「今日から妹も一緒に住む」幼馴染と結婚したら彼の妹もついてきた。妹を溺愛して二人の生活はすれ違い離婚へ。

佐藤 美奈

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第21話

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「大きな声で叫んでいるけど、何かあったのかしら?」
「私が確認してまいります」

その日の夕方、家に帰ってきたクロエは最初ミカエルのことを貧しい労働者が、酒に溺れて騒いでいると映ったのである。屋敷を警備してる近衛兵数人が誰かを囲み、何やら揉めている様子だった。

無精ひげとどこか汚らしい雰囲気がある男。だがその顔には妙に見覚えのある感じがしたが、本当に誰なのかは思い当たらない。その姿からはミカエルと分からなくなっていても無理もないことです。

クロエが心配そうな声で口を開くと、一緒に行動している世話係の女性が様子を確かめてくると言う。

「クロエ!」
「ミカエル?」

クロエはしばらく門前に躊躇していると、不意に聞き覚えのある声で自分の名前を呼ばれた。クロエは何となく状況がわかり、男がミカエルだと完全に理解してクロエは唇がつぶやくように動いていた。

するとミカエルは数歩寄ってきたが、近衛兵達に素早い動きで止められ不審者として捕縛されてしまう。いかにも怪しい風体の男が、自分が仕えている主人に危害を加えないとはいいきれないのだ。

「クロエ様に近寄るな浮浪者!」
「何だと!僕は別に怪しい奴じゃない!」

近衛兵は怒声を浴びせ冷徹な目で睨みつけると、後ろから羽交い絞めにされたミカエルは思わず叫んで、真っ向から反論し争う姿勢をみせた。

怒りに燃えた顔のミカエルはじたばた暴れるが、近衛兵は屈強な体格と勇敢な気質を備えているため、効果はまるで見受けられません。

それでもミカエルはクロエに向かって、何かを大声でわめいていたので、近衛兵は地べたに押さえつけました。これで大人しくなりましたが、状況はまだ何も改善されていない。

「その人は、たぶん私の知ってる人です」
「え?このような野蛮な男とクロエ様がお知り合いなのですか?」
「はい、あんまり認めたくないですけど……」

その時、クロエが助け舟を出すように口を開いた。思いもよらない言葉に近衛兵は目を丸くする。下品な態度の男が、清々と美しく輝いている我が主と関わりがあることが考えられなかった。

顔見知りの者なのですか?そう尋ねられたクロエはすごく言いづらそうな顔をして、 微かに苦しい口元で答えるのである。

「一応元夫なので、ついこの間までこの家に住んでいたんですよ?」
「え?」
「まさか……」

地面に這いつくばるような格好の男に視線を向けた主人であるクロエが、数ヶ月前までこの男と結婚していたと言った。その瞬間、近衛兵は気の抜けた間抜け顔を見せる。

いかにも不潔っぽい洋服姿の男が、貴族であることも疑っていたので、近衛兵たちは意外という顔つきでとても驚いていた。
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