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第8話 立派な親でも子育ては本当に大変

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「本気で言っているのか?」

オリバーの声は国王に相応ふさわしく落ち着きぶりをみせて威厳を保ちながら尋ねました。場所は謁見えっけんの間であった。周りには大勢の臣下に仕えられオリバーは黄金の玉座に座っている。

「国王!あなたの判断は間違っている。この制裁はもう一度考え直す必要がある」
「妊娠しているアンジェリカを叩き出すなんて人でなしでなければ出来ませんわ」

床に膝をついた伯爵夫妻は顔を上げ眼球をするどく光らせオリバーに敵意を向けて言った。この夫婦はアンジェリカのことを超のつくほど愛情を注いでかわいがって育てたので溺愛ぶりは度を越していた。

アンジェリカが何をしても許してきた。まだアンジェリカが小さかった時に不注意で父の大切にしていた腕時計を壊してしまった。またある時には母の宝物の高価なアクセサリー類の宝石を身に付けてパーティーに出席したが、どこかで落として失くした事を家に帰ってから気がついた。

普通なら烈火のごとく怒られても仕方がない事だが、アンジェリカの両親は満面に笑みをたたえた顔でニコニコ笑いながら見つめて許していた。アンジェリカは何でも許してくれる両親が大好きで純粋に尊敬と愛情を感じていた。

その結果アンジェリカは甘やかされてワガママ極まりない性格に成長してしまった。子供を甘やかすばかりが慈悲ではありません。そういうオリバーもエースという息子の子育てには失敗した。

「全能の神の申し子と言われるエリザベート令嬢の結婚式を潰して呆れたもの言いだな。私の息子のエースと一緒にアンジェリカを国外追放の処分は妥当だとうなものであると判断した」

エースとアンジェリカに最終的に国外追放の罰を下したのはオリバーですが、国家が定める法律を法務官が慎重に検討してオリバーに適切な罰だと提案した。

オリバーという男も国の代表としてそれなりに人徳を備えている優秀な人物。数々の功績を残してきたが最も重要な一番素晴らしい功績は、国民が国に税金を納める必要が無くなったこと。オリバーは困難と思われていた税金を納めなくてすむ政策方針を実現させた。

その事が国民の多くの人々の熱烈な支持を受けて、今でも偉大なる指導者としてウィンストン王国のリーダーという立場に居座ることを許されている。

政策によって貧富の差が拡大しないようにしたり日々大変であるが、大規模な反乱が起こる事もなく無事に乗りきっているのはオリバーのおかげと言っていい。国によっては不満が爆発した人々が市民革命を目指して、デモや暴動が多発する異常事態が発生している。

「どうしてアンジェリカまで追放するんだ。お前のバカ息子だけを追放しろよ!それに何が神だ?国王がそんな世迷い事を本気で信じているのか!!」
「あんたは無能な国王よ!アンジェリカを返して!!エリザベートなんかよりも私たちの娘のほうが神に匹敵する可愛さで世界中で広く愛される存在です!!!」

アンジェリカの両親の目が興奮してきらめいていた。疑わしい視線でオリバーに向かって突然に必死の叫び声で爆発し、感情の熱が高まり不敬な発言をこれでもかと言うほど行った。

国王に対してマナーに反する振る舞いに大勢の臣下たちは驚いてざわついた。

二人は子供の追放が宣言された時には顔の驚きを隠すことができませんでした。いまだかつてないショックを受けて精神は崩壊しました。

手塩にかけてここまで育てあげてきた大事なアンジェリカを追放するなんて許せない。自分たちのすべての努力を無駄にされた思いで、何も悪くない被害者のエリザベートを非難することしか頭になかった。

だがそれは決して触れてはいけないパンドラの箱だったのだ。次の瞬間、冷静な態度で話していたオリバーの顔色がさっと変わり不満にいきどおりが飛び出す。

「おのれら我が子可愛さで頭がおかしくなったか!この際エースの親の私が無能と言われる批判は甘んじて受けるし、息子の悪口はどうでもいいがエリザベート令嬢への否定的な意見は絶対に許すことはできん。彼女のを忘れたわけではあるまい?」

オリバーは目の前の二人を殴りたくて怒りが燃え上がった。はっきり言って伯爵家夫妻の礼儀をわきまえない態度に、自分と息子の悪口は大した問題ではないが、エリザベートを軽んじて批判的な見解を唱える意見は断じて許せるものではない。

息子には花嫁を裏切らないというを身につけてほしかったとオリバーには永遠に終わらない重い影が心に残っている。

見事な政治的手腕を発揮したオリバーも子供がまさか結婚式で花嫁をないがしろにして、教会で誓いのキスをしたすぐ後に踏みにじるなんて考えもつかない晴天の霹靂へきれきといえた。

アンジェリカの親は置いといて、オリバー国王とオリビア王妃は良識のある本当に優れた親なのに、どうして息子のエースはクズの見本のような男なのか?子育ての難しさを感じる。
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