22 / 22
第22話 彼女は幸福な人生を歩む
しおりを挟む
「みんなご苦労さま」
膝をついた美少年に囲まれて王太子殿下と言われていた青年は、ご苦労と美少年たちに労いの言葉を口にする。
「あの、ロナウドをどうして?彼が何かしたのですか?」
ソフィアは恐る恐る近づいて声をかけた。教室で口論をしていたら突然美少年たちが入ってきて、リーダーと思われる青年に命じられてロナウドが取り押さえられた。
誕生日を忘れた事が許せなくてロナウドのことを憎たらしく思い喧嘩になったけど、ソフィアとしてはいくら何でも彼が犯罪者扱いされている事実には耐えられないという思いだった。
ソフィアはロナウドが逮捕されたことに気が動転して、美少年の発した王太子殿下という言葉は耳に入らなかった。
「この男は重犯罪者だからですよ」
「ええ!?」
青年からは耳を疑うような言葉が返ってきた。なんとロナウドが凶悪な犯罪者だから逮捕したという。ソフィアはびっくりして声を上げた。どういうことなのか?ソフィアは意味がわからなかった。
「つい先ほど、この学園の理事長が度重なる汚職容疑で逮捕されました。娘の公爵令嬢アイリーンも数々の罪で逮捕されました。学生を不当に自主退学させたり自殺に追い込んだり、学園に抗議した家族の殺害にも関与しています」
たった今この学園の理事長が逮捕されたという。ソフィアもこの学園が異常なほどヤバい所だということは前から分かっていた。しかしながら学園の理事長が公爵家の当主という絶大な権力を持っているため、事件が表面化にならない形ですべて処理されてしまう。
娘のアイリーンが怖くて学園の秘密を暴露する人間も一人もいません。教師たちも逆らうことが恐怖でもあり言いなりになって戦うことを完全に放棄した。アイリーンに苦しめられている生徒がいても見て見ぬふりをする毎日。
どれだけ偉ぶっている教師でも生徒に恐れられている教師でも100パーセントの確率で根は小心者。とにかく波風を立てたくないという意思を持っているのが教師という生き物だと知りました。
「あの、お二人が逮捕されることは分かりますが……どうしてロナウドが?」
ソフィアは疑問を抱いて青年に話しかけた。公爵家の当主で学園の理事長と娘のアイリーンが逮捕されるのは理解できますが、どうしてロナウドが大犯罪者で逮捕されるのか納得ができなかった。
「彼はアイリーンに飼い慣らされた犬で愛人でした。アイリーンに命じられて危険なドラッグを学園の生徒に渡していました。本人もアイリーンと一緒に薬物を繰り返し使用していました」
「そ、そんな……まさかロナウドが嘘でしょ……」
信じ難い悪夢のような事を聞かされた。ロナウドがアイリーンの愛人ということにも驚きましたが、薬物使用との関わりが認められたなんて一生忘れられないインパクトがある話でした。
ソフィアは信じられなくて異様な表情を浮かべた。ソフィアは精神的なショックを受けて立ちくらみにも似た感覚を味わう。
「大丈夫?」
「少しめまいがして、ご迷惑をおかけして申しわけありません」
「無理をするな。それより俺が彼氏じゃダメかな?」
青年は危うく倒れそうになったソフィアの体を支えてくれました。青年の声音は妙に穏やかで愛想のいい笑顔で応えてくれた。
「え?」
「ラブレターを読んでないのか?」
「読みましたけど名前が書いてなくて……」
「ユリウス・ローゼンシュタインだ」
「ローゼンシュタイン……?まさか王太子殿下様!?」
ユリウスは学園の生徒ではありませんが、学園の調査するに当たってソフィアという女子生徒を知った。ソフィアはたぬき顔でかわいい小柄な女性。ユリウスは背が高く綺麗系な女性よりもソフィアのようなかわいい感じの女性がタイプだった。
かなり熱を上げてラブレターを書いて机の中に忍ばせておいたのだ。だがラブレターに名前を書くのは忘れていた。これがきっかけに交際が始まり学園を卒業後して半年後に盛大な結婚式が挙行された。
ソフィアはユリウス王太子殿下と結婚し幸せな人生を送った――
読者様ありがとうございました。
膝をついた美少年に囲まれて王太子殿下と言われていた青年は、ご苦労と美少年たちに労いの言葉を口にする。
「あの、ロナウドをどうして?彼が何かしたのですか?」
ソフィアは恐る恐る近づいて声をかけた。教室で口論をしていたら突然美少年たちが入ってきて、リーダーと思われる青年に命じられてロナウドが取り押さえられた。
誕生日を忘れた事が許せなくてロナウドのことを憎たらしく思い喧嘩になったけど、ソフィアとしてはいくら何でも彼が犯罪者扱いされている事実には耐えられないという思いだった。
ソフィアはロナウドが逮捕されたことに気が動転して、美少年の発した王太子殿下という言葉は耳に入らなかった。
「この男は重犯罪者だからですよ」
「ええ!?」
青年からは耳を疑うような言葉が返ってきた。なんとロナウドが凶悪な犯罪者だから逮捕したという。ソフィアはびっくりして声を上げた。どういうことなのか?ソフィアは意味がわからなかった。
「つい先ほど、この学園の理事長が度重なる汚職容疑で逮捕されました。娘の公爵令嬢アイリーンも数々の罪で逮捕されました。学生を不当に自主退学させたり自殺に追い込んだり、学園に抗議した家族の殺害にも関与しています」
たった今この学園の理事長が逮捕されたという。ソフィアもこの学園が異常なほどヤバい所だということは前から分かっていた。しかしながら学園の理事長が公爵家の当主という絶大な権力を持っているため、事件が表面化にならない形ですべて処理されてしまう。
娘のアイリーンが怖くて学園の秘密を暴露する人間も一人もいません。教師たちも逆らうことが恐怖でもあり言いなりになって戦うことを完全に放棄した。アイリーンに苦しめられている生徒がいても見て見ぬふりをする毎日。
どれだけ偉ぶっている教師でも生徒に恐れられている教師でも100パーセントの確率で根は小心者。とにかく波風を立てたくないという意思を持っているのが教師という生き物だと知りました。
「あの、お二人が逮捕されることは分かりますが……どうしてロナウドが?」
ソフィアは疑問を抱いて青年に話しかけた。公爵家の当主で学園の理事長と娘のアイリーンが逮捕されるのは理解できますが、どうしてロナウドが大犯罪者で逮捕されるのか納得ができなかった。
「彼はアイリーンに飼い慣らされた犬で愛人でした。アイリーンに命じられて危険なドラッグを学園の生徒に渡していました。本人もアイリーンと一緒に薬物を繰り返し使用していました」
「そ、そんな……まさかロナウドが嘘でしょ……」
信じ難い悪夢のような事を聞かされた。ロナウドがアイリーンの愛人ということにも驚きましたが、薬物使用との関わりが認められたなんて一生忘れられないインパクトがある話でした。
ソフィアは信じられなくて異様な表情を浮かべた。ソフィアは精神的なショックを受けて立ちくらみにも似た感覚を味わう。
「大丈夫?」
「少しめまいがして、ご迷惑をおかけして申しわけありません」
「無理をするな。それより俺が彼氏じゃダメかな?」
青年は危うく倒れそうになったソフィアの体を支えてくれました。青年の声音は妙に穏やかで愛想のいい笑顔で応えてくれた。
「え?」
「ラブレターを読んでないのか?」
「読みましたけど名前が書いてなくて……」
「ユリウス・ローゼンシュタインだ」
「ローゼンシュタイン……?まさか王太子殿下様!?」
ユリウスは学園の生徒ではありませんが、学園の調査するに当たってソフィアという女子生徒を知った。ソフィアはたぬき顔でかわいい小柄な女性。ユリウスは背が高く綺麗系な女性よりもソフィアのようなかわいい感じの女性がタイプだった。
かなり熱を上げてラブレターを書いて机の中に忍ばせておいたのだ。だがラブレターに名前を書くのは忘れていた。これがきっかけに交際が始まり学園を卒業後して半年後に盛大な結婚式が挙行された。
ソフィアはユリウス王太子殿下と結婚し幸せな人生を送った――
読者様ありがとうございました。
1
お気に入りに追加
519
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
氷の騎士様は実は太陽の騎士様です。
りつ
恋愛
イリスの婚約者は幼馴染のラファエルである。彼と結婚するまで遠い修道院の寄宿学校で過ごしていたが、十八歳になり、王都へ戻って来た彼女は彼と結婚できる事実に胸をときめかせていた。しかし両親はラファエル以外の男性にも目を向けるよう言い出し、イリスは戸惑ってしまう。
王女殿下や王太子殿下とも知り合い、ラファエルが「氷の騎士」と呼ばれていることを知ったイリス。離れている間の知らなかったラファエルのことを令嬢たちの口から聞かされるが、イリスは次第に違和感を抱き始めて……
「小説家になろう」様にも掲載しています。
みんなが嫌がる公爵と婚約させられましたが、結果イケメンに溺愛されています
中津田あこら
恋愛
家族にいじめられているサリーンは、勝手に婚約者を決められる。相手は動物実験をおこなっているだとか、冷徹で殺されそうになった人もいるとウワサのファウスト公爵だった。しかしファウストは人間よりも動物が好きな人で、同じく動物好きのサリーンを慕うようになる。動物から好かれるサリーンはファウスト公爵から信用も得て溺愛されるようになるのだった。
自己肯定感の低い令嬢が策士な騎士の溺愛に絡め取られるまで
嘉月
恋愛
平凡より少し劣る頭の出来と、ぱっとしない容姿。
誰にも望まれず、夜会ではいつも壁の花になる。
でもそんな事、気にしたこともなかった。だって、人と話すのも目立つのも好きではないのだもの。
このまま実家でのんびりと一生を生きていくのだと信じていた。
そんな拗らせ内気令嬢が策士な騎士の罠に掛かるまでの恋物語
執筆済みで完結確約です。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
女嫌いな騎士団長が味わう、苦くて甘い恋の上書き
待鳥園子
恋愛
「では、言い出したお前が犠牲になれ」
「嫌ですぅ!」
惚れ薬の効果上書きで、女嫌いな騎士団長が一時的に好きになる対象になる事になったローラ。
薬の効果が切れるまで一ヶ月だし、すぐだろうと思っていたけれど、久しぶりに会ったルドルフ団長の様子がどうやらおかしいようで!?
※来栖もよりーぬ先生に「30ぐらいの女性苦手なヒーロー」と誕生日プレゼントリクエストされたので書きました。
『まて』をやめました【完結】
かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。
朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。
時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの?
超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌!
恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。
貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。
だから、もう縋って来ないでね。
本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます
※小説になろうさんにも、別名で載せています
女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る
小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」
政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。
9年前の約束を叶えるために……。
豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。
「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
【完結】伯爵の愛は狂い咲く
白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。
実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。
だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。
仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ!
そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。
両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。
「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、
その渦に巻き込んでいくのだった…
アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。
異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点)
《完結しました》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる