16 / 32
第16話
しおりを挟む
「あの男は自己弁護が腹の底に出来上がっているのでしょう。この状態では解決しないと思います」
「そのようね。結局ミカエルは自分は悪くないと言い訳してるみたい」
要はミカエルは理不尽にクロエに暴力を振るったことも反省しつつ、自分のやったことは間違いじゃないと思ってるのである。
送られてきた手紙も本来なら反省してるので謝罪をしたいが、クロエに顔向けできないので両親に口添えを頼んで、なんとか許して欲しいという感じだろう。
「マリアンヌ相談に乗ってくれてありがとう」
クロエはお礼を言ったらマリアンヌは微笑んだ顔で黙って頷いた。ミカエルは年齢を重ねていても精神年齢は低く、駄々をこねている子供と同じで、クロエは本当の意味でミカエルに反省の気持ちは無いと印象を受ける。
今回のことでミカエルは自分だけが悪者になったのが耐えられなかった。今まで妻思いの穏やかな良き夫として振る舞っており、その積み上げてきたものが一気に崩れる感覚を味わったのです。
それから数日経って、別居してから二十八日。あちら側の両親から手紙が届いた。余裕を無くしたミカエルがどうしても話し合いをしたいと、顔を真っ赤にしながら叫んでいるという。
ミカエルが悔い改める時間は一ヶ月の期限なので、クロエは返事を書いて家に呼んだ。
「クロエごめん……」
「何が悪いのか分かってるの?」
両親に連れられてやってきた。久しぶりにミカエルの顔を見たけど、左頬に青あざができ、両目とも大きく腫れ上がっている。そしてクロエに対して何度も謝罪し涙を浮かべていた。
クロエは何が謝りたいのか?と差し迫った雰囲気で質問してみた。すると恐る恐る顔を上げたミカエルは頷いて語った。
「ローラが悪いのに僕がクロエに逆切れして手をあげてしまった。最低のことをした。クロエの気持ちを考えずに、ローラを強引に住まわせたことも反省している」
声が上ずり涙声になって答えるミカエルに、少しは分かってくれたかと、クロエはようやく安堵の胸をなで下ろした。だが一連の出来事で受けた衝撃は大きく、以前と元通りの感覚はない。
なのでこれから時間をかけてゆっくりミカエルの姿を見ていかないと分からないと、クロエは心配ごとを抱えたような暗い顔をして思う。
「クロエ様、息子はいかがでしょうか?少しはマシな人間にさせましたが……」
しばらく黙ってじっとミカエルの様子を見ていた父が重い口を開いた。両親は息子に対してかなり厳しい指導をしてきた。例えばミカエルが苦手意識を持っている蛇でとり囲んだ。
「お父様、お母様蛇だけはお許しください。僕が小さい頃蛇に噛まれてそれ以来、蛇を見ただけで震えが止まらなくなることはご存じでしょう?」
「クロエ様もローラがいた時はこのような気持ちだったのだ」
「ミカエルお黙りなさい!これはあなたを心から反省させる試練で避けては通れないことよ」
「ローラと蛇は違いますよ!」
「生意気な口答えをするようでは反省してない証拠だな」
ミカエルは蛇には深刻なトラウマ体験があり、目にしただけで不安で背筋が縛られたみたいになる。両親は執拗にミカエルの嫌なことをして説教していたようです。
「そのようね。結局ミカエルは自分は悪くないと言い訳してるみたい」
要はミカエルは理不尽にクロエに暴力を振るったことも反省しつつ、自分のやったことは間違いじゃないと思ってるのである。
送られてきた手紙も本来なら反省してるので謝罪をしたいが、クロエに顔向けできないので両親に口添えを頼んで、なんとか許して欲しいという感じだろう。
「マリアンヌ相談に乗ってくれてありがとう」
クロエはお礼を言ったらマリアンヌは微笑んだ顔で黙って頷いた。ミカエルは年齢を重ねていても精神年齢は低く、駄々をこねている子供と同じで、クロエは本当の意味でミカエルに反省の気持ちは無いと印象を受ける。
今回のことでミカエルは自分だけが悪者になったのが耐えられなかった。今まで妻思いの穏やかな良き夫として振る舞っており、その積み上げてきたものが一気に崩れる感覚を味わったのです。
それから数日経って、別居してから二十八日。あちら側の両親から手紙が届いた。余裕を無くしたミカエルがどうしても話し合いをしたいと、顔を真っ赤にしながら叫んでいるという。
ミカエルが悔い改める時間は一ヶ月の期限なので、クロエは返事を書いて家に呼んだ。
「クロエごめん……」
「何が悪いのか分かってるの?」
両親に連れられてやってきた。久しぶりにミカエルの顔を見たけど、左頬に青あざができ、両目とも大きく腫れ上がっている。そしてクロエに対して何度も謝罪し涙を浮かべていた。
クロエは何が謝りたいのか?と差し迫った雰囲気で質問してみた。すると恐る恐る顔を上げたミカエルは頷いて語った。
「ローラが悪いのに僕がクロエに逆切れして手をあげてしまった。最低のことをした。クロエの気持ちを考えずに、ローラを強引に住まわせたことも反省している」
声が上ずり涙声になって答えるミカエルに、少しは分かってくれたかと、クロエはようやく安堵の胸をなで下ろした。だが一連の出来事で受けた衝撃は大きく、以前と元通りの感覚はない。
なのでこれから時間をかけてゆっくりミカエルの姿を見ていかないと分からないと、クロエは心配ごとを抱えたような暗い顔をして思う。
「クロエ様、息子はいかがでしょうか?少しはマシな人間にさせましたが……」
しばらく黙ってじっとミカエルの様子を見ていた父が重い口を開いた。両親は息子に対してかなり厳しい指導をしてきた。例えばミカエルが苦手意識を持っている蛇でとり囲んだ。
「お父様、お母様蛇だけはお許しください。僕が小さい頃蛇に噛まれてそれ以来、蛇を見ただけで震えが止まらなくなることはご存じでしょう?」
「クロエ様もローラがいた時はこのような気持ちだったのだ」
「ミカエルお黙りなさい!これはあなたを心から反省させる試練で避けては通れないことよ」
「ローラと蛇は違いますよ!」
「生意気な口答えをするようでは反省してない証拠だな」
ミカエルは蛇には深刻なトラウマ体験があり、目にしただけで不安で背筋が縛られたみたいになる。両親は執拗にミカエルの嫌なことをして説教していたようです。
1
お気に入りに追加
1,618
あなたにおすすめの小説
元王妃は時間をさかのぼったため、今度は愛してもらえる様に、(殿下は論外)頑張るらしい。
あはははは
恋愛
本日わたくし、ユリア アーベントロートは、処刑されるそうです。
願わくは、来世は愛されて生きてみたいですね。
王妃になるために生まれ、王妃になるための血を吐くような教育にも耐えた、ユリアの真意はなんであっただろう。
わあああぁ 人々の歓声が上がる。そして王は言った。
「皆の者、悪女 ユリア アーベントロートは、処刑された!」
誰も知らない。知っていても誰も理解しない。しようとしない。彼女、ユリアの最後の言葉を。
「わたくしはただ、愛されたかっただけなのです。愛されたいと、思うことは、罪なのですか?愛されているのを見て、うらやましいと思うことは、いけないのですか?」
彼女が求めていたのは、権力でも地位でもなかった。彼女が本当に欲しかったのは、愛だった。
私の婚約者が、記憶を無くし他の婚約者を作りました。
霙アルカ。
恋愛
男爵令嬢のルルノアには、婚約者がいた。
ルルノアの婚約者、リヴェル・レヴェリアは第一皇子であり、2人の婚約は2人が勝手に結んだものであり、国王も王妃も2人の結婚を決して許さなかった。
リヴェルはルルノアに問うた。
「私が王でなくても、平民でも、暮らしが豊かでなくても、側にいてくれるか?」と。
ルルノアは二つ返事で、「勿論!リヴェルとなら地獄でも行くわ。」と言った。
2人は誰にもバレぬよう家をでた。が、何者かに2人は襲われた。
何とか逃げ切ったルルノアが目を覚まし、リヴェルの元に行くと、リヴェルはルルノアに向けていた優しい笑みを、違う女性にむけていた。
政略結婚だけど溺愛されてます
紗夏
恋愛
隣国との同盟の証として、その国の王太子の元に嫁ぐことになったソフィア。
結婚して1年経っても未だ形ばかりの妻だ。
ソフィアは彼を愛しているのに…。
夫のセオドアはソフィアを大事にはしても、愛してはくれない。
だがこの結婚にはソフィアも知らない事情があって…?!
不器用夫婦のすれ違いストーリーです。
【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。
【完結】婚約者を譲れと言うなら譲ります。私が欲しいのはアナタの婚約者なので。
海野凛久
恋愛
【書籍絶賛発売中】
クラリンス侯爵家の長女・マリーアンネは、幼いころから王太子の婚約者と定められ、育てられてきた。
しかしそんなある日、とあるパーティーで、妹から婚約者の地位を譲るように迫られる。
失意に打ちひしがれるかと思われたマリーアンネだったが――
これは、初恋を実らせようと奮闘する、とある令嬢の物語――。
※第14回恋愛小説大賞で特別賞頂きました!応援くださった皆様、ありがとうございました!
※主人公の名前を『マリ』から『マリーアンネ』へ変更しました。
【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく
たまこ
恋愛
10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。
多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。
もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。
塩対応の婚約者に婚約解消を提案したらおかしなことになりました
宵闇 月
恋愛
侯爵令嬢のリリアナは塩対応ばかりの婚約者に限界がきて婚約解消を提案。
すると婚約者の様子がおかしくなって…
※ 四話完結
※ ゆるゆる設定です。
貴方の事を愛していました
ハルン
恋愛
幼い頃から側に居る少し年上の彼が大好きだった。
家の繋がりの為だとしても、婚約した時は部屋に戻ってから一人で泣いてしまう程に嬉しかった。
彼は、婚約者として私を大切にしてくれた。
毎週のお茶会も
誕生日以外のプレゼントも
成人してからのパーティーのエスコートも
私をとても大切にしてくれている。
ーーけれど。
大切だからといって、愛しているとは限らない。
いつからだろう。
彼の視線の先に、一人の綺麗な女性の姿がある事に気が付いたのは。
誠実な彼は、この家同士の婚約の意味をきちんと理解している。だから、その女性と二人きりになる事も噂になる様な事は絶対にしなかった。
このままいけば、数ヶ月後には私達は結婚する。
ーーけれど、本当にそれでいいの?
だから私は決めたのだ。
「貴方の事を愛してました」
貴方を忘れる事を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる