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7話

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「それならどうしてお見舞いに来てくれなかったの?」
「あの、行こうと思ってたんだけど忙しくてさ……」
「言い訳しないで!」

ナタリアは療養生活を送りながら何度もラウルに手紙を送り続けた。それなのに一度も返事の手紙が来なかった。最初は手紙が彼のもとに届けられているのか疑問が頭をかけめぐるが、メイドに尋ねると間違いなく送ったと言う。

もちろん、都合が悪くお見舞いに来れない場合もあると思う。ベッドの上で一人でいる時は、まさか浮気をしているかもと良からぬことが頭をよぎる。彼に限ってそんなことはしないだろうと思い悩み、疑ってはならない人を疑ったのだという意識でナタリアは精神的ストレスが日々溜まっていく。

ナタリアは表面では耐えてても心が泣いてる。今日、彼女がどんな気持ちで彼に会いに来たのかというと、普段言えないことを気にせず本音で楽しく笑いながらお互い深い絆で繋がりたかった。心を高鳴らせてただそれだけのために来たのに、信じていた二人に裏切られてすっかり失望し落胆の底に沈んでいる。

「ナ、ナタリア私のことは許してくれるわよね?私たち小さい頃から親友だものね」

毛布にくるまって寝ていたアイリスが白絹の薄い肌着を身にまとって同志のように顔を近づけてきた。言い訳する気配もないが謝って許してもらうつもりらしい。

アイリス伯爵令嬢とは家族ぐるみでの交流を経て親友同士となった。子供の頃は城のような屋敷でままごと遊びを楽しんだ。少し大きくなったら二人はまぶしいほど美しく成長して、おしゃれが彼女たちの心をとらえたようだった。

服装の着こなし方やヘアメイクやネイルアートに夢中になって美しさを競いあった。華やかに着飾るための様々な装飾品を身につけた。ほかにも乗馬や絵画など上流階級のたしなみを身に付けていった。

二人は学生の頃は数え切れないほどたくさんの人から綺麗だチャーミングで可愛げがあると言われてきた。想いを告白する男子生徒を傷つけないように注意して断るようにした。中には高い自尊心と自信を備えた男子もいて告白を断ったら半ば逆ギレ気味に叱責してくる迷惑な人もいたからだ。

「親友?あなたは親友なんかじゃない……」
「え?」
「最も不誠実な最大の裏切り者よ。絶対に許さないからね」

アイリスは昔からナタリアの心のよりどころであり、ラウル同様に幼馴染と呼べるかけがえのない親友でした。困った顔で目尻を下げて詫びる言葉とともに泣きながら謝るアイリスですが、その思いはナタリアには伝わらない。

ナタリアは自分を抑制することができないほど震える怒りで、彼女の良心的な心は光の届かない遥か底に沈んでしまっていた。
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