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第4話

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「生まれてくる子供が不幸な運命にもてあそばれるだけだよ。どうせ殿下は別れないんだからマリアは愛されてないのに…」

もう一人の友人は咎めるような厳しい視線で産むのは反対だと主張した。無責任に産んだらいいと言い放った友人にも呆れたような表情を向けている。

二人の友人の意見を聞いて自分の中でさまざまな考えが現れては消える。二人と別れた後も一人で思い悩むがどうするべきか答えは見つからなかった。そしてフレディ殿下と話し合いの日になる。

フレディ殿下とマリア令嬢の悩み抜いた末の結論は中絶ということになった。これが最も良い選択かはお互いに完全に納得はしていないが新しい命には可哀想なことだが仕方がない。

本心を打ち明けると今もまだ泥沼に落ちたように悩んでいるマリアとは逆に最初に妊娠を告げられたフレディ殿下は思わず息の止まるような心持ちになり堕胎をするという選択しか頭にないような感じで慌てふためく。それどころかマリアが産んだとしても支援することは一切できないとはっきりとした口調で答えた。

「今の僕はジェシカと別れないために厳しい条件を泣きながら飲んで従っているんだ。僕の方が助けてほしい。マリアが妊娠したなんて知れたら今度こそジェシカに愛想を尽かされて捨てられてしまう。お父様とお母様に何を言われるのかも凄く怖い。絶縁されるかもしれない」

フレディ殿下は消えるような声で泣きながら謝るだけでお腹の子供よりもマリアのことよりも自分の家族にこの事実がバレたり言いふらされるのを恐れているようでした。本当にみっともない印象で不倫していた時には一緒になろうと言ってくれてたのに結局のところ自分は結婚を餌に弄ばれただけだとハッと気づかされました。

なんだかんだ言ってもマリアの身から出たさびなのだが今はただお腹の子供に自責の念が迫ってごめんなさいと詫びることしかできないのが情けなく思う。恋しくてたまらなく好きで心の隅っこで最後まで信じていたフレディ殿下に裏切られ深い失望を感じるのです。

後日、マリアは付き添いもなく一人で中絶手術を受けて大切なものを抜き取られたような孤独な思いになり、寂しさで瞳に悲しい影がよぎっていた。

フレディ殿下の本性がわかり化けの皮がはがれて愛していた人の一番見たくなかった部分を知ってしまい精神的な衝撃を受けたマリアはうつ病になり心が壊れて意思も感情も持たない生気を欠いた瞳をしてその後の人生を独身で過ごした。
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