上 下
1 / 4

第1話

しおりを挟む
不倫した夫のフレディ殿下が離婚だけは見逃してくれと言ってうっとうしい気持ちのジェシカ夫人だった。

ジェシカ夫人の胸中ではもはや夫に対して愛情は欠片もない。生涯のパートナーとしてこの先も一緒に生活する気持ちはなく夫とは離婚したかった。だが自分の両親と相手の両親に反対された。

それでもジェシカ夫人の意志は固く手に負えないもつれになりテーブルは修羅場と化したが結局のところはジェシカ夫人から出す条件を飲めればもう一度フレディ殿下にチャンスを与えることになった。

「ジェシカと別れたくない。どんな条件でも受け入れるよ」
「分かりました。では私に話しかけないでください」
「えっ?それじゃあ夫婦の意味が無いんじゃないのか?」
「それなら離婚しましょう」
「わ、わかった。その条件を飲もう」
「他には…」
「まだ条件があるのか?」
「当たり前です。まだいくつもありますよ」
「そんな…僕をこれ以上苦しめないでくれ。ジェシカは僕を苦しめてそんなに楽しいのか?」
「それじゃ離婚しますか?」
「くっ…仕方ない。次の条件を言ってくれ」
「あなたのお小遣いは基本的になしにします」
「それは待ってくれ。友人と飲みに行ったりするのを何を置いても楽しみにしてるのに…僕が酒が好きなの知ってて君はいじわるするのか?」
「それなら離婚です」
「ま、まあいいだろう。そのくらいのペナルティ覚悟してた。さあ次の条件を言ってくれ」
「それでは最後の条件は私が他の男性と付き合っても何も不満は言わないでください」
「はっ!?」
「何か?」
「ジェシカそれはふざけすぎだ。君が他の男とデートをしたり抱かれたりするのか許せと言うのか?」
「はい」
「その条件は調子に乗り過ぎだぞ!」
「じゃあ離婚です」
「待ってくれ!そうだな…僕も不倫したし君も少し遊びたい気持ちがあるかもしれないよな。しょうがないけどその条件を認めるよ」

王族と貴族の結婚は本人達の意思を簡単に通せない。一般人とは違いお互いの両親が離婚は反対だと言えばそれに従うしかないのだ。だがジェシカ夫人はどうしてもフレディ殿下のことを許せそうにないので無理やり条件を付けさせるしかありませんでした。

かなり厳しい条件ですがフレディ殿下も最終的には納得した。この先ずっと仮面夫婦でも再構築することが決まり今回どちらに原因があり不貞行為を行ったのかお互いの両親の間できちんと書面を交わした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様は私より幼馴染みを溺愛しています。

香取鞠里
恋愛
旦那様はいつも幼馴染みばかり優遇している。 疑いの目では見ていたが、違うと思い込んでいた。 そんな時、二人きりで激しく愛し合っているところを目にしてしまった!?

【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~

瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)  ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。  3歳年下のティーノ様だ。  本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。  行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。  なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。  もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。  そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。  全7話の短編です 完結確約です。

幼馴染の執着愛がこんなに重いなんて聞いてない

エヌ
恋愛
私は、幼馴染のキリアンに恋をしている。 でも聞いてしまった。 どうやら彼は、聖女様といい感じらしい。 私は身を引こうと思う。

わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない

鈴宮(すずみや)
恋愛
 孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。  しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。  その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?

いっそあなたに憎まれたい

石河 翠
恋愛
主人公が愛した男には、すでに身分違いの平民の恋人がいた。 貴族の娘であり、正妻であるはずの彼女は、誰も来ない離れの窓から幸せそうな彼らを覗き見ることしかできない。 愛されることもなく、夫婦の営みすらない白い結婚。 三年が過ぎ、義両親からは石女(うまずめ)の烙印を押され、とうとう離縁されることになる。 そして彼女は結婚生活最後の日に、ひとりの神父と過ごすことを選ぶ。 誰にも言えなかった胸の内を、ひっそりと「彼」に明かすために。 これは婚約破棄もできず、悪役令嬢にもドアマットヒロインにもなれなかった、ひとりの愚かな女のお話。 この作品は小説家になろうにも投稿しております。 扉絵は、汐の音様に描いていただきました。ありがとうございます。

【完結】お荷物王女は婚約解消を願う

miniko
恋愛
王家の瞳と呼ばれる色を持たずに生まれて来た王女アンジェリーナは、一部の貴族から『お荷物王女』と蔑まれる存在だった。 それがエスカレートするのを危惧した国王は、アンジェリーナの後ろ楯を強くする為、彼女の従兄弟でもある筆頭公爵家次男との婚約を整える。 アンジェリーナは八歳年上の優しい婚約者が大好きだった。 今は妹扱いでも、自分が大人になれば年の差も気にならなくなり、少しづつ愛情が育つ事もあるだろうと思っていた。 だが、彼女はある日聞いてしまう。 「お役御免になる迄は、しっかりアンジーを守る」と言う彼の宣言を。 ───そうか、彼は私を守る為に、一時的に婚約者になってくれただけなのね。 それなら出来るだけ早く、彼を解放してあげなくちゃ・・・・・・。 そして二人は盛大にすれ違って行くのだった。 ※設定ユルユルですが、笑って許してくださると嬉しいです。 ※感想欄、ネタバレ配慮しておりません。ご了承ください。

【完結】婚約相手は私を愛してくれてはいますが病弱の幼馴染を大事にするので、私も婚約者のことを改めて考えてみることにします

よどら文鳥
恋愛
 私とバズドド様は政略結婚へ向けての婚約関係でありながら、恋愛結婚だとも思っています。それほどに愛し合っているのです。  このことは私たちが通う学園でも有名な話ではありますが、私に応援と同情をいただいてしまいます。この婚約を良く思ってはいないのでしょう。  ですが、バズドド様の幼馴染が遠くの地から王都へ帰ってきてからというもの、私たちの恋仲関係も変化してきました。  ある日、馬車内での出来事をきっかけに、私は本当にバズドド様のことを愛しているのか真剣に考えることになります。  その結果、私の考え方が大きく変わることになりました。

年下の彼氏には同い年の女性の方がお似合いなので、別れ話をしようと思います!

ほったげな
恋愛
私には年下の彼氏がいる。その彼氏が同い年くらいの女性と街を歩いていた。同じくらいの年の女性の方が彼には似合う。だから、私は彼に別れ話をしようと思う。

処理中です...