠そう、リディアの部屋を提供してるのも両親。『私達の娘は学園に通って今は寮生活しているから、この部屋はエマが自由に使いなさい。娘もその方が喜ぶだろう』と見ず知らずの他人で、平民の子供をこれでもかと言うほど甘やかす。


「リディアお嬢様!」

その時急にドアが開きました。メイドが一人、ひどく動揺して正気を保っていない様子。丁寧にノックをすることもなく、何か精神的に追い詰められているような感じ。

「なにがあったの?」

メイドの顔の表情を見れば、深刻さや切迫した状況なのを瞬時に理解した。リディアは鋭い視線で返事を求める。

「ご両親様がご帰宅されて……私達は長時間に及んで厳しい叱責に執拗な追及をされました」
「そう、私が気を失っている間にそんなことが……ごめんなさい」
「リディアお嬢様がどうして謝るのですか?」

聞けばリディアが倒れて昏睡状態になった数分後に両親は帰って来たらしい。『これはどういうことだ!』床に倒れて息も絶え絶えな状態で置きっぱなしのエマを発見した父は、過去に例を見ない怒鳴り声を響かせる。

即断で家のメイドを全員呼びつけて、叩きつける様な口調で烈火のごとく説教を繰り返しました。メイドが説明しようとしても『言い訳をするな!』と情け容赦なく一喝が飛ぶ。

父は一度もメイドに反論の機会を与えてくれることはありませんでした。

「私は責任感を持って守ると約束いたしました。それなのにあなた達に苦しい思いをさせて自分が不甲斐ない……大方の予想はついています。今はお父様から私を呼んでくるように命令されたのでしょう?」
「おっしゃる通りです」
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