妹に幼馴染の王子を奪われて婚約破棄「お姉様の婚約者が欲しい！」追放されて魔王と結婚して国を壊してやり返した。

第33話

「そ、そんな……心が読めるなんて聞いていませんよ……あんまりです……うわああああああああああああんっ!!」

姉のアイラに予想外の事実を指摘してきされて、妹のマリアは希望を失った顔で何とも憂鬱ゆううつな気分に落ち込んでしまう。絶望ぜつぼうの涙を流しながら声をあげて泣き出した。

「……マリア……」

マリアは悲痛な声をしぼりあげて絶え間なく泣いている。悲しい声を耳にしていると、心優しい性格のアイラは、さすがに本気で心配になってきた。

床の上で声を枯からして泣くマリアをじっと見つめていたら、可哀想かわいそうでしょうがないという気持ちになってきた。落ち着いていられなくって細い声で妹の名前を漏もらしはじめた。

「泣き真似まねをするな！」

魔王ランドルフは不機嫌ふきげんな声で言った。あまり感情表現をしないランドルフが、少し顔を歪ゆがめたのもアイラは思わず驚おどろきの視線を投げた。

そして、マリアが泣き真似しているという事実に、とんでもない子だわと思い顔が引きつって完全に動かなくなった。

（泣いてたら自他じたともに認めるお人よしのお姉様が助けてくれるわ）

マリアは悔くやしい思いとなり苦境くきょうの中で考えていた。アイラの同情心を期待して泣き続けていたのです。姉妹しまいなので姉の性格はよく理解している。自分が身を震わせながら泣いていたら、痛ましく感じて姉は必ず救いの手を差し伸べてくれるだろうと、嫌らしい考えをしていたのだ。

実際にアイラは、マリアを助けようと席を立って歩きだそうとした。次の瞬間しゅんかん、ランドルフの声で行動をとれなくなったのである。心が読めるランドルフは、アイラを止めさせなければならないと思ったのです。

「アイラ」
「はいっ」
「お前の妹は心がねじ曲がっているな」
「……すみません……」

ランドルフは隣となりにいるアイラの顔を見ながら声をかけた。ほとんど即座そくざに返事をすると、ランドルフはマリアのことを性格破綻はたん者だと言う。心が切なく苦しくなったアイラは、小さく頭を下げて謝罪することしかできなかった。

「うわあああぁああぁあああああぁああぁああぁあっ!!!!」

二人の会話が終わった途端とたんに、マリアは悲鳴と泣き声を含んだ甲高かんだかい声で絶叫ぜっきょうしたのだ。突然マリアの体にスイッチが入ったみたいでした。これは嘘がない心の底からの叫びだった。

とは言え、魔王は我慢がまんならないほど不快な気分が心に広がっていき、とうとう満たされて限度いっぱいまで溜め込んでしまう。その時、感情を爆発させる。

「もう聞いてられん！よくも高周波こうしゅうはを放って耳を痛くさせたな。お前のような嘘つきはこの場で死刑にしてやるっ!!!!!」
「え……？」

躊躇ちゅうちょなく静かにしたマリアは、未知の恐怖を感じて思考しこうが止まった。