19 / 29
第19話
しおりを挟む
「アメリアに浮気相手の男が複数いるだって……?そんな事あり得ないことだ!」
公爵家の当主アレッサンドロは机を叩いてやり場のない怒りを露わにした。アメリアは見た目は生真面目で遊んでいそうな様子は全然ないので、何かの間違いじゃないかと疑り深い顔で信じがたい話としか思えなかった。
両親は理想的な人格者としても知られ温厚で人望があり、聖女のフローラとエリザベスをこの世に誕生させた偉大な人物だと褒め称えられていた。
子供から老人まで賞賛の嵐が巻き起こるほど幅広い層に尊敬されている公爵夫妻ですが、三姉妹の次女として生まれたアメリアに対して長女のフローラと三女のエリザベスは、小さな子供の頃から冷たい態度で接していることは気がつかなかった。
夫妻は三姉妹はとても仲が良いと思っていた。フローラとエリザベスは親の前ではすごく良い子なのに、見ていないところではアメリアに意地悪をして道具のようにこき使っていた。
両親には三姉妹が普段から仲良くしている様子が頭にあるので、みんな楽しそうに遊んでいるように見えた。実際にはアメリアはフローラとエリザベスから苦しみを受けていた。
「驚かれるのも無理はありませんがクロフォード殿下からの手紙に記された内容は事実そのものです。私はアメリアの浮気に悩まされていたクロフォード殿下の相談相手になっていました」
「フローラ本当なのか?」
「お父様、フローラお姉様のおっしゃる通りですわ」
フローラとエリザベスは先手を打つ形で事情を説明した。フローラは心なしか申し訳なさそうに肩を落として不意に言った。アメリアの浮気は夢でも何でもなく紛れもない事実だと主張して、クロフォードを救いたい一心で相談に乗っていたと語る。
気持ちが不安定な状態の父にエリザベスが落ち着いた態度で言葉を口にする。裏付ける証拠は自分たちだという感じでフローラの意見に同意した。フローラとエリザベスは恐ろしく真剣な顔をして嘘をついた。
「お父様には申し上げにくいことですがアメリアには浮気相手が複数いて、中には妻子持ちの男もいたみたいです」
「……は?」
アメリアが男にだらしないのは変わることのない本当のことだと、もっともらしい顔でフローラは改めて話した。アメリアの浮気相手は複数存在した。中には不倫関係になっていた相手もいて妻子ある男と熱烈な恋をしていたと言う。アレッサンドロは脳の理解が追いつかなくて、意味が分からないという顔で立ち尽くしている。
「アメリアお姉様が男遊びにふけって品行が悪いことは学園では有名ですよ」
「何だと!?いつからなんだ?」
エリザベスはアメリアの品行の悪さを暴露した。ほとんどの生徒が知っていることだと、険しい顔で思い詰めたような雰囲気を漂わせて言った。化石のように強張っていたアレッサンドロは、エリザベスの言葉で再起動を果たすと同時に流れるように質問する。
「もうかなり前からです。お父様とお母様に心配かけたくなくて……今まで黙っていたことをどうかお許しください」
アメリアの反倫理的な行為はずっと以前から知っていたと答えた。エリザベスは今にも泣きそうな顔で消えるような声で謝ると、ハンカチを取り出して目元に当て涙をぬぐうような仕草をした。
公爵家の当主アレッサンドロは机を叩いてやり場のない怒りを露わにした。アメリアは見た目は生真面目で遊んでいそうな様子は全然ないので、何かの間違いじゃないかと疑り深い顔で信じがたい話としか思えなかった。
両親は理想的な人格者としても知られ温厚で人望があり、聖女のフローラとエリザベスをこの世に誕生させた偉大な人物だと褒め称えられていた。
子供から老人まで賞賛の嵐が巻き起こるほど幅広い層に尊敬されている公爵夫妻ですが、三姉妹の次女として生まれたアメリアに対して長女のフローラと三女のエリザベスは、小さな子供の頃から冷たい態度で接していることは気がつかなかった。
夫妻は三姉妹はとても仲が良いと思っていた。フローラとエリザベスは親の前ではすごく良い子なのに、見ていないところではアメリアに意地悪をして道具のようにこき使っていた。
両親には三姉妹が普段から仲良くしている様子が頭にあるので、みんな楽しそうに遊んでいるように見えた。実際にはアメリアはフローラとエリザベスから苦しみを受けていた。
「驚かれるのも無理はありませんがクロフォード殿下からの手紙に記された内容は事実そのものです。私はアメリアの浮気に悩まされていたクロフォード殿下の相談相手になっていました」
「フローラ本当なのか?」
「お父様、フローラお姉様のおっしゃる通りですわ」
フローラとエリザベスは先手を打つ形で事情を説明した。フローラは心なしか申し訳なさそうに肩を落として不意に言った。アメリアの浮気は夢でも何でもなく紛れもない事実だと主張して、クロフォードを救いたい一心で相談に乗っていたと語る。
気持ちが不安定な状態の父にエリザベスが落ち着いた態度で言葉を口にする。裏付ける証拠は自分たちだという感じでフローラの意見に同意した。フローラとエリザベスは恐ろしく真剣な顔をして嘘をついた。
「お父様には申し上げにくいことですがアメリアには浮気相手が複数いて、中には妻子持ちの男もいたみたいです」
「……は?」
アメリアが男にだらしないのは変わることのない本当のことだと、もっともらしい顔でフローラは改めて話した。アメリアの浮気相手は複数存在した。中には不倫関係になっていた相手もいて妻子ある男と熱烈な恋をしていたと言う。アレッサンドロは脳の理解が追いつかなくて、意味が分からないという顔で立ち尽くしている。
「アメリアお姉様が男遊びにふけって品行が悪いことは学園では有名ですよ」
「何だと!?いつからなんだ?」
エリザベスはアメリアの品行の悪さを暴露した。ほとんどの生徒が知っていることだと、険しい顔で思い詰めたような雰囲気を漂わせて言った。化石のように強張っていたアレッサンドロは、エリザベスの言葉で再起動を果たすと同時に流れるように質問する。
「もうかなり前からです。お父様とお母様に心配かけたくなくて……今まで黙っていたことをどうかお許しください」
アメリアの反倫理的な行為はずっと以前から知っていたと答えた。エリザベスは今にも泣きそうな顔で消えるような声で謝ると、ハンカチを取り出して目元に当て涙をぬぐうような仕草をした。
11
お気に入りに追加
1,535
あなたにおすすめの小説
ムカつく悪役令嬢の姉を無視していたら、いつの間にか私が聖女になっていました。
冬吹せいら
恋愛
侯爵令嬢のリリナ・アルシアルには、二歳上の姉、ルルエがいた。
ルルエはことあるごとに妹のリリナにちょっかいをかけている。しかし、ルルエが十歳、リリナが八歳になったある日、ルルエの罠により、酷い怪我を負わされたリリナは、ルルエのことを完全に無視することにした。
そして迎えた、リリナの十四歳の誕生日。
長女でありながら、最低級の適性を授かった、姉のルルエとは違い、聖女を授かったリリナは……。
王子が浮気したので、公爵家の出番ですね。
冬吹せいら
恋愛
王子が娼婦と浮気し、伯爵令嬢との婚約を破棄すると言い始めた。
伯爵令嬢の親友であり、公爵家令嬢のリンダ・ベネロップは、王家への復讐を決意する。
公爵家は王家と血が繋がっており、密かに王の座を狙っていたのだ……。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
あと一週間で、聖女の夫になることができたのに……。残念でしたね。
冬吹せいら
恋愛
オーデンバム学園の卒業式の後、首席のリアム・ベルリンドを祝うパーティが行われた。
リアムは壇上で、自分はルイーザ・サンセットに虐めを受けていた。などと言い始める。
さらにそこへ、ルイーザの婚約者であるはずのトレバー・シルバードが現れ、彼女を庇うどころか、ルイーザとの婚約を破棄すると言い出した。
一週間後、誕生日を迎えるルイーザが、聖女に認定されるとも知らずに……。
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
無能と罵られた私だけど、どうやら聖女だったらしい。
冬吹せいら
恋愛
魔法学園に通っているケイト・ブロッサムは、最高学年になっても低級魔法しか使うことができず、いじめを受け、退学を決意した。
村に帰ったケイトは、両親の畑仕事を手伝うことになる。
幼いころから魔法学園の寮暮らしだったケイトは、これまで畑仕事をしたことがなく、畑に祈りを込め、豊作を願った経験もなかった。
人生で初めての祈り――。そこで彼女は、聖女として目覚めるのだった。
聖女であることを隠す公爵令嬢は国外で幸せになりたい
カレイ
恋愛
公爵令嬢オデットはある日、浮気というありもしない罪で国外追放を受けた。それは王太子妃として王族に嫁いだ姉が仕組んだことで。
聖女の力で虐待を受ける弟ルイスを護っていたオデットは、やっと巡ってきたチャンスだとばかりにルイスを連れ、その日のうちに国を出ることに。しかしそれも一筋縄ではいかず敵が塞がるばかり。
その度に助けてくれるのは、侍女のティアナと、何故か浮気相手と疑われた副騎士団長のサイアス。謎にスキルの高い二人と行動を共にしながら、オデットはルイスを救うため奮闘する。
※胸糞悪いシーンがいくつかあります。苦手な方はお気をつけください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる