上 下
15 / 26

第15話 妻が夫の愛人に反撃を開始!地獄に落とす

しおりを挟む
「私はどうかしてました。イリス様本当にごめんなさい」

エレナは泣きながら額を床にこすりつけて謝罪した。エレナはしたレオナルドの姿を目の当たりにして、非常に心が動揺してしまっていた。

本能的な恐怖を越えて平静な感情でいられなくて、無意識の状態でイリスに向かって早足で歩き出し、イリスの足元で小さく丸まってそのような行動をとった。

「こんな事しておいて、いくらなんでも見苦しいですよ」

イリスは愛し合う幼馴染同士の二人は、頭の中も性格も似ていると思いながら言い始める。

自分の過ちに気がついて許しを乞う愛人の心と、長年にわたって夫に裏切られ続けた妻の傷心では、比較にならないほど遥かに妻のダメージのほうが大きい。

「私はレオナルドにそそのかされただけなの!」

エレナは自分が助かりたい一心で、その場しのぎで言い訳をする。

今も部屋の中で頓狂とんきょうな叫び声を上げながら、バッタかかえるみたいに飛び跳ねてジャンプを繰り返すレオナルドを見て、この男はもう駄目だ……使い物にならないと思いレオナルドを切り捨てた。

生き恥をさらし続ける惨めな男の姿を見ながら、テンションが高まり気持ちが騒いだメイドたちが口々に言い合う。

「あれは人間ですか?」
「旦那様ったら恥かしい」
「何ですかあの変な動きは……」
「あれが私達の主人なんて泣きたくなる思いです」
「ふふっ、あれは生き恥ですよ」
「あの男は完全に人間やめてます?」
「レオナルド様なんか虫みたい」
「あれでも呼吸はしてるんですよね?」
「動いてるから一応生きてるんじゃないですか?」
「にわかには信じられません」

みんなが同じ程度に話し合いメイドたちは華やかにさえずり交わす。最初はぐるりと囲むように見ていたメイドたちは、レオナルドの暴走によりかなり位置が変わっていた。

不名誉な行動を維持し続ける自分たちの主人である伯爵家当主を危ないものと判断して、警戒する視線を向けて注意深く観察した。

心から慕う大切で尊い奥様を守るような位置に立ちながら、異常者を奥様に近づけさせないようにメイドたちは頷き合って周囲に気を配る。

その間もイリスとエレナの会話は途切れなく続く。

「ずいぶん白々しいことを言いますね」

イリスは何もかも分かっていますよ?という顔で口を開いた。エレナは口から出まかせを言って、レオナルドに全ての責任を負わせて自分だけ罪を逃れようとしていることは明らかだった。

「この度は誠に申し訳ありませんでした。イリス様お許し願います。私はレオナルドをボロ雑巾のように捨てましたから、この男は奥様の煮るなり焼くなりお好きにしてください」

エレナはいらなくなった物かゴミでも捨てるように、レオナルドは捨てたと熱っぽく語りかけた。

まるで何か問題を起こした有名人が炎上騒ぎを収束するために、事務所に言われて仕方なく行う謝罪会見と同じで心が全然こもっていない。

「嘘をつかないで!」

何が捨てただ。イリスは思わず嘘をつくな!と極限を超えた感情的な叱責を浴びせた。

「あんな男は最初から愛してなんかいません。イリス様信じてください!」

長い年月を積み重ねて愛情を深めていた幼馴染の男が、変わり果てた姿で完全に人間を捨てた状態になってしまいエレナは見捨てた。

だがエレナは少しの間だけ、悲しくてたまらなくて苦痛に満ちた顔をしていた。その表情からはまだ完全に未練を断ち切れていないとイリスは判断して、神経が張り裂けそうになり嘘つき!と喧嘩腰の言葉を放った。

「あなたの本心はまだレオナルドの事が好きみたいだけど、結ばれたかったらお願いしますね」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

戦いに行ったはずの騎士様は、女騎士を連れて帰ってきました。

新野乃花(大舟)
恋愛
健気にカサルの帰りを待ち続けていた、彼の婚約者のルミア。しかし帰還の日にカサルの隣にいたのは、同じ騎士であるミーナだった。親し気な様子をアピールしてくるミーナに加え、カサルもまた満更でもないような様子を見せ、ついにカサルはルミアに婚約破棄を告げてしまう。これで騎士としての真実の愛を手にすることができたと豪語するカサルであったものの、彼はその後すぐにあるきっかけから今夜破棄を大きく後悔することとなり…。

【完結】婚約破棄され毒杯処分された悪役令嬢は影から王子の愛と後悔を見届ける

堀 和三盆
恋愛
「クアリフィカ・アートルム公爵令嬢! 貴様との婚約は破棄する」  王太子との結婚を半年後に控え、卒業パーティーで婚約を破棄されてしまったクアリフィカ。目の前でクアリフィカの婚約者に寄り添い、歪んだ嗤いを浮かべているのは異母妹のルシクラージュだ。  クアリフィカは既に王妃教育を終えているため、このタイミングでの婚約破棄は未来を奪われるも同然。こうなるとクアリフィカにとれる選択肢は多くない。  せめてこれまで努力してきた王妃教育の成果を見てもらいたくて。  キレイな姿を婚約者の記憶にとどめてほしくて。  クアリフィカは荒れ狂う感情をしっかりと覆い隠し、この場で最後の公務に臨む。  卒業パーティー会場に響き渡る悲鳴。  目にした惨状にバタバタと倒れるパーティー参加者達。  淑女の鑑とまで言われたクアリフィカの最期の姿は、良くも悪くも多くの者の記憶に刻まれることになる。  そうして――王太子とルシクラージュの、後悔と懺悔の日々が始まった。

【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~

瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)  ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。  3歳年下のティーノ様だ。  本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。  行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。  なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。  もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。  そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。  全7話の短編です 完結確約です。

侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています

猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。 しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。 本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。 盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。

ずっと好きだった獣人のあなたに別れを告げて

木佐木りの
恋愛
女性騎士イヴリンは、騎士団団長で黒豹の獣人アーサーに密かに想いを寄せてきた。しかし獣人には番という運命の相手がいることを知る彼女は想いを伝えることなく、自身の除隊と実家から届いた縁談の話をきっかけに、アーサーとの別れを決意する。 前半は回想多めです。恋愛っぽい話が出てくるのは後半の方です。よくある話&書きたいことだけ詰まっているので設定も話もゆるゆるです(-人-)

この恋に終止符(ピリオド)を

キムラましゅろう
恋愛
好きだから終わりにする。 好きだからサヨナラだ。 彼の心に彼女がいるのを知っていても、どうしても側にいたくて見て見ぬふりをしてきた。 だけど……そろそろ潮時かな。 彼の大切なあの人がフリーになったのを知り、 わたしはこの恋に終止符(ピリオド)をうつ事を決めた。 重度の誤字脱字病患者の書くお話です。 誤字脱字にぶつかる度にご自身で「こうかな?」と脳内変換して頂く恐れがあります。予めご了承くださいませ。 完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。 菩薩の如く広いお心でお読みくださいませ。 そして作者はモトサヤハピエン主義です。 そこのところもご理解頂き、合わないなと思われましたら回れ右をお勧めいたします。 小説家になろうさんでも投稿します。

母の中で私の価値はゼロのまま、家の恥にしかならないと養子に出され、それを鵜呑みにした父に縁を切られたおかげで幸せになれました

珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたケイトリン・オールドリッチ。跡継ぎの兄と母に似ている妹。その2人が何をしても母は怒ることをしなかった。 なのに母に似ていないという理由で、ケイトリンは理不尽な目にあい続けていた。そんな日々に嫌気がさしたケイトリンは、兄妹を超えるために頑張るようになっていくのだが……。

婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~

ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された 「理由はどういったことなのでしょうか?」 「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」 悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。 腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。

処理中です...