結婚式で王子を溺愛する幼馴染が泣き叫んで婚約破棄「妊娠した。慰謝料を払え！」花嫁は王子の返答に衝撃を受けた。

第3話 花嫁は国に重要な意味を持つ奇跡の女性

「……あれ？」

参列者たちの反応にエースは気持ちが混乱する。みんなから祝福されると思っていたのに恐ろしい剣幕で文句を言われてしまった。異常者を観察するような冷たい視線が自分に集中して心に痛みさえ感じる。

幼馴染のアンジェリカが迫って来て妊娠してると言った。間違いなく自分の子供だとわかったら放っておくわけにはいかない。二股交際していたのは悪いけどアンジェリカのお腹の子供には罪はないだろう？

そんなアンジェリカを受け入れた自分の事をみんなが褒め称えてくれると思っていたのにどうして？エースは疑問が頭にまとわりついていた。

「――エース！お前は何を言っておるのだ！」
「お父様！？」

エースの父オリバー現国王が近づいてきた。顔が怒りで赤くなり息子に叩き切るような言葉を放った。エースは頭がパニックなり大きく動揺する。

「エリザベート令嬢との結婚式で何を血迷ったか！」
「出過ぎたことを申しますが僕はアンジェリカとお腹の子供のために人生を捧ささげると誓ったのです」
「お前はこの結婚がどういうものか分かっているのか？」

この結婚がどんなに貴重なものであるかという事を理解しているのか？オリバーは低脳な息子を説得しますが、エースはアンジェリカの人生を背負い込むと真剣なまなざしだ。

「とても重要な意味が込められているのは承知いたしております」
「お前は何もわかっておらん。エリザベート令嬢がどれほど希少価値の高い女性だと……国王の私でさえ彼女と比べればゴミも同然の存在なのだぞ」

西欧風のメルヘンチックな雰囲気が残る古い石造りの美しい街並みが並んで、緑豊かな自然に囲まれたウィンストン王国は経済的に恵まれた環境でよその国にも一目置かれている。

実はエリザベートの能力で全てが保たれている国。生活の三大要素の衣食住すべてをエリザベートに依存してくらしている。

神が自分の姿に似せて彼女を創造したのではないか？という人々の耳に聞こえてくるエリザベートの評価は驚くことばかりで、何でも死人を再び生き返らせることもできるとも言われている。

実際には神がかり的な光景を目撃した人が別の人に話して聞いて噂が広まり、今では奇跡の女性として世の中に定着し彼女の伝説が周囲で囁ささやかれていた。

「エリザベート令嬢との結婚を白紙に戻すつもりならお前とは親子の縁を切る。それで彼女が許してくれるかわからないがな」

オリバーは熱心に説得を試みるがそれでもエースは首を縦に振らないので、息子に絶縁宣言を叩きつける大事件へ発展した。

「エース」

その瞬間エリザベートが口を挟む。止まらない親子喧嘩の荒らげた声によく通る澄んだ声が割り込んだ。