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第5話 恋しい人が助けに来た
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「は?この状況でまだそんなこと言ってるの?」
そんな言い訳が我々に通ると思っているのか?義妹のアイラはとがめるような冷たい口調を放ちエリザベートの顔を再び平手で打った。叩かれてエリザベートは鼻血を出した。とっさにハンカチを取り出して自分の鼻を押さえて震える手で鼻血を拭って悔し涙が溢れた。
「私は……家族の信頼を裏切ることはしていません」
あなた方家族の公爵家の当主であるオリバーが仕組んだ罠。そのことをエリザベートは理解しているので真実を伝えたいが、話を聞こうとしない義家族にどうしようもないって感じで肩をふるわせて項垂れていた。
残された力を振り絞ってひとりごとでもつぶやくように言う。エリザベートからしたら突然夫に不倫をでっち上げられた被害者本人なのに……。
「減らず口をたたく元気はあるのね?」
「まだ不倫を認めないというのか!」
「息子はとんでもない身持ちの悪い妻をつかまえたようですね」
エリザベートの言葉が気に障ったのか義家族は責め続ける。面々は塩でも舐めたような苦り切った表情で頭ごなしに怒鳴りつけてくる。歪んだ唇からは冷酷非情な言葉が吐かれた。
義家族からしたら伯爵家の娘を公爵家の一員に加えてあげたのに、不倫するなんて信じられないと煮えくり返るような思いだ。エリザベートを恩知らずの不親切者といって暴言を繰り返した。息づかいからどうにかしてやろうかという悪意の感情が伝わってきて、これほどおっかない顔して睨まれたのは生まれて初めてだった。
エリザベートは目に涙を溜めてひどく理不尽な仕打ちを受けた。異常なほどの神経の昂ぶった義家族の口振りには、どう反論しても無駄だと感じさせるものがあった。
自分を守るために椅子から立って前に立ちふさがったが、突き飛ばされて頭を打って床に倒れて気を失っている弁護士を心配そうな顔をして見ながら、怖くてしょうがないので横暴にひたすら我慢して耐えるよりほかなかった。
「僕が何度誘っても断るくせに義姉さんがそんな尻軽だとは思わなかったよ!」
「ジャックは黙ってなさい」
次男のジャックは一人だけふざけたことをぬかしていたが、呆れたような顔をしてため息をついた義母に咎められていた。エリザベートからしたら勝手に好きになられて迷惑この上ない困った義弟という気持ちしかない。
「――エリザベート!」
その瞬間、部屋の扉を開く。頭の中に懐かしい声が聞こえた。聞き覚えのある声はエリザベートの苦痛と圧迫を消して平和な気分にしてくれる。現状の地獄から救い出してくれたのはエリザベートの実兄のレオンでした。
「レオンお兄様!」
助けてって思ったら本当に助けにきてくれた。小さい頃から世話を焼いてくれた兄のことを慕っていた。人を好きになるという感情を最初に教えてくれた初恋の人。エリザベートは嬉しさでいっぱいで涙が頬を流れ落ちた。
そんな言い訳が我々に通ると思っているのか?義妹のアイラはとがめるような冷たい口調を放ちエリザベートの顔を再び平手で打った。叩かれてエリザベートは鼻血を出した。とっさにハンカチを取り出して自分の鼻を押さえて震える手で鼻血を拭って悔し涙が溢れた。
「私は……家族の信頼を裏切ることはしていません」
あなた方家族の公爵家の当主であるオリバーが仕組んだ罠。そのことをエリザベートは理解しているので真実を伝えたいが、話を聞こうとしない義家族にどうしようもないって感じで肩をふるわせて項垂れていた。
残された力を振り絞ってひとりごとでもつぶやくように言う。エリザベートからしたら突然夫に不倫をでっち上げられた被害者本人なのに……。
「減らず口をたたく元気はあるのね?」
「まだ不倫を認めないというのか!」
「息子はとんでもない身持ちの悪い妻をつかまえたようですね」
エリザベートの言葉が気に障ったのか義家族は責め続ける。面々は塩でも舐めたような苦り切った表情で頭ごなしに怒鳴りつけてくる。歪んだ唇からは冷酷非情な言葉が吐かれた。
義家族からしたら伯爵家の娘を公爵家の一員に加えてあげたのに、不倫するなんて信じられないと煮えくり返るような思いだ。エリザベートを恩知らずの不親切者といって暴言を繰り返した。息づかいからどうにかしてやろうかという悪意の感情が伝わってきて、これほどおっかない顔して睨まれたのは生まれて初めてだった。
エリザベートは目に涙を溜めてひどく理不尽な仕打ちを受けた。異常なほどの神経の昂ぶった義家族の口振りには、どう反論しても無駄だと感じさせるものがあった。
自分を守るために椅子から立って前に立ちふさがったが、突き飛ばされて頭を打って床に倒れて気を失っている弁護士を心配そうな顔をして見ながら、怖くてしょうがないので横暴にひたすら我慢して耐えるよりほかなかった。
「僕が何度誘っても断るくせに義姉さんがそんな尻軽だとは思わなかったよ!」
「ジャックは黙ってなさい」
次男のジャックは一人だけふざけたことをぬかしていたが、呆れたような顔をしてため息をついた義母に咎められていた。エリザベートからしたら勝手に好きになられて迷惑この上ない困った義弟という気持ちしかない。
「――エリザベート!」
その瞬間、部屋の扉を開く。頭の中に懐かしい声が聞こえた。聞き覚えのある声はエリザベートの苦痛と圧迫を消して平和な気分にしてくれる。現状の地獄から救い出してくれたのはエリザベートの実兄のレオンでした。
「レオンお兄様!」
助けてって思ったら本当に助けにきてくれた。小さい頃から世話を焼いてくれた兄のことを慕っていた。人を好きになるという感情を最初に教えてくれた初恋の人。エリザベートは嬉しさでいっぱいで涙が頬を流れ落ちた。
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