夫の告白に衝撃「家を出て行け！」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。

第11話 恥知らずな夫は妻に助けを求めた

「ごめん……早くエレナと一緒に暮らしたくてシモンのこと頭から抜け落ちてた……」

レオナルドはエレナと住むことが楽しみで期待に胸を膨らませていて、妻の兄の事は忘れていたと正直に打ち明ける。

「忘れてたってこと？」
「うん」
「どうするのよ！私たちかなりヤバいんじゃないの？」

うっかりにも程があるとエレナは呆れ顔で目を丸くした。レオナルドが申し訳なさそうな顔をして言うと、エレナは困難な状況に追い込まれてレオナルドを頭ごなしに叱りつけた。

胸が締め付けられるほど愛し合っていた二人が、婚姻関係を結び同じ屋根の下で暮らせる。レオナルドが喜悦きえつの表情に変わり嬉しくて胸がときめくのもわかりますが、シモンの事を忘れるなんて普通ではあり得ないことだ。

レオナルドの間抜けぶりにより想定外の事態が起こった。幸福な未来を思い描いていたエレナの予定が総崩れになる。

「あっ！」
「なに？」
「シモンに妹を悲しませたら次は命はないぞ？て言われてたんだ」

レオナルドは何か思い出して短く声をあげる。エレナは不安そうな視線を向けて聞いた。

以前にレオナルドはイリスを軽く扱った時にシモンに怒られた。謝罪文を二ヶ月送り続けて許してもらえたが最後は顔を近づけて、次は命はないからな？と研ぎ澄まされた眼差しで硬い表情で告げられた。

「レオナルド明日まで生きていられないんじゃないの？」

エレナはほんの出来心を起こして、レオナルドを怖がらせるように言う。レオナルドは頭に混乱が発生して、不安で落ち着かない気分になった。

「えぇ!?ど、どうしようエレナ」
「私に言われても知らないわよ！レオナルドが悪いんでしょ！」

レオナルドは蒼白な顔になり、わなわなと唇を震わせて怯えきった声で話しかけました。だがエレナは突き放した言い方をする。

「う、うわああああああああああああああああああああああ」

心の動揺をあらわしたレオナルドは立っていられなくなり、その場にしゃがみ込んで両手で頭を抱えて言葉にならない声を上げる。部屋中に絶叫が響き渡り気まずい雰囲気が流れた。

ついさっきまで、エレナはお腹がすいたと言って余裕たっぷりに軽口を叩いていた。イリスの兄が現れなければ今頃はレオナルドと朝食を食べながら、互いに笑顔を向け合い楽しいひと時を過ごしていただろう。

「――イリス助けてくれ！まだ私には君の力が必要だ！」

喉のどが裂ける程の大声で叫んでいたレオナルドは、頭に閃光が走り閃くものがあった。いいアイデアを思いついて立ち上がった瞬間に妻の名を呼んだ。

図々しいうえに恥知らずな夫は、夫婦の信頼を裏切って家を追い出そうとした妻に助けてもらって、この場を切り抜けようと姑息こそくな手段をとった。