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第13話

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泣いて頼み込むアンドレ殿下にヴィオラ令嬢は、ゴミを見るようなまなざしを向け冷たく突き放す。

「ヴィオラ……頼む…僕を捨てないでくれ……」
「触るな! 気持ち悪い!」

アンドレ殿下はヴィオラ令嬢のドレスを掴もうとしますが、虫でも払うかのようにその手を厳しく払う。

「ヴィオラ頼む結婚してくれ…君と結婚するのは僕の夢なんだ……」
「その割には会えばいつも嫌味ばかりを言ってこられましたね?」
「それはヴィオラの前だと素直になれなくて……」
「戯言を抜かすな! あなたからどれだけの屈辱を受けたのかお忘れですか!」

元からヴィオラ令嬢はアンドレ殿下に好意は毛ほどもありません。不快感はあっても愛情は全くないのです。

最初に妹エレナ令嬢との浮気を知った時には、この男と婚約破棄できると嬉しくて天にも昇る気持ちでした。

あの浮気の証拠が多いに詰まったスクリーンの映像もヴィオラ令嬢が計画したことなのです。側近に告げて浮気の証拠を集めてもらいあの場に仕掛けたのです。

ヴィオラ令嬢はアンドレ殿下の性格は勝ち気でキツい印象を抱いていました。だから当然のことながら自尊心が強い。

常日頃から婚約者のヴィオラ令嬢のことを小馬鹿にした態度をとっていた。それなのに、深々と頭を下げて関係を修復しようと言うことが理解に苦しむ。

アンドレ殿下の人格を考えたら、いとも容易く婚約破棄を受け入れると思っていたのに、何故しつこく自分との結婚に執着するのか?

ここまで往生際が悪いのは見込み外れでヴィオラ令嬢は表情を曇らせる。
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