結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。

第23話 不妊の原因は夫

状況は予期せぬ急展開を迎えた。男はジェームズとナタリアのほうに近づいてくる。胸を張って堂々と歩いている男に出席者たちの視線が集中するが、男は周りの人の反応や評価を全く気にしない様子。男は何か決心したような顔で真剣な眼差しでナタリアを見つめていた。

「ナタリアーーーっ！僕たちは毎日あんなに愛し合ったじゃないか！」

腹の底から一気に迫力のある声を出してナタリアの名前を悲鳴のように叫んだ。式場にいる全員が一瞬びくっと身を震わせる。ざわざわと騒がしくなる中、男はナタリアへの断ち切れない愛情を切願するように言った。

「ナタリアは僕と結婚すべきだ！」

男はナタリアとの身を焼くような熱く切ない想いを告白すると、たちまち男はしんみりした表情に変わった。ナタリアとの思い出を語りはじめる。

「二人で何度も旅行に行ったよね？あの時は楽しかったな……旅行中にナタリアの友人に会った時は焦ったよね？ナタリア覚えてるかな？デートした時にナタリアの通う学園の先生を見つけて一緒に走って逃げたよね」

二人きりで泊まりがけの小旅行に行ったことを寂しそうな笑顔を見せて言う。その時に偶然にナタリアの友人に姿を見られてしまった。慌てふためいた口ぶりで苦しい言い訳でごまかした。

デートした時は学園の職員が視界の中に入ったら危機一髪のところ、風のように走ってスルリを味わい逃げた過去を思い出して懐かしく話した。

愛が重い男ですが身だしなみのよいイカした男なので、式場にいる大勢の美しい女性たちはドキッと気配が動いて恋の予感めいたものが胸に感じ、期待感に満ちた表情で男を見ている。

「あの、この人はナタリアの知ってる人？」
「え……？そ、そうよ。確かこの人は有名なミュージカル俳優さんで私たちの結婚式のために遠くから来てくれたみたい」
「そうなんだ。通りで演技がうまいと思ったよ」
「今思い出したけど、この人は昔は若きカリスマ俳優とか言われて高い演技力を兼ね備えた実力派よ」
「こんな熱意のこもった演技は初めて見た。素晴らしい俳優だな」

ジェームズはナタリアに顔を向けてごくナチュラルな声で聞いた。ナタリアは挙動不審な風ではあったが、それらしいことを言って誤魔化した。男の迫真の演技は圧倒的なものであり、優れた演技力の持ち主だとジェームズは感動の声を上げる。

ナタリアは自らの精神世界ではジェームズが無知な男で助かったと背筋に冷や汗を流していた。

「その男は種無しで子供は絶対に作れない。これが証拠だ！」

いきなり男は懐ふところから書類を取り出して見せて全員に聞こえるような大声で言った。男の声は式場全体に大きく響き渡る。男の職業は医師でナタリアとは真剣に付き合って結婚も考えていた。

男は証明書みたいなものを出した。そこには男性側の要因による不妊症と書かれていた。子供が出来ない原因はアメリアではなく、実はジェームズのほうにありました。アメリアはつい最近までは、自分のほうに問題があり子供ができないと思っていました。

アメリアは今まで検査を受けたことがなかったのだ。検査した報告書を見ると非常に妊娠しやすいという結果でした。よく話を聞いてみると実際のところ男性側に原因があり不妊の場合が以外に多いという。まず男性は検査を嫌がって受けない人が多いらしい。

「ジェームズあなたは種無しよ！」
「アメリア様、種無し男で誠に申し訳ございませんでした。どうかお許しを願います」

スイッチが入ったようにアメリアは立ち上がって声高に主張した。予告なしの出来事にジェームズは椅子から飛び上がると、アメリアに向かって土下座して自分の不妊に対して謝罪を行なった。

「アメリア様おめでとうございます！」

次の瞬間、周囲から一斉に拍手が沸き起こった。満場総立ちになってパチパチパチパチと長い熱心な拍手は絶え間なく続いていた。あの人もこの人も皆がアメリアを心から祝福しました。

ジェームズとナタリアの結婚式は粉々に砕け散った――

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新作「最近彼氏の様子がおかしい！私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。」を投稿しました。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。