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第23話

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「ウェンディ誕生日おめでとう」
「アルスありがとう」

愛する妻ウェンディの誕生日にアルスが贈った物は腕時計と香水でした。ウェンディは素直に喜んで礼を言った。アルスは胸が熱くなり心地よい興奮を感じる。

そしてどちらからともなく抱きしめ合いキスをした。唇が重なっている最中、チラッと目を開けてアルスの顔を見てみたウェンディ。

「フフッ」
「どうしたの?」
「ううん、何でもないわ」

微妙に半目で、白目むいていることに何となく複雑な気持ちが彼女の胸中を支配していた。
  
数日後、最近ウェンディがいつも何かを悲しんでる。アルスには理解出来ないが、ある日を境に元気がなくなって寂しそうな顔をするようになった。

会話もあるけど以前に比べて口数は少ないし笑顔も減った。不満を言ってくることもないし、悪くないのにすぐに謝る。

「ウェンディどうしたの?」
「ごめんなさい……」
「なぜ謝るんだ。理由を教えてくれ」

元々のウェンディは明るい性格で、その場の雰囲気を楽しませてくれる女性だったのにどうしてだろう?なにかあったのか?アルスは一抹の不安を覚えた。

「アルスが他の女性と親しく話しているのを見たの?」
「え?」

どうやらアルスが仕事で付き合いのある女性と談笑してたのを偶然に目撃してしまい、ウェンディは不機嫌になったらしい。

「あの女の人はアルスに好意があるから話すのはやめて」

突然ウェンディから言われたアルスは、真顔になってじつに驚いてしまう。顔が近かったとかあの女がアルスを誘惑してるからもう喋るのはやめてほしい。ウェンディがそんなことを考えてるなんて夢にも思わなかった。

「彼女とは何もないよ?」

仕事だけの付き合いの女性で眼中になかったから心配しすぎだよ。少しもやましいところはないと告げたのです。

「私のことは愛してるの?」
「誰よりも愛している」

それでも心配性なウェンディは毎日アルスを好きかどうか聞いてきた。アルスは真剣な顔で好きだよと返していた。

ところが夜になるとウェンディは不安定になり、今日もあの女の人と楽しそうに話していたと延々と説教を聞かされた。

「僕を信頼できないの?」
「そうじゃないけど……」

アルスは自分を信用できないのかと怒った。ウェンディも責めることはできないと気がついたようです。でも信用とかそういう話じゃなくて、アルスが他の女性と楽しそうに話しているのが単純に嫌だったと言う。

アルスにはちょっと腑に落ちないものを感じながらも、ウェンディを愛しているので納得した。

*****
新作「誕生日パーティーで婚約破棄を発表された「幼馴染が妊娠したから結婚する!」王子が体を壊して地獄の苦しみを経験する。」を投稿しました。よろしくお願いします。
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