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第25話 美しい女性は他人事で綺麗事を言う

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神々の悪戯わるふざけによって自分の顔の造形が乱雑で、恵まれない女性についてイリスは語りました。本質的には両親の容姿が悪いからというのがブスに生まれた原因だろう。

溺愛する妹の話を聞いて兄のシモンも目からうろこが落ちた思いだった。器量の悪い女性が苦しんでいる現実を重く受け止めて、顔面が崩壊しているエレナに対して醜い化け物と言った事をほんの少しだけ反省した。

「――イリスは顔の作りが残念な女性にも一つだけチャンスがあると言ったが本当にそんなものが存在するのか?」

しばらく無言の状態が続いてからシモンが沈黙を破る。ブ女でも人生にがあるという妹に確認するように問いかける。

「お兄様ご安心ください。それは100%ございます」
「本当だな?嘘ではないのか?」

イリスは自信たっぷりに言ってのける。だがシモンはにわかに信用できないので妹に重ねて問う。哀れな醜女しこめは救われるのか?

「確実にどんな女性でもを送れます!」

イリスは堂々と胸を張って話した。美人と不細工は関係なく全ての女性が夢のような幸福な日々を過ごせると宣言した。

シモンは妹の声には得意げな響きがあって表情には誇らしさが感じられる。今も世の中で顔が原因で生きるのが辛くて苦しいと悩んで、毎日自殺することばかり考えているが死ぬ勇気はなく怖くてできない女性。

「そこまで言うなら、この無能な兄にもお教え願いたい」

イリス先生ご教授いただくことは可能でしょうか?シモンは妹にそのような気持ちで尋ねる。シモンも恋愛と結婚を完全に諦めて人生に絶望している女性に、救いの手を差し伸べてほしいという思いだった。

「わかりました。まずですね――」

イリスは兄に向かってにっこりと優しく微笑み返すと言い始めた。その時でした。

「奥様!」
「なに?」
「世の中の人はブスの事をとても大切にしてますよ!」

美人メイドの一人がイリスに声をかけた。イリスが短く返事をするとメイドは強い不満を抱いて怒ったように言った。他のメイドたちも続けざまに口々に言い合う。

「私もそう思います。ブスは社会で心から愛されてます!」
「世間ではブスは人間扱いされないとか言われてるけど、あれ嘘だよね?」
「そうね。本当にブスが暮らしやすい社会だよね。私ブスになりたいもん」

一般的に見て美人と判断できる顔のメイドたちは、にぎやかな声をたてながらブスは恵まれて社会で大切にされてると言い出す。

「はっきり言ってブスは人生が楽でイージーモードだと思う。ブスはずるい!」
「美人よりブスのほうが人生で絶対にしてるよね?」

整った目鼻立ちで容姿端麗なルックスとスタイルのメイドたちは、ブスは人生が朝飯前という容易さで心配事に不安がないと答える。

「私ブスに生まれたかった。男からの愛の告白がウザすぎて……」
「それ本当にわかる!私も男を振るのが面倒くさい。ブスが羨ましいよーーー!」

そこへ持ってきて、目の大きい華やかな横顔でひときわ目立つ美女メイドの二人がうっかり言ってしまう。二人はあまりにも器量よしなので、すれ違う男が驚いてしまうほどでした。

道を歩いていると見知らぬ男から話しかけられ、口説かれて遊びに誘われることは毎日の食事のように日常的な出来事でウザイったらありゃしない!という気分。

恋人になってくれ結婚して妻になってほしいと愛の告白をされた回数は数知れず。しつこい男に二人はすっかり辟易へきえきしていた。過去にそんな経験をしてひどい男性不信に悩まされて二人はに走った。
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