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第3話

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「カミ-ユはずっとジョージと遊んでるの?」
「うん。でも途中からママはジョージと話があるからって二人だけでどこかに行くの」
「その間はカミ-ユはどうしてるの?」
「ママと一緒に来たメイドと遊んでる」

ハリー殿下はいろんな可能性が頭の中で入り交じる。妻のオリビア夫人がなぜそのようなことをしているのかどれだけ考えても僅かすらないも答えが浮かんでこない。

カミ-ユとの会話の流れからゆっくりと知っていくとオリビア夫人とジョージが何をしているかも頭の中でバラバラだった謎が次々と解けていく。

家族の絆が静かに切れて崩れた。まず間違いなく男女の関係がある妻とジョージに不思議な興味を感じながら心の奥底で深い絶望感に襲われ顔から突然すべての表情が消える。

考えるほど頭の中は処理ができなくなり、どんな面倒なことも全て受けて立つ覚悟でオリビア夫人に改めて問いただすことを誓う。

その日の夜、寝室でオリビア夫人にさりげなく事務的な口調で尋ねる。

「昼間カミ-ユと遊んでいたらジョージのこと色々聞いたけど…」

オリビア夫人の体が電気に触れたように一瞬だけ震えたのをハリー殿下は見落とさなかった。不安で落ち着かない顔にじっとしていられないほどの焦りを感じているのが目に見えて分かる。

しばらく部屋はお通夜のように静かでしたが声と表情を強張らせたオリビア夫人が沈黙を破った。

「ジョージさんは学園に通っていた時の同級生です」

困惑の底からオリビア夫人の恐怖と不安が伝わってくる。魚のように目をパチパチさせ追い詰められたように申し訳ないという様な真っ青な顔つきでハリー殿下の顔色を窺うような態度で話す。

「それでどうして結婚してからも同級生と食事に行ったり遊んだりしてるんだ?」

口をつぐんで間を置いているオリビア夫人にハリー殿下が我慢できずに質問をぶつけた。
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