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第1話 幼馴染と結婚して半年

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「まだ結婚して半年なのに……」

公爵夫人のアメリアは夫のジェームズの手紙を覗き見しました。話せば長いのですが数ヶ月くらい前から色々と不振に思う事があったのでいけないとは思いつつ中身を確認した。そして予想だにしなかった事態となってしまいました。

手紙では露骨な表現で相手との熱いやりとりを行っていました。しかも相手は一人じゃなかった。他の手紙も見たところ不倫相手は二人存在する。一人はナタリアという名前でどうやら若い学生のようです。

学生生活を送るかたわら周囲には秘密でジェームズと大人の付き合いをしている。手紙を見ると、その子はパパ活しないと生活できないから仕方がないと言っていました。ジェームズの方も夢に向かって努力している若い女性を応援したいと言っていたり、若い女性とデートを楽しみたいとふざけたことを言っていた。

アメリアもパパ活について小耳に挟んだことがありますが、学生の頃は真面目に試験勉強に追われていたアメリアからしたら何を考えてるんだという気持ちでした。

もう一人はアメリアと親しい友人のエリー。伯爵夫人の彼女は二人の子供の母であった。ほんの数日前に顔を合わせてお茶を飲み菓子を食べながら楽しく話したのに信じられなかった。手紙を見て確実に不倫をしているのは二人だけでまだ他にもいるかもしれません。どうやってジェームズに切り出すべきかとアメリアは悩んでいた。

「ニコラスお兄様、今はジェームズとは何もなかったように振る舞ってますが話をするのが辛いです」
「よく話してくれた。アメリアも大変だったね」

アメリアは兄のニコラスに相談していた。先日ニコラスは伯爵家の次期当主に擁立ようりつされ家督を相続した。普通なら親しい友人のエリーに相談して話をきいてもらっていますが、ジェームズと不倫関係を続けている彼女に相談できるわけがありません。

手紙はたまたまジェームズが置き忘れていたのを読んだ感じなのでもう触れない。すでに手紙はアメリアのわからない場所に隠してしまって何食わぬ顔で接してくる。ジェームズは何とも小賢こざかしい悪知恵が働く用心深い男なのです。

ジェームズは手紙を置き忘れたことに気がついてすぐに隠したようですがアメリアに見られたのでは?とアメリアの様子をかなりうかがっている気配である。この先どうしたらいいかはっきり言ってわかりませんとニコラスに打ち明けた。

二人の間に子供はいませんしアメリアは妊娠していませんがどうしていいものか。ジェームズの不倫相手に慰謝料を請求して別れさせたいですが、その後にジェームズをまた愛することができて許せるのかどうかも自信がないとニコラスに正直に話しました。
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