夫の告白に衝撃「家を出て行け！」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。

第5話 愛人の提案に夫は賛成

「そうだけど？」
「突然出て行けと言われても無理じゃない？もう少し待ってあげたら？」
「うーん、確かにエレナの言う通りだね」
「私は奥さんと一緒に住んでもいいよ」

エレナの疑問に夫は平気な顔をして言葉を返すとエレナは自然に口走っていた。まさかエレナから正常な感覚の意見が出てくるとは思わなかった。イリスは不思議そうな顔で二人の会話を聞いていた。

「それなら一週間の猶予期間を与えるからイリスはそれまでに出て行けばいいよ」

エレナの真っ当な意見を聞き、夫は口の端を歪めるようにして考え込む。はっとした感じで頭に何か閃いた夫は得意そうな顔を向けて、出て行く期日の見直しをすると妻に言い放つ。

「はぁ？」

何様のつもりなのか？夫の呆れたもの言いにイリスは驚きを吐き出すような声を出した。

「エレナは昔から気が利くし本当に優しいな」
「奥さんが少し可哀想な気がして……うふふふふ」

レオナルドはエレナの提案に絶賛する台詞を口にすると、エレナの頭を大切そうに撫でた。夫はエレナの事をお姫様みたいにチヤホヤしていました。

エレナはイリスを見て憐れみに近い目をして同情的な慰めの言葉を言うと、耐え切れずに口元に笑みがこぼれるのを我慢できないようでイリスを見つめたまま薄笑いを浮かべた。

「無様な有様だよね？あはははは」

夫はエレナの意見にうなずいて同意すると、正面に呆然と立ち尽くしている妻の顔を見て、ほんとにお気の毒な人だと言い不敵な笑みをもらした。

「レオナルド全力で抱きしめて」
「いいよ」

エレナは抱きしめてほしいとお願いすると夫は愛情に体が震えて、ありったけの力をこめて抱きしめていた。

「人の目の前でイチャイチャしないでよ！」

仲良さそうにじゃれ合いをくり返している夫と愛人を見て、妻は神経を尖とがらせて憎しみの感情をぶつけた。だが体が震えるほどの激しい怒りはおさまることはなかった。

「嫉妬してるのか？悪いけどイリスの事は二度と抱くことはできないよ？」

夫は首を横に振って見下すような態度さえ取ると、今後は妻と身を寄せ合うことはあり得ないと揺らぎもない心で涼しい顔で言った。イリスは夫のことが実に恥知らずな男に思えた。

「私だってレオナルドの汚らわしい手でさわられたくないわ！」

愛人を抱きしめながら話す夫に、なんともいえない不潔感が感じられる。道徳的な感覚の欠けた男には触れられたくないと、汚らわしいものでも見るような表情で妻は敵意を燃やした。