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22話
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「でも僕だってナタリアのことは昔から知っていて付き合いは長いのにな。恋人関係になったのはごく最近だが……」
ナタリアのことはアイリスに任せることになって一応納得できる形で決着がついた。だがラウルは口をとがらせて不満を漏らした。
ラウルは少年の時は引っ込み思案な大人しい性格で、人前に出ると顔を真っ赤にして照れたようにうつむいてしまい顔をあげることさえできない。ラウルは内気で恥ずかしがり屋な自分を直そうと努力を惜しまなかった。ナタリアとは幼馴染でラウルの初恋の人でもあり結婚したいと夢見ていた。振り返ればラウルがまだ無邪気で素直な心を持っていた時だ。
「ラウル様、お言葉ですが私とナタリアは互いに永遠の友情を誓い合って固い絆で結ばれています。いつでも心は通じ合っていてナタリアが何を思っているのかも私には手に取るように分かります。同じ幼馴染でもラウル様とは比較になりません!」
ラウルが不満そうな顔で文句を言うと、アイリスは負けず嫌いな子供みたいに反論しようと口を開く。私たちは絶対無二の親友だからこそ互いの気持ちが理解し合えるものなのですよ?
アイリスは勝ち誇ったように自慢げに笑顔で言う。同じ幼馴染でもラウルは自分たちとは張り合う水準ではないとさえ言い切った。ナタリアとは心の中さえシンクロしていると声高に主張した。
「アイリスそれなら教えてくれ。ナタリアは今は何を考えてるんだ?どうして僕と婚約破棄したいと言い出したんだ」
「えっ?……い、いいでしょう」
ラウルはそれならばと直球な質問をする。親友だからナタリアの心も読めると言ったアイリスに、婚約破棄をした理由を教えてくれと言う。自然な成り行きであり当たり前のことだと思われる。
アイリスの心は動揺しはじめた。目が泳いで不安で落ち着かない気分になる。明らかに戸惑っている様子だ。それも当然でアイリスはナタリアが心で思ってることなど分かるはずもないからだ。
時の流れをものともせずに何千何万年も生きている仙人の境地に達している存在か、この世界を創造した神でもない限り、ただの普通の人間が他人の心を知ることなんかできるわけもありません。だがアイリスの方も言い出した手前引っ込みがつかない。うろたえた声でラウルの注文を引き受けるしかなかった。
「――なるほど、そうですか。ラウル様、今はっきりとナタリアの心の中がわかりましたよ」
ナタリアは心が空っぽになったような感じでうつむいている。話を聞けそうもないし本当に大丈夫なの?という思いで本気で心配になってきた。アイリスは隣の席に座っているナタリアをじっと見つめて隅々まで注意深く観察する。もちろんナタリアの心の中は読めない。
アイリスはしばらく困った事になってしまったと思っていたが、ふと脳裏に浮かんでラウルに声をかけた。難解なパズルや試験の問題集でも解けた顔で、大層な儀式でも行った後のような真剣な態度を取ってそれらしく振る舞う。アイリスは主演女優賞を獲得に値する素晴らしい演技力を見せた。
「やはり私の思った通りラウル様に原因があるようです」
「アイリス早く婚約破棄の理由を教えてくれ!」
「ラウル様、焦らないでください。まず最近ナタリアを寂しくさせたことがありましたよね?」
「……あ!多分あのことだな?」
「そうです。それが婚約破棄の原因です!」
アイリスは聞こえのよい筋の通ったことを言うと、ラウルは思い当たることがあったらしく、もしかしてアレか?というとアイリスは適当なことを言って話を合わせた。これではまんまと騙されて金を巻き上げられる宗教にハマった信者のようではないか?
「アイリスお前はインチキ占い師か?」
黙って聞いていたクラウドが不意に一石を投じる。アイリスの意見を真っ向から否定した。
ナタリアのことはアイリスに任せることになって一応納得できる形で決着がついた。だがラウルは口をとがらせて不満を漏らした。
ラウルは少年の時は引っ込み思案な大人しい性格で、人前に出ると顔を真っ赤にして照れたようにうつむいてしまい顔をあげることさえできない。ラウルは内気で恥ずかしがり屋な自分を直そうと努力を惜しまなかった。ナタリアとは幼馴染でラウルの初恋の人でもあり結婚したいと夢見ていた。振り返ればラウルがまだ無邪気で素直な心を持っていた時だ。
「ラウル様、お言葉ですが私とナタリアは互いに永遠の友情を誓い合って固い絆で結ばれています。いつでも心は通じ合っていてナタリアが何を思っているのかも私には手に取るように分かります。同じ幼馴染でもラウル様とは比較になりません!」
ラウルが不満そうな顔で文句を言うと、アイリスは負けず嫌いな子供みたいに反論しようと口を開く。私たちは絶対無二の親友だからこそ互いの気持ちが理解し合えるものなのですよ?
アイリスは勝ち誇ったように自慢げに笑顔で言う。同じ幼馴染でもラウルは自分たちとは張り合う水準ではないとさえ言い切った。ナタリアとは心の中さえシンクロしていると声高に主張した。
「アイリスそれなら教えてくれ。ナタリアは今は何を考えてるんだ?どうして僕と婚約破棄したいと言い出したんだ」
「えっ?……い、いいでしょう」
ラウルはそれならばと直球な質問をする。親友だからナタリアの心も読めると言ったアイリスに、婚約破棄をした理由を教えてくれと言う。自然な成り行きであり当たり前のことだと思われる。
アイリスの心は動揺しはじめた。目が泳いで不安で落ち着かない気分になる。明らかに戸惑っている様子だ。それも当然でアイリスはナタリアが心で思ってることなど分かるはずもないからだ。
時の流れをものともせずに何千何万年も生きている仙人の境地に達している存在か、この世界を創造した神でもない限り、ただの普通の人間が他人の心を知ることなんかできるわけもありません。だがアイリスの方も言い出した手前引っ込みがつかない。うろたえた声でラウルの注文を引き受けるしかなかった。
「――なるほど、そうですか。ラウル様、今はっきりとナタリアの心の中がわかりましたよ」
ナタリアは心が空っぽになったような感じでうつむいている。話を聞けそうもないし本当に大丈夫なの?という思いで本気で心配になってきた。アイリスは隣の席に座っているナタリアをじっと見つめて隅々まで注意深く観察する。もちろんナタリアの心の中は読めない。
アイリスはしばらく困った事になってしまったと思っていたが、ふと脳裏に浮かんでラウルに声をかけた。難解なパズルや試験の問題集でも解けた顔で、大層な儀式でも行った後のような真剣な態度を取ってそれらしく振る舞う。アイリスは主演女優賞を獲得に値する素晴らしい演技力を見せた。
「やはり私の思った通りラウル様に原因があるようです」
「アイリス早く婚約破棄の理由を教えてくれ!」
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「……あ!多分あのことだな?」
「そうです。それが婚約破棄の原因です!」
アイリスは聞こえのよい筋の通ったことを言うと、ラウルは思い当たることがあったらしく、もしかしてアレか?というとアイリスは適当なことを言って話を合わせた。これではまんまと騙されて金を巻き上げられる宗教にハマった信者のようではないか?
「アイリスお前はインチキ占い師か?」
黙って聞いていたクラウドが不意に一石を投じる。アイリスの意見を真っ向から否定した。
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