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第19話
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スイッチが入ったみたいに予兆もなしに弟のリカルド令息がきつい目をして、ガブリエル殿下に突っかかるような口調で我慢のならない震えるほどの怒りを抱いた。
あの誰にでも優しく思いやりのある弟がどうしたんだろう?常日頃から弟の声は穏やかな波を保ったままなのに。
アイラ令嬢が少しだけ髪型を変えた時でも「変わったね?いつもと雰囲気が違うから…」と気づいてくれて化粧をしてない時でも「十分かわいい!今のほうが良い!」と言ってくれる。
地味なドレスの時でも「姉さんが輝いているから問題ない」と大きな澄んだ瞳をキラキラさせながら褒めて喜ばせてくれる弟。
にも関わらずあんなに憎しみを含んだ眼で声を震わせてガブリエル殿下を口汚くののしっている。
実を言えばリカルド令息が血相を変えて怒りをぶちまけるのを見るのはこれで2回目でした。最初は姉のアイラ令嬢が婚約を決めた時です。
「姉さんがあんな奴と結婚するなんて嫌だ!僕の心は涙を流して耐えられない!肉体が滅びるような切ない気分です!」
その時も顔を真っ赤にして瞳が怒りに燃えていました。本当に大げさなほど怒った顔をして婚約者のガブリエル殿下に対して狂気めいた感情がこもっていました。
「馬鹿なこと言わないで!」
そう叫んだ姉のアイラ令嬢は初めて弟の顔を叩きました。自分の子供のように可愛がってきて驚くほどに大事にしてきた弟。
その弟の頬に平手打ちしてしまい自己嫌悪にはまり込み、目からは大粒の涙がこぼれて言いようのない悔し涙がいつまでも止まらない。
でもリカルド令息がナイフを取り出して、これで刺してください愛している姉の手で最期を迎えるなら僕は本望ですなどと真剣な顔で正気の沙汰ではないことを言うのです。
とにかく弟を止めたくて冷静にさせるために必死になりアイラ令嬢にはそうするしかありませんでした。がむしゃらにできる限りのことをやったと思う。
「姉さんごめんなさい…」
「私のほうこそごめんね…痛かったよね…」
「全て僕が悪いんです…姉さんは何も悪くないから謝らないでください。姉さんは僕の生きがいで守っていきたいと思っています」
「ありがとう…嬉しい…」
今にも泣き出しそうな声をした吸い込まれてしまうほどの美少年の瞳には涙が浮かんでいますが、男の子なので強がってそれでも泣くまいと天使は我慢しています。
「もう大丈夫だよね?私はあなたがとても大切なの。二度とそんな悲しいこと言わないでね」
「はい…」
満面の笑顔を見せながら優しく諭すような口調でアイラ令嬢が抱きしめると安心感で弟の眉間のシワがほどけて心音も安定し緩やかになっていきました。
(姉さんは僕の運命の人だと分かったんだ)リカルド令息は過去の出来事から心の中でずっとそう思っている。
つい先ほどの気性が激しい弟の衝動が波のように引いていき、アイラ令嬢の包み込むような表情で気持ちも次第に落ち着いて健全な精神を取り戻す。
弟のリカルド令息の怒りや憎悪の心は氷が溶けるように小さくなり、愛情で体が震えるほど大好きな姉のアイラ令嬢の胸の中でまぶたを閉じた。
子犬のような可愛らしい顔に戻った美少年は幸せそうに意識が落ちていく。
あの誰にでも優しく思いやりのある弟がどうしたんだろう?常日頃から弟の声は穏やかな波を保ったままなのに。
アイラ令嬢が少しだけ髪型を変えた時でも「変わったね?いつもと雰囲気が違うから…」と気づいてくれて化粧をしてない時でも「十分かわいい!今のほうが良い!」と言ってくれる。
地味なドレスの時でも「姉さんが輝いているから問題ない」と大きな澄んだ瞳をキラキラさせながら褒めて喜ばせてくれる弟。
にも関わらずあんなに憎しみを含んだ眼で声を震わせてガブリエル殿下を口汚くののしっている。
実を言えばリカルド令息が血相を変えて怒りをぶちまけるのを見るのはこれで2回目でした。最初は姉のアイラ令嬢が婚約を決めた時です。
「姉さんがあんな奴と結婚するなんて嫌だ!僕の心は涙を流して耐えられない!肉体が滅びるような切ない気分です!」
その時も顔を真っ赤にして瞳が怒りに燃えていました。本当に大げさなほど怒った顔をして婚約者のガブリエル殿下に対して狂気めいた感情がこもっていました。
「馬鹿なこと言わないで!」
そう叫んだ姉のアイラ令嬢は初めて弟の顔を叩きました。自分の子供のように可愛がってきて驚くほどに大事にしてきた弟。
その弟の頬に平手打ちしてしまい自己嫌悪にはまり込み、目からは大粒の涙がこぼれて言いようのない悔し涙がいつまでも止まらない。
でもリカルド令息がナイフを取り出して、これで刺してください愛している姉の手で最期を迎えるなら僕は本望ですなどと真剣な顔で正気の沙汰ではないことを言うのです。
とにかく弟を止めたくて冷静にさせるために必死になりアイラ令嬢にはそうするしかありませんでした。がむしゃらにできる限りのことをやったと思う。
「姉さんごめんなさい…」
「私のほうこそごめんね…痛かったよね…」
「全て僕が悪いんです…姉さんは何も悪くないから謝らないでください。姉さんは僕の生きがいで守っていきたいと思っています」
「ありがとう…嬉しい…」
今にも泣き出しそうな声をした吸い込まれてしまうほどの美少年の瞳には涙が浮かんでいますが、男の子なので強がってそれでも泣くまいと天使は我慢しています。
「もう大丈夫だよね?私はあなたがとても大切なの。二度とそんな悲しいこと言わないでね」
「はい…」
満面の笑顔を見せながら優しく諭すような口調でアイラ令嬢が抱きしめると安心感で弟の眉間のシワがほどけて心音も安定し緩やかになっていきました。
(姉さんは僕の運命の人だと分かったんだ)リカルド令息は過去の出来事から心の中でずっとそう思っている。
つい先ほどの気性が激しい弟の衝動が波のように引いていき、アイラ令嬢の包み込むような表情で気持ちも次第に落ち着いて健全な精神を取り戻す。
弟のリカルド令息の怒りや憎悪の心は氷が溶けるように小さくなり、愛情で体が震えるほど大好きな姉のアイラ令嬢の胸の中でまぶたを閉じた。
子犬のような可愛らしい顔に戻った美少年は幸せそうに意識が落ちていく。
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