国のために好きな恋人と別れて大嫌いな皇太子殿下と結婚〜殿下が浮気して妹が妊娠？殿下は土下座して泣きながら許してくれと…

第15話

見ていられないと思った皇后が無意識のうちに口を開かれました。

「少し落ち着いてください……」
「すまん…つい興奮しすぎてしまった」

皇后に柔らかい口調でたしなめられ落ち着きを取り戻す陛下。

陛下と皇后は深々と頭を下げて謝罪を繰り返された。ヴィオラ令嬢はお二方の惨めな姿にやり切れなく感じて肩身の狭い思いをしました。

「申し訳ございません」

知らぬ間にヴィオラ令嬢も頭を下げて謝罪をする。自分や陛下や皇后にこんな残酷な事をさせるアンドレ殿下に悪意をもちヴィオラ令嬢は咎めるような視線を投げる。

しかし顔を伏せ泣いてしゃがみ込んでいるアンドレ殿下はその視線に気づいてはいなかった。部屋の中はアンドレ殿下の耳障りな泣き声がいつまでも響いていた。

とどの詰まりこの話し合いの場でヴィオラ令嬢とアンドレ殿下の婚約破棄は成立しました。

だがヴィオラ令嬢に爽やかな気分はなく浮かない心持ちです。どこか自分という存在を否定してしまいたい虚しい感じで顔を引きつらせる。

その後、ヴィオラ令嬢はレオナルド令息と再び恋人関係に戻り、愛情を注ぎ心を深めて再び結束を強めます。

その1年後に二人は婚約しました。

「お姉様婚約おめでとうございます」
「エレナありがとう」

子供を抱えた妹のエレナ令嬢が祝福する。エレナ令嬢は半年前に無事に出産をして元気な男の子を産みました。名前はセオです。

結局のところアンドレ殿下とは結婚はしないということですが、陛下のたっての要望で大きくなったら養子にするのが決まっています。

それにはエレナ令嬢もその両親も受け入れる。それまでは日々親子の触れ合いを許され、陛下も邪魔するようなことはしないと約束してくださいました。