結婚式で王子を溺愛する幼馴染が泣き叫んで婚約破棄「妊娠した。慰謝料を払え!」花嫁は王子の返答に衝撃を受けた。

window

文字の大きさ
上 下
11 / 20

第11話 恋人と関係が崩れる原因は冷たい態度

しおりを挟む
次期国王の座が決まっていたエースは断絶処分にされた。自分の生まれ育った国を出て愛を捧げたアンジェリカと二人旅をした。

定住地として選んだ場所は故郷から遠く離れた淋しい海岸沿いの小さな村。この集落の村長に容認されて粗末な小屋をたてて二人は暮らしている。

二人は村に住めることになったが家がない。空き家もないので廃屋はいおくを修復し再活用することもできなかった。

家が完成するまで少し離れたところの宿屋に泊まろうと思っていたら、お人好しそうな感じの村長が金がかかると心配してくれて自分の屋敷に泊まらせてくれた。

華やかな雰囲気が漂う王子と貴族令嬢には、明らかに似つかわしくない場所で浮いた存在であることに周囲は戸惑いつつも平穏な日々を過ごしていた。

毎日の食事のように自然な日常会話の中でエースとアンジェリカはになっていた。

「あの人たちはどこから来たべか?」
「間違いなく都会育ちだべさ」
「若い男だったわ。頭がからっぽそうだけど……」
「変わった服着てたな」
「あれが垢抜けたファッションなんかな?」
「あげな色の強い服着てあの男は頭の発達がおかしいさ」
「金色にピカピカ輝いてる革靴だったべ」
「おいら目がチカチカしてしもうたわ」
「でも粋な男だった」
「このへんにはいない男だったわね」
「ありゃ嫁さんか?とんでもなく刺激的なドレス着てた」
「あたしゃ驚いて腰を抜かしてしもうた」
「あんな綺麗な人は見たことないわ」
「でも金のかかりそうな美人だったな」
「ですねぇ~」
「おらあんなべっぴんな娘は生まれて初めて見ただ」
「あれほど美しい子と一緒に寝られたら人生に後悔はありゃせん」
「だどもあれは扱いにくそうなおなごだべ」
「器量は良かったが性格がきつそうな顔してましたよ」
「男のほうも坊ちゃん育ちで畑仕事も漁師もつとまらねえなあ」

最初にエースを見た時は、あのは何だろう?と広間に集まった村人たちは口々に言いながら議論が盛り上がる。

田舎の道楽は新参者の噂話に花を咲かせる。みんな揃って言葉が自然と出てきて朝から晩まで話し続けた。特に相槌も打たずにそれぞれの話に静かに耳を傾けていた。

きらびやかな衣装で着飾るエースに、あれが都会風のオシャレな服なのか?と素朴な村人たちは不思議そうな顔をして首をかしげた。アンジェリカも赤いドレスを着ていやでも目をひく派手な格好をしている。

前例が見当たらない男と非現実的な美女の登場は、村人総出の楽しみで毎日食い入るように見つめて観察していた。

「――エリザベートから薬が届かない……何でなんだよ!」
「エースどうしたの?」
「アンジェリカ僕はどうすればいいんだ!」

軽い気持ちでアンジェリカが話しかけますが、エースは何もできないもどかしさに苛立ちだけが激しくなる。

「薬ならもうすぐ届くと思うよ」
「無責任な事を言うな!エリザベートは何をしてるんだよ。僕は薬を飲まないと身体が大変なことになるのに……」

アンジェリカの言葉は気やすめにすぎないと言っていい。でも少しでも彼を元気付けようと彼女もベストを尽くした気持ちだった。

エースは不機嫌な顔で頭ごなしに攻撃的な言い方をした。皆が見てる前で注意されて恥をかかされたり、村人の噂話や悪口を聞いて精神的ストレスが溜まりすぎていた。

エリザベートから薬が送られてこない事も不安で心がかき乱される。色々な事で心理的ダメージを受けてゆっくり眠ることもできなかった。睡眠不足になりいつも頭がぼんやりして苦しい思いを味わいながら生きていた。

初めて彼の冷たい態度に直面して、彼女はとても悲しそうな顔になって大粒の涙をこぼし続けた。
しおりを挟む
*****新作「病気で療養生活を送っていたら親友と浮気されて婚約破棄を決意。私を捨てたあの人は――人生のどん底に落とします。」を投稿しました。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

あなたにおすすめの小説

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない

ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。 ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。 ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。 ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

【完結】冷遇・婚約破棄の上、物扱いで軍人に下賜されたと思ったら、幼馴染に溺愛される生活になりました。

えんとっぷ
恋愛
【恋愛151位!(5/20確認時点)】 アルフレッド王子と婚約してからの間ずっと、冷遇に耐えてきたというのに。 愛人が複数いることも、罵倒されることも、アルフレッド王子がすべき政務をやらされていることも。 何年間も耐えてきたのに__ 「お前のような器量の悪い女が王家に嫁ぐなんて国家の恥も良いところだ。婚約破棄し、この娘と結婚することとする」 アルフレッド王子は新しい愛人の女の腰を寄せ、婚約破棄を告げる。 愛人はアルフレッド王子にしなだれかかって、得意げな顔をしている。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

【完結】王太子殿下が幼馴染を溺愛するので、あえて応援することにしました。

かとるり
恋愛
王太子のオースティンが愛するのは婚約者のティファニーではなく、幼馴染のリアンだった。 ティファニーは何度も傷つき、一つの結論に達する。 二人が結ばれるよう、あえて応援する、と。

お飾り王妃の愛と献身

石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。 けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。 ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。 国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。

お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです

めぐめぐ
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。 さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。 しかしナディアは全く気にしていなかった。 何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから―― 偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。 ※頭からっぽで ※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。 ※夫婦仲は良いです ※私がイメージするサバ女子です(笑)

幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。

メカ喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。 学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。 しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。 挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。 パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。 そうしてついに恐れていた事態が起きた。 レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。

某国王家の結婚事情

小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。 侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。 王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。 しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。

処理中です...