最近彼氏の様子がおかしい！私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。

第8話 女王様の楽しい遊び

「まあいいわ。それに私の前を通ったらあなたの方から挨拶しなさいよ。常識でしょう？」

アイリーンは気を取り直して明るい声でソフィアに向かって言った。学園を支配する力を持っている自分に、挨拶くらい当たり前のようにしなさいと注意した。本音を言えばソフィアはアイリーンに恐怖感を抱いた結果、過剰に緊張してストレスが原因でとっさに言葉が出なくて挨拶をすることができなかった。

「アイリーン様申し訳ございませんでした」

ソフィアは深々と頭を下げた。自分が悪くなくても女王様に謝ることは学園にいる人間の基本ルールと言っていい。たとえ黒いものでもアイリーンが白と言えば白になる。下手な対応をするとどんな因縁をつけられるかわからないので謝った方が賢い判断なのだ。

「うふふふふ、ソフィアそんなに怯えなくてもいいのよ？私はもうあなたのような底辺をいじめる気はないわ」
「え？」
「だからいじめなんて子供じみた遊びはやめたの。そういうわけだからソフィアこれからは平和的に仲良くしましょうね」

アイリーンは小声でくすくす笑い出した。なにも怖がることはないと言い、ソフィアをいたぶって楽しむ弱い者いじめは気が乗らないからやめたと言う。ソフィアは口を半開きにして驚きで放心したようにみえる。放心状態のようになっているソフィアに、アイリーンはいかにも嬉しそうな様子だった。

女王様に平和的な解決を求められてもソフィアに拒否権はないし、今までアイリーンの陰湿ないじめに日々耐えていたソフィアからしたらかえって不気味に感じられた。何か裏があるのではないかと疑ってしまう。

「それにソフィアをいじめることよりもっと楽しいことをしてるから、ソフィアを構ってる暇はないのが正直なところね」
「そうなんですか……」
「ソフィアなんだと思う？私が最近してる楽しいことって？」

アイリーンは思わせぶりなことを言いますが詳しく説明することはなかった。ソフィアは不思議そうな顔をして首をかしげながら言うが、アイリーンは品のない笑みを浮かべて聞いてくる。

「アイリーン様申し訳ありません。私には見当がつきません」
「じゃあ今度教えてあげるわ。どうぞご覧になってね？うふっうふふふふ」
「お誘い頂きありがとうございます」

アイリーンの趣味嗜好しゅみしこうなど関心はないが、そんなことを言えば何をされるのかわからない。幸いなことに、いじめは収まりやっと平和な学園生活を送れるようになった。ソフィアはアイリーンの機嫌を損ねないように丁寧に言葉を返した。

アイリーンの薄い唇は面白がるような笑みを浮かべた。この時のソフィアにはアイリーンの楽しい遊びが何なのか分かりませんでした。ソフィアはアイリーンがいなくなると、急に力がぬけて疲れきった顔で床にへたりこんだ。