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第8話
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テリーはフローラに後ろめたさを感じながら、アリスと秘密の逢瀬を重ねて、互いへの思いを募らせる。静かに水面下での交際は続いて数ヶ月経った。
「誰よりも責任感があり、信頼できる男のテリーに任せたい。これは生徒と教師の皆からの推薦だ」
「そこまで言われたら僕は断れませんね」
近々開催される学園祭でテリーは大事な役目を任される。その結果、残念ながらフローラとアリスに触れ合える時間が減っていく。
「寂しいけど気にしてないよ。実行委員の仕事頑張ってね」
「すまない。頼まれたから断れなかった」
だけどそんな状態でも二人と会った時には、いつも広い心で接してくれていた。切なそうな表情のテリーは会えなくて申し訳ない気持ちを素直に伝えました。
「これからは慌ただしくなるから今のうちに休んでおけ」
その日は学園祭の準備の仕事はけっこう暇だった。教師からは体を休めておくように言われた。
「今日は割と楽だったけど昨年も大体こんな感じだ。でも明日からは忙しくなるぞ」
「そうなんですか」
先輩とそんな会話を交わして学園を後にする。今日も遅くまでかかると思っていたテリーは、予想外に早く切り上げられてフローラかアリスに会いに行こうと考えていた。
「ちょっと寄ってほしいところがある」
時間は夕方頃、学園から帰宅途中の馬車の中で、テリーは頭にある考えが閃いたのである。久しぶりに会うフローラとアリスに何かプレゼントしたほうがいいなと思ったのだ。
ネックレス、ブレスレット、リングなのかまだ買う物は決めてませんが、とりあえず声を張り上げて御者に宝石店へ向かうように伝えたのです。
しばらく進むと馬車が止まり、目的の場所に到着した。テリーは高級そうな店構えに気圧されることもなく、慣れたように入っていく。
「いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか?」
「特に決まってないが彼女へのサプライズで何か贈りたい」
「そうでしたか。それはお喜びになりますね」
あまりジュエリーに詳しくないテリーは、店に入ると何を買おうか迷っていた。すると店員が話しかけてきて、おすすめの物や人気のブランドを聞いたりして選んでいた。
何をプレゼントしたらフローラとアリスは喜んでくれるのかな?テリーが頭を悩ませていると、店にあるカップルが入ってきた。無意識にそちらに顔を向ける。
「アリス……?」
テリーの視線の先では、寄り添って歩く男女の姿があり、まっすぐにこちらに向かってくる。店の中に男がいることは二人は認識しているが、まだテリーだと気がついていない様子。
胸がざわめいたテリーは、反射的に店の奥のほうに走り隠れる。女性のほうは間違いなくアリスだった。いかにも恋人といった感じの二人をテリーは目で追っていた。
「誰よりも責任感があり、信頼できる男のテリーに任せたい。これは生徒と教師の皆からの推薦だ」
「そこまで言われたら僕は断れませんね」
近々開催される学園祭でテリーは大事な役目を任される。その結果、残念ながらフローラとアリスに触れ合える時間が減っていく。
「寂しいけど気にしてないよ。実行委員の仕事頑張ってね」
「すまない。頼まれたから断れなかった」
だけどそんな状態でも二人と会った時には、いつも広い心で接してくれていた。切なそうな表情のテリーは会えなくて申し訳ない気持ちを素直に伝えました。
「これからは慌ただしくなるから今のうちに休んでおけ」
その日は学園祭の準備の仕事はけっこう暇だった。教師からは体を休めておくように言われた。
「今日は割と楽だったけど昨年も大体こんな感じだ。でも明日からは忙しくなるぞ」
「そうなんですか」
先輩とそんな会話を交わして学園を後にする。今日も遅くまでかかると思っていたテリーは、予想外に早く切り上げられてフローラかアリスに会いに行こうと考えていた。
「ちょっと寄ってほしいところがある」
時間は夕方頃、学園から帰宅途中の馬車の中で、テリーは頭にある考えが閃いたのである。久しぶりに会うフローラとアリスに何かプレゼントしたほうがいいなと思ったのだ。
ネックレス、ブレスレット、リングなのかまだ買う物は決めてませんが、とりあえず声を張り上げて御者に宝石店へ向かうように伝えたのです。
しばらく進むと馬車が止まり、目的の場所に到着した。テリーは高級そうな店構えに気圧されることもなく、慣れたように入っていく。
「いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか?」
「特に決まってないが彼女へのサプライズで何か贈りたい」
「そうでしたか。それはお喜びになりますね」
あまりジュエリーに詳しくないテリーは、店に入ると何を買おうか迷っていた。すると店員が話しかけてきて、おすすめの物や人気のブランドを聞いたりして選んでいた。
何をプレゼントしたらフローラとアリスは喜んでくれるのかな?テリーが頭を悩ませていると、店にあるカップルが入ってきた。無意識にそちらに顔を向ける。
「アリス……?」
テリーの視線の先では、寄り添って歩く男女の姿があり、まっすぐにこちらに向かってくる。店の中に男がいることは二人は認識しているが、まだテリーだと気がついていない様子。
胸がざわめいたテリーは、反射的に店の奥のほうに走り隠れる。女性のほうは間違いなくアリスだった。いかにも恋人といった感じの二人をテリーは目で追っていた。
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