17 / 26
第17話 兄と妹は運命的な再会を果たした
しおりを挟む
「――これは一体どうなっているんだ!?」
部屋の中をさっと見渡したところ、シモンは頭が混乱して目の前で起こっている現実が理解できなかった。
愛する妹のイリスを裏切った張本人の夫であるレオナルドを許せなくて、会ったら直ぐに気合いを入れて殴ってやろうと思っていた。
それなのに義弟のレオナルドは不気味な悲鳴を時折あげて、騒がしく派手に動いてぴょんぴょん飛び跳ねている。シモンはレオナルドを見ながら壊れた玩具だと感じた。
「シモンお兄様!」
驚いた顔で置き物みたいに固まって動かなかった兄を見てイリスは気軽に声をかけた。
「イリス怪我はないか?体に痛いところがあれば一瞬で治すからね」
するとシモンは、はっと我に返るとイリスのほうを向いて赤ん坊のように純真な笑顔になり小走りに近づいてきた。本当は全力で走りたかったですが、これまでの肉体的な疲労によって足が棒になっていた。
シモンはイリスを両腕で強く抱きしめた。色んな形で何度か抱きしめると、心配した様子で顔を覗き込んでイリスに体の故障はないか?大丈夫?と優しく声をかけた。
実は三日前にも兄は妹に会いに来たのに、生き別れの対面みたいに感じさせる。
「どこにも負傷はございませんので大丈夫です」
「そうか良かった。本当に心配したよ」
薄い緑の瞳が揺れイリスの透き通るような白い肌には傷はなかった。ほっと胸を撫で下ろしたシモンだったが最初から傷一つ負うはずがない。
イリスが日常生活を安心して過ごせるように危険から守るために、シモンはイリスの体の表面に強力な保護魔法を幾重にも重ねがけしている。
「お兄様お気遣いいただきありがとうございます」
イリスは極めて上品な物腰でお礼を言った。その姿を見てシモンは感慨深そうな顔をして、苦労の末に妹と巡り合ったことも相まって幸せに似た感動が押し寄せてくる。
シモンは自然にイリスの体を抱き寄せるとキスを交わした。数分間という長く熱烈なキスを交わす兄妹。
おっとりした顔にあどけない顔をしている美人の部類に入る多くのメイドたちは、視線を外さないように見てムラムラと変な気になり、下腹を熱くさせて欲求不満な状態でじっと見つめていた。
しばらくうっとりして眺めていたメイドたちは、微かに顔を赤らめる奥様の幸福そうな横顔を見て嬉しさが爆発した。メイドたちは誰彼ともなく抱き合い始め全員で喜びを共有する。
「――イリスにもしもの事があったら私はレオナルドの伯爵領を世界から消滅させていた」
シモンは伯爵邸の中を妹が無事であることを願いながら、イリスを求めてさまよい歩いた。方向音痴のため道に迷い過ぎて眼にはうっすらと涙を浮かべて泣きそうだった。
この世にたった一人の妹で自分の命より数倍いや無限に大切な存在。そのイリスに不測の事態が起きてしまったら、シモンは間違いなくレオナルドの伯爵領は更地にして世界地図から消え去っていたと平然と答える。
「それはとても恐ろしいですね」
こいつは本気で言っている。イリスは兄が人並み外れた自然魔法の使い手だと分かっているので、冗談に聞こえなくて気後れを感じて冷や汗をかく。
「私の一番大切な宝物のイリスがいなくなったら当然のことさ」
シモンの中では妹の命は伯爵領に住む数万人の命よりも重く、イリス一人と世界中の人々の命を天秤にかけても圧倒的な差でイリスに傾く頭になっていました。
部屋の中をさっと見渡したところ、シモンは頭が混乱して目の前で起こっている現実が理解できなかった。
愛する妹のイリスを裏切った張本人の夫であるレオナルドを許せなくて、会ったら直ぐに気合いを入れて殴ってやろうと思っていた。
それなのに義弟のレオナルドは不気味な悲鳴を時折あげて、騒がしく派手に動いてぴょんぴょん飛び跳ねている。シモンはレオナルドを見ながら壊れた玩具だと感じた。
「シモンお兄様!」
驚いた顔で置き物みたいに固まって動かなかった兄を見てイリスは気軽に声をかけた。
「イリス怪我はないか?体に痛いところがあれば一瞬で治すからね」
するとシモンは、はっと我に返るとイリスのほうを向いて赤ん坊のように純真な笑顔になり小走りに近づいてきた。本当は全力で走りたかったですが、これまでの肉体的な疲労によって足が棒になっていた。
シモンはイリスを両腕で強く抱きしめた。色んな形で何度か抱きしめると、心配した様子で顔を覗き込んでイリスに体の故障はないか?大丈夫?と優しく声をかけた。
実は三日前にも兄は妹に会いに来たのに、生き別れの対面みたいに感じさせる。
「どこにも負傷はございませんので大丈夫です」
「そうか良かった。本当に心配したよ」
薄い緑の瞳が揺れイリスの透き通るような白い肌には傷はなかった。ほっと胸を撫で下ろしたシモンだったが最初から傷一つ負うはずがない。
イリスが日常生活を安心して過ごせるように危険から守るために、シモンはイリスの体の表面に強力な保護魔法を幾重にも重ねがけしている。
「お兄様お気遣いいただきありがとうございます」
イリスは極めて上品な物腰でお礼を言った。その姿を見てシモンは感慨深そうな顔をして、苦労の末に妹と巡り合ったことも相まって幸せに似た感動が押し寄せてくる。
シモンは自然にイリスの体を抱き寄せるとキスを交わした。数分間という長く熱烈なキスを交わす兄妹。
おっとりした顔にあどけない顔をしている美人の部類に入る多くのメイドたちは、視線を外さないように見てムラムラと変な気になり、下腹を熱くさせて欲求不満な状態でじっと見つめていた。
しばらくうっとりして眺めていたメイドたちは、微かに顔を赤らめる奥様の幸福そうな横顔を見て嬉しさが爆発した。メイドたちは誰彼ともなく抱き合い始め全員で喜びを共有する。
「――イリスにもしもの事があったら私はレオナルドの伯爵領を世界から消滅させていた」
シモンは伯爵邸の中を妹が無事であることを願いながら、イリスを求めてさまよい歩いた。方向音痴のため道に迷い過ぎて眼にはうっすらと涙を浮かべて泣きそうだった。
この世にたった一人の妹で自分の命より数倍いや無限に大切な存在。そのイリスに不測の事態が起きてしまったら、シモンは間違いなくレオナルドの伯爵領は更地にして世界地図から消え去っていたと平然と答える。
「それはとても恐ろしいですね」
こいつは本気で言っている。イリスは兄が人並み外れた自然魔法の使い手だと分かっているので、冗談に聞こえなくて気後れを感じて冷や汗をかく。
「私の一番大切な宝物のイリスがいなくなったら当然のことさ」
シモンの中では妹の命は伯爵領に住む数万人の命よりも重く、イリス一人と世界中の人々の命を天秤にかけても圧倒的な差でイリスに傾く頭になっていました。
254
*****新作「病気で療養生活を送っていたら親友と浮気されて婚約破棄を決意。私を捨てたあの人は――人生のどん底に落とします。」を投稿しました。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
お気に入りに追加
1,399
あなたにおすすめの小説

【完結済】政略結婚予定の婚約者同士である私たちの間に、愛なんてあるはずがありません!……よね?
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
「どうせ互いに望まぬ政略結婚だ。結婚までは好きな男のことを自由に想い続けていればいい」「……あらそう。分かったわ」婚約が決まって以来初めて会った王立学園の入学式の日、私グレース・エイヴリー侯爵令嬢の婚約者となったレイモンド・ベイツ公爵令息は軽く笑ってあっさりとそう言った。仲良くやっていきたい気持ちはあったけど、なぜだか私は昔からレイモンドには嫌われていた。
そっちがそのつもりならまぁ仕方ない、と割り切る私。だけど学園生活を過ごすうちに少しずつ二人の関係が変わりはじめ……
※※ファンタジーなご都合主義の世界観でお送りする学園もののお話です。史実に照らし合わせたりすると「??」となりますので、どうぞ広い心でお読みくださいませ。
※※大したざまぁはない予定です。気持ちがすれ違ってしまっている二人のラブストーリーです。
※この作品は小説家になろうにも投稿しています。

【完結】王太子殿下が幼馴染を溺愛するので、あえて応援することにしました。
かとるり
恋愛
王太子のオースティンが愛するのは婚約者のティファニーではなく、幼馴染のリアンだった。
ティファニーは何度も傷つき、一つの結論に達する。
二人が結ばれるよう、あえて応援する、と。

【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない
ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。
ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。
ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。
ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

「平民との恋愛を選んだ王子、後悔するが遅すぎる」
ゆる
恋愛
平民との恋愛を選んだ王子、後悔するが遅すぎる
婚約者を平民との恋のために捨てた王子が見た、輝く未来。
それは、自分を裏切ったはずの侯爵令嬢の背中だった――。
グランシェル侯爵令嬢マイラは、次期国王の弟であるラウル王子の婚約者。
将来を約束された華やかな日々が待っている――はずだった。
しかしある日、ラウルは「愛する平民の女性」と結婚するため、婚約破棄を一方的に宣言する。
婚約破棄の衝撃、社交界での嘲笑、周囲からの冷たい視線……。
一時は心が折れそうになったマイラだが、父である侯爵や信頼できる仲間たちとともに、自らの人生を切り拓いていく決意をする。
一方、ラウルは平民女性リリアとの恋を選ぶものの、周囲からの反発や王家からの追放に直面。
「息苦しい」と捨てた婚約者が、王都で輝かしい成功を収めていく様子を知り、彼が抱えるのは後悔と挫折だった。

【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。

【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく
たまこ
恋愛
10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。
多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。
もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。

幼い頃、義母に酸で顔を焼かれた公爵令嬢は、それでも愛してくれた王太子が冤罪で追放されたので、ついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
設定はゆるくなっています、気になる方は最初から読まないでください。
ウィンターレン公爵家令嬢ジェミーは、幼い頃に義母のアイラに酸で顔を焼かれてしまった。何とか命は助かったものの、とても社交界にデビューできるような顔ではなかった。だが不屈の精神力と仮面をつける事で、社交界にデビューを果たした。そんなジェミーを、心優しく人の本質を見抜ける王太子レオナルドが見初めた。王太子はジェミーを婚約者に選び、幸せな家庭を築くかに思われたが、王位を狙う邪悪な弟に冤罪を着せられ追放刑にされてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる