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第22話
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「フローラお姉様!」
「エリザベスどうしたの?」
「最近アメリアお姉様の様子がおかしい気がします」
エリザベスは焦りを抑えきれないくらい乱れた感じでフローラに声をかけた。エリザベスは額に汗をかいていた。よく見ると前髪は汗のせいで顔に貼りついている。声には追い詰められた心境も感じ取れた。
フローラは落ち着いた声で聞いたが、妹の雰囲気から並大抵のことではないと思った。アメリアの事だった。エリザベスはこのごろアメリアの態度に違和感があるような気がすると言う。
「私もですよ。アメリアが何か変わったな……?と思っていました」
「フローラお姉様も同じ気持ちでしたか」
フローラもアメリアの様子がここ最近いつもと少し違うと感じていた。エリザベスは自分だけの思い違いでなかったという事が分かって疑問が解けたような気分になる。
二人は少しだけアメリアが変わったと控えめに言ったが、はっきり言えば同じ人とは思えないくらい別人のように、アメリアは見た目と性格がガラッと変わった。
「アメリアのことを追い詰めすぎたかしら?」
「今からアメリアお姉様に謝れば許してくれるかもしれませんよ?」
「もう無理ですよ。今のアメリアは前と正反対になってますからね」
二人は立ち止まって話している間に、ごく自然に恐怖で顔が青くなっていた。フローラはアメリアに対して追い詰めてやり過ぎてしまったと、自分の良心の苦痛を感じてつぶやいた。エリザベスは体が震えて尽きることがない不安に襲われる。
エリザベスはついに降伏を申し出ようとアメリアに許しを乞うような言葉を口にする。ひたすら平身低頭して泣きながら謝ればアメリアは許してくれるかもとエリザベスが言う。
フローラは不安とストレスで吐き気を感じている。アメリアが前と全く違うことを完全に理解していた。今さら謝罪しても遅すぎるとエリザベスを怯えた瞳で見つめて言葉を返した。
「私たち正直かなりヤバいと思うんだけど?」
「このままではエグいことになるかもしれませんね」
「アメリアが怖くてさっきから手の震えが止まらないの!」
「私もですよフローラお姉様、私たち明日も平和に生きてられますかね?」
「無力な私たちは神に祈り続けることしかできないわ」
自分たちは明日は息してないかもしれないし、突然倒れてぽっくり死ぬ可能性もある。フローラとエリザベスは大きな災難が自分の身に、ふりかかって来そうな気がしてならなかった。アメリアは切れたら手に負えない。その事を昔から一番理解してアメリアの真の本質を知っているのは、この世で家族で聖女のフローラとエリザベスだけでした。
二人は本当はアメリアのことを恐れていた。アメリアのことを何もかも全て分かっているから、小さい頃から長期間にわたってアメリアをいじめて雑に扱ってきた。毎日のように悪口を言って人格を攻撃して、アメリアは自分でも知らぬ間に気の弱い無能な人間だと思い込まされた。
そうしてフローラとエリザベスはアメリアを洗脳状態にした。その結果としてアメリアを弱気でネガティブ思考の性格に、半ば強制的にさせることに成功する。アメリアは何をする時も物事を悪い方向に考えるようになって、自信がなくて自分を肯定できない人間にさせられていた。
「――フローラにエリザベス何を話してるの?」
その時、すぐ後ろから声がかけられた。フローラとエリザベスは背筋に恐ろしい悪寒が走って生きた心地がしなかった。
「エリザベスどうしたの?」
「最近アメリアお姉様の様子がおかしい気がします」
エリザベスは焦りを抑えきれないくらい乱れた感じでフローラに声をかけた。エリザベスは額に汗をかいていた。よく見ると前髪は汗のせいで顔に貼りついている。声には追い詰められた心境も感じ取れた。
フローラは落ち着いた声で聞いたが、妹の雰囲気から並大抵のことではないと思った。アメリアの事だった。エリザベスはこのごろアメリアの態度に違和感があるような気がすると言う。
「私もですよ。アメリアが何か変わったな……?と思っていました」
「フローラお姉様も同じ気持ちでしたか」
フローラもアメリアの様子がここ最近いつもと少し違うと感じていた。エリザベスは自分だけの思い違いでなかったという事が分かって疑問が解けたような気分になる。
二人は少しだけアメリアが変わったと控えめに言ったが、はっきり言えば同じ人とは思えないくらい別人のように、アメリアは見た目と性格がガラッと変わった。
「アメリアのことを追い詰めすぎたかしら?」
「今からアメリアお姉様に謝れば許してくれるかもしれませんよ?」
「もう無理ですよ。今のアメリアは前と正反対になってますからね」
二人は立ち止まって話している間に、ごく自然に恐怖で顔が青くなっていた。フローラはアメリアに対して追い詰めてやり過ぎてしまったと、自分の良心の苦痛を感じてつぶやいた。エリザベスは体が震えて尽きることがない不安に襲われる。
エリザベスはついに降伏を申し出ようとアメリアに許しを乞うような言葉を口にする。ひたすら平身低頭して泣きながら謝ればアメリアは許してくれるかもとエリザベスが言う。
フローラは不安とストレスで吐き気を感じている。アメリアが前と全く違うことを完全に理解していた。今さら謝罪しても遅すぎるとエリザベスを怯えた瞳で見つめて言葉を返した。
「私たち正直かなりヤバいと思うんだけど?」
「このままではエグいことになるかもしれませんね」
「アメリアが怖くてさっきから手の震えが止まらないの!」
「私もですよフローラお姉様、私たち明日も平和に生きてられますかね?」
「無力な私たちは神に祈り続けることしかできないわ」
自分たちは明日は息してないかもしれないし、突然倒れてぽっくり死ぬ可能性もある。フローラとエリザベスは大きな災難が自分の身に、ふりかかって来そうな気がしてならなかった。アメリアは切れたら手に負えない。その事を昔から一番理解してアメリアの真の本質を知っているのは、この世で家族で聖女のフローラとエリザベスだけでした。
二人は本当はアメリアのことを恐れていた。アメリアのことを何もかも全て分かっているから、小さい頃から長期間にわたってアメリアをいじめて雑に扱ってきた。毎日のように悪口を言って人格を攻撃して、アメリアは自分でも知らぬ間に気の弱い無能な人間だと思い込まされた。
そうしてフローラとエリザベスはアメリアを洗脳状態にした。その結果としてアメリアを弱気でネガティブ思考の性格に、半ば強制的にさせることに成功する。アメリアは何をする時も物事を悪い方向に考えるようになって、自信がなくて自分を肯定できない人間にさせられていた。
「――フローラにエリザベス何を話してるの?」
その時、すぐ後ろから声がかけられた。フローラとエリザベスは背筋に恐ろしい悪寒が走って生きた心地がしなかった。
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