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第14話
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「嘘じゃないの!ジェシカ信じて!」
「それならハリーは誰と浮気してるの?」
半年前に学園のグループ課題をアメリアの部屋で一緒にしていた。それが全ての始まりで婚約者のクロフォード王子と幼馴染のハリーが変わってしまった。アメリアは誤解されたままでは悔しさが残るので強く主張して、これまでの事を隠さずに語ることを決めた。
一方でジェシカは疑っていたから相変わらず本気でそれを信じなかった。それでもアメリアが必死に訴えかけるので、ジェシカは浮気相手は誰なのかと半信半疑の気持ちで尋ねた。
「妹のエリザベスよ。ジェシカの目を盗んで家でこっそり会ってるの」
「え……!?」
「そして私の婚約者だったクロフォードはフローラお姉様と浮気をしてた」
アメリアはとうとう恐ろしい告白をした。ジェシカは驚きのあまり言葉が出なくて、一瞬で呆気にとられた顔に変化する。ちなみにクロフォードはフローラとなんの愛情もないのに体の関係を続けていたと、思考停止状態にあるジェシカの目をじっと見つめながら、アメリアは真剣な顔で改まった口調で言った。
「ふざけないで!聖女のお二人を侮辱するなんて許せない……」
ハリーの浮気相手はエリザベスだと言う。さらにクロフォードも同じようにフローラと浮気をしていたと言った。いくら姉妹でも守護聖女とされるフローラとエリザベスに敬意を払わない妄言を放った。
それだけは絶対に許されなくてジェシカは敵意に満ちたまなざしでアメリアを睨んだ。そしてアメリアは心と体の病気で虚言癖も合併していると思った。
「ジェシカ本当なの!」
「嘘をつかないでくれる?」
「私は何度も愛し合ってる声を聞いた。クロフォードとハリーは私に冷たくなって毎日が辛く苦しかった……」
「そんなこと信じられない。アメリアとは絶交よ!」
アメリアは胸の張り裂ける思いで魂を込めて言った。だが現実離れしている夢のような話だと反論されて、憎悪に満ちた顔をするジェシカに嘘つき呼ばわりされてしまって絶交すると宣言された。
学園のカリスマ的な人気で教祖的存在であるフローラとエリザベスを悪く言ったことが引き金になっているような気がする。親友という強い糸で結ばれて築いてきた人間関係が崩れていくのをアメリアは意識した。
次の瞬間、はっと気がついた。クラス中の全員がアメリアに焼け付くような険しい顔をして厳しい視線を向けていた。全員の容赦のない視線が痛くて精神的な不快を感じてアメリアは教室から逃げ出した。
(みんなの視線が怖い)
廊下へ飛び出すとアメリアは脇目も振らず走り抜ける。今は長い休み時間で昼食時だったので廊下には生徒たちが溢れていた。購買でお昼ごはんを調達しに行く生徒や食堂を利用する生徒で様々な声や響きが遠く近くで交差する。
アメリアはすれ違う生徒の視線に恐怖感を刺激された。不安な気持ちでばたばたと足音を響かせて何かに追われるように走った。いつもならジェシカと他に仲良しグループで昼食を共にしながら、明るい調子で世間話をして幸せな時間を過ごしているのに地獄に落ちた思いがする。
どうしてこんな事になってしまったのだろう?アメリアは生徒たちの声が聞こえない静かな場所を見つけて思考を巡らせていた。
(誰かの声が聞こえる……こんな場所で?)
アメリアは肩を落として俯き加減にしょんぼりしていると、楽しそうに笑いながら歩いてくる複数の生徒の声が聞こえる。アメリアはとっさに身をかがめる。隠れてやり過ごそうとしたのは、こんな学園の薄暗い廊下の隅っこに一人ぼっちでいて友人もいなくて可哀想って思われのが恥ずかしくて嫌だった。
アメリアは悲しげな顔をあげて確認するとフローラとエリザベスとクロフォードとハリーがいた。単なる偶然居合わせたアメリアは一同の発言を聞いて衝撃を受けることになる。
「それならハリーは誰と浮気してるの?」
半年前に学園のグループ課題をアメリアの部屋で一緒にしていた。それが全ての始まりで婚約者のクロフォード王子と幼馴染のハリーが変わってしまった。アメリアは誤解されたままでは悔しさが残るので強く主張して、これまでの事を隠さずに語ることを決めた。
一方でジェシカは疑っていたから相変わらず本気でそれを信じなかった。それでもアメリアが必死に訴えかけるので、ジェシカは浮気相手は誰なのかと半信半疑の気持ちで尋ねた。
「妹のエリザベスよ。ジェシカの目を盗んで家でこっそり会ってるの」
「え……!?」
「そして私の婚約者だったクロフォードはフローラお姉様と浮気をしてた」
アメリアはとうとう恐ろしい告白をした。ジェシカは驚きのあまり言葉が出なくて、一瞬で呆気にとられた顔に変化する。ちなみにクロフォードはフローラとなんの愛情もないのに体の関係を続けていたと、思考停止状態にあるジェシカの目をじっと見つめながら、アメリアは真剣な顔で改まった口調で言った。
「ふざけないで!聖女のお二人を侮辱するなんて許せない……」
ハリーの浮気相手はエリザベスだと言う。さらにクロフォードも同じようにフローラと浮気をしていたと言った。いくら姉妹でも守護聖女とされるフローラとエリザベスに敬意を払わない妄言を放った。
それだけは絶対に許されなくてジェシカは敵意に満ちたまなざしでアメリアを睨んだ。そしてアメリアは心と体の病気で虚言癖も合併していると思った。
「ジェシカ本当なの!」
「嘘をつかないでくれる?」
「私は何度も愛し合ってる声を聞いた。クロフォードとハリーは私に冷たくなって毎日が辛く苦しかった……」
「そんなこと信じられない。アメリアとは絶交よ!」
アメリアは胸の張り裂ける思いで魂を込めて言った。だが現実離れしている夢のような話だと反論されて、憎悪に満ちた顔をするジェシカに嘘つき呼ばわりされてしまって絶交すると宣言された。
学園のカリスマ的な人気で教祖的存在であるフローラとエリザベスを悪く言ったことが引き金になっているような気がする。親友という強い糸で結ばれて築いてきた人間関係が崩れていくのをアメリアは意識した。
次の瞬間、はっと気がついた。クラス中の全員がアメリアに焼け付くような険しい顔をして厳しい視線を向けていた。全員の容赦のない視線が痛くて精神的な不快を感じてアメリアは教室から逃げ出した。
(みんなの視線が怖い)
廊下へ飛び出すとアメリアは脇目も振らず走り抜ける。今は長い休み時間で昼食時だったので廊下には生徒たちが溢れていた。購買でお昼ごはんを調達しに行く生徒や食堂を利用する生徒で様々な声や響きが遠く近くで交差する。
アメリアはすれ違う生徒の視線に恐怖感を刺激された。不安な気持ちでばたばたと足音を響かせて何かに追われるように走った。いつもならジェシカと他に仲良しグループで昼食を共にしながら、明るい調子で世間話をして幸せな時間を過ごしているのに地獄に落ちた思いがする。
どうしてこんな事になってしまったのだろう?アメリアは生徒たちの声が聞こえない静かな場所を見つけて思考を巡らせていた。
(誰かの声が聞こえる……こんな場所で?)
アメリアは肩を落として俯き加減にしょんぼりしていると、楽しそうに笑いながら歩いてくる複数の生徒の声が聞こえる。アメリアはとっさに身をかがめる。隠れてやり過ごそうとしたのは、こんな学園の薄暗い廊下の隅っこに一人ぼっちでいて友人もいなくて可哀想って思われのが恥ずかしくて嫌だった。
アメリアは悲しげな顔をあげて確認するとフローラとエリザベスとクロフォードとハリーがいた。単なる偶然居合わせたアメリアは一同の発言を聞いて衝撃を受けることになる。
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