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第6話
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「クロフォード話って何ですか?」
「アメリア昨日は悪かった。あんなことになるなんて思わなかった」
「え?いや、そんな……」
「僕はどうかしてたよ。昨日のことは忘れてくれたら嬉しい」
「うん、わかった」
次の日、学園でクロフォードに話があると呼ばれた。何を言われるのかアメリアは不安な思いを頭の中で想像していたが、クロフォードからは予想外の言葉が返ってきた。姉のフローラと男女関係を持ったことは正直に言わなかったけど、クロフォードは罪悪感にさいなまれているような感じでアメリアに謝罪をした。
アメリアは何て答えたら良いのか戸惑っている様子でいると、クロフォードが昨日のことはなかった事にしてほしいと言う。普通なら恋人が浮気したら怒り出すに違いないがアメリアは内心ほっとしたのであった。
(クロフォードも後悔してたんだ……良かった)
アメリアは心が軽くなって安心したように笑った。クロフォードもフローラとのことで苦しみ悩んでいたのだろうと思うとアメリアは慈悲深い寛大さを見せて罪を許した。それで解決したと思っていたらクロフォードは常識では考えられないことを言ってくる。
「フローラと付き合うことになったんだ」
「……えっ?」
クロフォードはフローラと親しい交際をこれからも続けていくと言った。アメリアは心臓が止まりそうなほど驚いた。自分と婚約しているのにクロフォードは何を言ってるのか?
「アメリアには伝えておいたほうがいいだろう?それからハリーもエリザベスと付き合うことになったから……」
アメリアは気が動転して返す言葉を失っていると、クロフォードは淡々としたペースで落ち着いた態度で語っている。その姿にアメリアは異常な様子が感じられて怖くなった。同じようにハリーもエリザベスと交際をスタートさせたようだ。
そうなると一体どういうことになるのだろうか?アメリアはクロフォードと婚約してるし、ハリーはジェシカと先月正式に婚約を交わした。
「――私と別れるということですか?」
しばらくしてアメリアは勇気を出して心が切なく苦しくなりながら話を切り出した。聖女で美人のフローラと付き合うから自分は捨てられることを感覚的に理解する。
公爵家の三姉妹の次女として生まれたアメリアは三姉妹で一番の美人だが、長年にわたって虐げられた境遇と経験で気弱な性格のため、気が強い姉と妹にすっかり気後れして萎縮していた。
「アメリア早とちりするな。僕は婚約を解消するつもりはないから安心しろ」
クロフォードに婚約破棄されてしまうかもしれないと思ってアメリアは表情が強張って緊張していた。ところがクロフォードが口を開いて告げた言葉はまったく予想外のものだった。アメリアに早とちりしてもらっちゃ困ると言って婚約はそのまま継続することをクロフォードは表明した。
「アメリア昨日は悪かった。あんなことになるなんて思わなかった」
「え?いや、そんな……」
「僕はどうかしてたよ。昨日のことは忘れてくれたら嬉しい」
「うん、わかった」
次の日、学園でクロフォードに話があると呼ばれた。何を言われるのかアメリアは不安な思いを頭の中で想像していたが、クロフォードからは予想外の言葉が返ってきた。姉のフローラと男女関係を持ったことは正直に言わなかったけど、クロフォードは罪悪感にさいなまれているような感じでアメリアに謝罪をした。
アメリアは何て答えたら良いのか戸惑っている様子でいると、クロフォードが昨日のことはなかった事にしてほしいと言う。普通なら恋人が浮気したら怒り出すに違いないがアメリアは内心ほっとしたのであった。
(クロフォードも後悔してたんだ……良かった)
アメリアは心が軽くなって安心したように笑った。クロフォードもフローラとのことで苦しみ悩んでいたのだろうと思うとアメリアは慈悲深い寛大さを見せて罪を許した。それで解決したと思っていたらクロフォードは常識では考えられないことを言ってくる。
「フローラと付き合うことになったんだ」
「……えっ?」
クロフォードはフローラと親しい交際をこれからも続けていくと言った。アメリアは心臓が止まりそうなほど驚いた。自分と婚約しているのにクロフォードは何を言ってるのか?
「アメリアには伝えておいたほうがいいだろう?それからハリーもエリザベスと付き合うことになったから……」
アメリアは気が動転して返す言葉を失っていると、クロフォードは淡々としたペースで落ち着いた態度で語っている。その姿にアメリアは異常な様子が感じられて怖くなった。同じようにハリーもエリザベスと交際をスタートさせたようだ。
そうなると一体どういうことになるのだろうか?アメリアはクロフォードと婚約してるし、ハリーはジェシカと先月正式に婚約を交わした。
「――私と別れるということですか?」
しばらくしてアメリアは勇気を出して心が切なく苦しくなりながら話を切り出した。聖女で美人のフローラと付き合うから自分は捨てられることを感覚的に理解する。
公爵家の三姉妹の次女として生まれたアメリアは三姉妹で一番の美人だが、長年にわたって虐げられた境遇と経験で気弱な性格のため、気が強い姉と妹にすっかり気後れして萎縮していた。
「アメリア早とちりするな。僕は婚約を解消するつもりはないから安心しろ」
クロフォードに婚約破棄されてしまうかもしれないと思ってアメリアは表情が強張って緊張していた。ところがクロフォードが口を開いて告げた言葉はまったく予想外のものだった。アメリアに早とちりしてもらっちゃ困ると言って婚約はそのまま継続することをクロフォードは表明した。
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